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月花は構われたい!

今年に入り、九歳となった月花には悩みごとがあった。


(..........お兄ちゃん成分が足りない)


このままでは死んでしまうのではないかと言うほどに不安に駆られる。かれこれ数ヶ月はかまってもらっていない月花の目下には深い隈が出来ていた。


「こ、これは重症ね......」


姉の夜桜雅でさえも心配する程に衰弱仕切っているのだ。妹の部屋を訪ねて見れば淡々と前髪のポスターや写真、以前一緒に撮った写真へと虚ろな目で話しかけているのだ。しかも嬉しそうに。最早、狂喜としか言いようがなかった。


(私は一応、学校で会えるから禁断症状まではでないけど......)


恐ろしい。心配はしている。けれど、彼と会えない日が続けば私もこうなるのだと事実を見せつけられている。


「はぁ.....しょうがないわね。」


一応、敵でもあるお母さんに相談したのだが、溜め息を吐きつつも『彼』のお母さんへと電話を掛けてくれた。


「あ、京だけど.....うん、うん、そう、月花をいっちゃんの家に泊めてもいいかな?本当は嫌だけど、うん!ありがと、いっちゃん!」


めっちゃ嫌そうに頼む母親の姿にドン引きだが、一応は娘の事は放って置けない優しさを持ち合わせている。まぁ、将来的に母親を突き崩すにはこの穴をつくしかないと私は思っている。


「てことで仕方なくだけど、月花のみ、宿泊可です。雅はダメよ。」にっこり


めっちゃ嫌みな表情を見せてくれる母親にパンチをお見舞いしたいが、今は敵わないのでやめておく。てか本当と書いてマジで言うけど、自分の母親ながらにこの人なんなんだろう。


(対人戦闘、会話術、戦略と私の一歩二歩と先を行っている。バックにあの人がいるとは言え、実行者がここまで強いと家族の情以外につけ入る隙がない。)


こんこん


月花の部屋へノックをする。


「お兄ちゃん!!遊びに来てくれたの!!ずっーと待ってたんだよ!!」


部屋のドアがバンと勢いよく開き、自分へと抱きつく。


「月花......私は雅お姉ちゃんだよ?」


自分の顔を見上げて一瞬停止すると、とことこと部屋の隅へと戻っていく。そして再び彼の写真へと話しかけて始める。


「あはは、お姉ちゃんより絶対に月花をお嫁さんにしてね!え、してくれるの!うれし!」


........は、早くなんとかしないと。完全に頭がおかしくなっている妹の姿に思わず口元を押さえてしまう。


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