チュートリアル その1
8話目です。またしても説明回…でもここでしっかり作りこまないと後々大変というジレンマ。
2018/11/16 2ndジョブの変更及びレベルについての記述を追加。
光が止むと、そこは木が数本生えている、だだっ広い草原だった。どうやらここがチュートリアルの場所らしい。もっと闘技場めいた場所を想像していたのだが。
「おお、お前か。奴の言っていたイレギュラーな奴は」
しかし、ここまでリアルなのか。身体を撫でる風の感触、木の葉のさざめき、草の香り。全てが0と1で構成されているとは到底思えない。
「おい、お前聞こえてるだろ」
遠くの方で鳥が飛んでいるのが見える。ここには生物までいるのか。もしかすると、ここが件の大陸なのかもしれないな。
「おい…えぐ、むし、するなぁ…」
さて、先ほどから聞こえている声がなんか涙声になってきた気がするので、そろそろ反応してあげよう。
そこにいたのは、身長120㎝くらいの赤髪を後ろでくくった少女だった。年齢は、多分10代前半。かなり整った容姿で、現実にいたらスカウトが声をかけそうな子だった。
「ぐす、やっとか。やっと反応してくれた…」
そうやって、ぐしぐしと目をこすりながら、少女はこちらに近づいてきた。
「君が、ポラリスの言っていたチュートリアル担当AI?」「如何にも」
えっへん、と、胸を張りながら、平坦な胸を張りながら彼女はそう言った。
「そうだったのか、てっきり迷子なのかと」「ちょ待てーい!こんなとこで迷子になる奴がいるか!そも、ここは個別フィールドだからここにいるのは私とお前だけだ!」
まあ、分かってて言ったんですけどね。
「コホン。とりあえず、その辺の話は置いておこう。という訳で、これよりチュートリアルを開始する!」
そう彼女が宣言した瞬間、周りにいきなり気配が出現する。数は…ざっと2。小さいな。
「まずはシステム周りの事からだな。『ステータス』と呟くなり念じるなりしてみろ」
そう言われたので「ステータス」と心の中で念じてみると…
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Name:bedi 性別:男性
Lv.1
種族:ヴァンパイアロード
状態:健康
1stjob:ランサー Lv.1
2ndjob:鍛冶師 Lv.1
HP:45
MP:100
skill point:5
筋力:8
耐久:5
敏捷:6
知力:15
技量:5
幸運:3
メインスキル:残り枠0
《槍術Lv.1》《棒術Lv.1》《格闘術Lv.1》《鍛冶Lv.1》《見極めLv.1》《鑑定Lv.1》《闇魔法Lv.1》↑《操血Lv.1》《霧化Lv.1》《吸血Lv.1》
サブスキル:1
《女神ポラリスの加護Lv.-》New!
称号
《祝福を受けし者》
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…改めて数値を出されるとやばいな。どこがやばいのかどうやばいのかMMORPG初心者にはよく分からないが、とりあえずやばいという事だけはよく分かる。
「おおー、これはやばいな。というかLv.1で知力15て。加減しろ」
いつの間にか背後に回り込んでいた少女が、僕の肩越しにステータスウィンドウを見ていた。こらこら、背中から降りなさい。
「むふふ、よいではないか」
いやそういうことじゃないから。しがみついてこないで頼むから!
「むう、つまらん。まあいい、それがお前のステータスだ。あまり時間もないから流れで理解しろよ?まず一番上の段落、お前のパーソナルデータな。そこの『状態』てところあるだろ。そこがお前の現在の状態を示してる。要は健康状態だ。毒とか食らうとそこに表示される。んで次。『job』って書いてあるだろ」
うん、確かに、1stと2ndのジョブが書いてある。でもその隣の奴は?
「ジョブにもレベルはある。隣の数字がそれだ。熟練度とも言えるな。そのジョブに関わる事をすると、経験値が蓄積されて、レベルが上がっていく。そうそう、レベルを上げると、いいことがあるかもしれんな。装備条件に、一定以上のジョブレベルを要求してくる武器もあるらしいし。後、1stジョブは変更不可だけど、2ndジョブはいつでも変更できるぞ。もっとも、その際ジョブレベルは1に戻っちまうけどな」
へえ、そういうものなのか。で、その下の筋力とかは?
「筋力は相手へのダメージや装備できる武具の重量に関わる。こいつが低いとダメージが出なかったり、装備が重すぎて動きがのろくなったりするから注意しろよ」
そこから続いた彼女の説明をまとめると、
筋力:与ダメージと装備可能重量に関わる。
耐久:被ダメージと継続行動可能時間(要はスタミナ総量。ダッシュ等で消費)、HP量に関わる。
敏捷:移動速度、行動速度に関わる。
知力:魔法の与ダメージ、敵の魔法の追加効果への抵抗力、MP量に関わる。
技量:与ダメージと魔法の発動時間、攻撃速度に関わる。
幸運:技の追加効果の発動確率やレアドロップ、レアモンスターの出現確率等に関わる。
といった感じになった。
「ステータスはレベルアップ時に手に入るポイントを割り振ることで上昇していくぞ」
ああ、このskill pointってやつね。
「で、その次がスキルだ。今は10個しか装備できねーが、レベルが上がるとスロットが増えていく。確か10区切りだったかな。これも、使っていくうちにレベルが上がっていくぞ。それから、サブスキルについてだが、使わないスキルをここに保管しておける…無限にな。『基本』、ここに入れてるスキルは発動しないから覚えておくよーに」
うん、よく分かった。で、ここに《女神ポラリスの加護Lv.-》てのがあるんですが、これについて何かコメントは?
「あ?ああー…あンのヤロー…はあ、さっきサブに回ってるスキルは『基本』発動しないっつったな。その例外の一つが《加護》系統のスキルだ。フツーはそう簡単に手に入らんのだが…あいつ、コッソリ自分の加護を与えていやがったらしいな」
えーっと、じゃあ問題ないってことですね。
「応さ。いい機会だから《鑑定》の試しでもやっとくか。加護に向けて視線を向けてみ」
言われるままに視線を向けると…
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《女神ポラリスの加護Lv.-》
導きの女神の与えた加護。与えられた者は、道を違えず正道を歩むと言われている。
効果
簡易マップの範囲拡大(3㎞→50㎞)
マップにアイテム分布図が追加
クエストクリア時の経験値上昇(15%)
スキルポイント+5
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となっていた。ポラリスさん、あなた大盤振る舞いし過ぎです…
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