ヒロイン全員非処女で何が悪い!
処女______性行為を経験したことがない乙女を指し『処女』と形容する。
そして非処女とは男性経験を得て『処女』を散らせた乙女の事を言う。※男性経験に限定した訳ではないが。
端的に言うと男達は処女を保つ女性を好む傾向にあるのだ。
「俺は別に非処女でも気にしないけどな。」
「はぁ?お前、頭に蛆でも湧いてるのか?」
学校の帰り道、友人と他愛もない会話を交わす。
「誰かが使ったオナホにチンコをぶち込みたいか?俺は嫌だね!」
中古だ何だと喚き散らす友人(童貞)。
「オナホと同列に扱うその人間性が駄目だと思うが。先ず非処女なんて大した事ないだろう。お盛んな小学生だって今どきセックスしてる。」
「それは可笑しい。」
冷静にツッコまれた。
「はぁ、あのなぁ友よ..........幼馴染の事を引きずってるのは分かる。けどよ、違う男に抱かれた女をお前さんは抱きたいか?それも、長年付き添ってきたのに突然と裏切られたんだぜ?俺がお前なら発狂もんだ。」
発狂もん、か。確かに心に大きく穴が空いた感覚はある。だけど、彼女との関係は変わらない。まだ変わっていない。
「告白をしなかった俺が悪い。」
答えは簡単だ。何も難しくない。勇気を出さなかった自分が招いた結果だ。
「けどよ、だからって......違う男と付き合う奴があるかよ。」
遡る事、一月前_____
「ねぇ、〇〇先輩が私の事が好きなんだって。」
早朝、一緒に登校している際に彼女からそう告げられる。
「っ.......そう。学校で一番人気のある人からモテて良かったじゃないか。」
「.........うん。君はさ、私が彼と付き合っても良いと思う?」
多分、此処が分岐点だったんだと思う。
「其れは........俺の気持ちじゃなくて、自分の心に聞かないと。彼が好きだと言ったんだ。告白は生半可な気持ちじゃあ出来ない。勇気を振り絞った彼の気持ちをよく考えて答えは出した方がいい。」
思ってもいない事を言葉にしてしまう。本当は嫉妬の気持ちが強かった。告白を受けないでくれと叫びたかった。
「うん、そうだよね。」
何かを決意したような表情を見せる幼馴染。
「それじゃまた後でね。」
その日の放課後、彼女から一通のメールが届く。
「________私、〇〇先輩と付き合う事になったよ(*´ω`*)」
このメールを読んだ際、立ちくらみがした。まるで世界から自分が孤立するような感覚。
「________おめでとう」
このメールを打ち込む際、手元が震えていた事をよく覚えている。
まぁ良くある話だ。幼馴染同士が必ず結ばれる訳ではない。
「なぁ、あれって......」
友人が何かに気づいたのか、目線を前に向けるように言ってくる。
「__________っ」
幼馴染とその彼氏であるイケメン先輩だ。
「あれ、奇遇だね!」
幼馴染である彼女も気づいたのか、此方へと手を振ってきた。
「あぁ、奇遇だな。」
ぎこちないながらも手を振り返す。
「やぁこんにちは。君が彼女の言っていた幼馴染くんだね。」
隣に立つ幼馴染の彼氏先輩が爽やかな笑顔で挨拶をする。
「こんにちは、先輩。」
冷静になろう。隣の友人(童貞)など先程から黙っているし、此方から話を切り上げ、去るしかない。
「こいつは昔から手の掛かる奴なんで、ちゃんと面倒を見て上げて下さいね。」
「ちょっとぉ!」
距離感は大事だ。一歩引いた位置、けれど、仲のいい幼馴染を演じなければ。
「ふふ、当たり前だよ。彼女は僕の『彼女』なんだから大切にして見せるよ。」
「せ、先輩っ........//」
幼馴染の肩を抱き寄せ、そう宣言する。幼馴染は顔を紅くしている。
「そうですか。良かったな、格好良い彼氏さんが出来て。」
「う、うん。」
何故かぎこちなく答える幼馴染。
「さて、そろそろ俺たちは行くよ。先輩方もデートを楽しんでくださいね。俺もそろそろ彼女でもつくろうかな?なんてな、ふふ。」
幼馴染の眉がピクリと動く。
「___________は?」
友人と共に歩き去ろうとすると冷たい声色が聞こえて来た気がする。けれど気にせずその場を後にした。
「まぁ何だ、今度一緒に合コンにでも行ってみようぜ!」
そんなコネクションがあるのならこの友人(童貞)は既に彼女持ちになっている筈だが........
「あぁ_________行こうか。」
たまにはこの友人(童貞)の提案に乗るのも悪くないか。