月花/(9)/小悪魔/ダークサイド/
「お兄ちゃん♡」
京さんの突然の来訪により疲弊しきった身体に鞭を打ち、ようやく家に帰って来れた矢先、月花ちゃんがベッドの上でちょこんと座っていた。
ダキ♡
そして自分の存在に気づくと腹もとへと身体を擦り着けて来るように抱きついて来る。
「はぁ、はぁ、この匂い......お兄ちゃん」
九歳のしていい顔じゃない......まるで、どこぞの五歳時幼稚園児(ケツダケ星人)のようなおませぶりだ。
(それにしても本当に久々に気がする。雅とは学校で会うけど、月花ちゃんと会うのは数ヶ月ぶりだもんな。)
以前はよく家に遊びに来ていたけど、月花ちゃんの盗撮写真部屋へと入ってからは中々と会っていなかったのだ。
「久しぶりだね、月花ちゃん。元気だった?」
「お兄ちゃんのいない時間は退屈で卑屈で窮屈だったの。まるで、心が、感情なくなってくみたいで怖かった。どうしてだろう、今は胸の痛みがないんだよ!お兄ちゃんといるだけで心がぽかぽかするみたい。なんだかもうなにもいらない。お兄ちゃんだけいればいい。そんな感じがするの。ねぇ、いつ結婚してくれるの?」
これはかなり重症ですね.....純粋な分、誰よりもめんどくさい。感情をドストレートに伝えてくる美幼女の威力よ。お兄ちゃんがロリコンだったら今頃死んでたね。
「うーん、月花ちゃんが成人してもお兄ちゃんの事が好きだったらね」
「お兄ちゃん、そればっかり言うよね。信じてないんでしょ、月花のこと?どうせ大人になったら他の人を好きになって諦めるって.....お兄ちゃん、生意気過ぎ♪月花のこと舐めてるでしょ♪」
(このメスガキ........)
めっちゃ小悪魔的な顔でパチパチと頬を軽く叩かれる。
「今は月花が一番じゃなくてもいいんだよ?だって、絶対に月花が大人になるまでに何人もの女の子たちがお兄ちゃんのこと襲うと思うし。だから、月花が大人になるまで遊んでてもいいけど、最後には月花と結婚して本当のお嫁さんにして欲しいな」
この子、本当に九歳かな?リアルおままごとの領域を越えた理解力の持ち主なんだけど。
「でも遊ぶ相手にお姉ちゃんはいれないでね。あの人、めんどくさいから。」
怖っ......あの姉にして、この妹って奴だよ。
「そもそもお姉ちゃんはお兄ちゃんを最初に裏切ったんだからお兄ちゃんの隣にいる資格はないってこと、早く分かった方がいいよね♪」
笑顔でとんでもないこと言ってるよ。
「庇うわけじゃないけど、一応雅は俺の気をひくためって説明してくれたから.....」
「それじゃあ、お兄ちゃんはお姉ちゃんのこと......まだ、好きなの?」
俺は雅のことは一応、好ましくは思ってる.......
「.......うん、好きだよ。好きだった。異性として、彼女彼氏、あはは、恋人になれたらなぁなんて考えてたよ。」
「ふーん。でも好き"だった"でしょ?」
そう、過去形だ......今は大分、吹っ切れてはいる。そも、あの合コン以来、彼女の存在が若干ではあるが怖いと感じているのだ。もちろん幼馴染みであるため、普通には接してはいるが。
「_________えへへ。じゃあ、お姉ちゃんはお兄ちゃんのものにはなれないんだぁ♡かわいそ♡」
月花ちゃんの目の下にある隈のせいなのか、彼女の見せる意地の悪い笑みは悪人面だった。




