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アクアディア聖国物語  作者: 中嶋千博
187/415

ユーリ、キラット村を襲う魔物の軍勢と戦う

 頑丈そうな門は破壊されており、たくさんの魔物達が門の中に入ろうとうごめいている。それを阻んでいるのは兵士たちだった。


 防壁の上から攻撃魔法や弓矢を放ち、門の前では剣や槍で魔物たちを中に入れまいと奮闘している。

 しかし魔物の数が多い。中でも視認できる範囲ではゴブリンが多いようだ。グレイドゴブリンも数体いる。

 他には空飛ぶ魔物、遠目でよく分からないがその姿かたちから、おそらくワイバーンが数体。攻撃魔法や弓で落とされたものもいるが、空の防壁をかいくぐり、村の中に侵入しているものもいるようだ。

 村の防壁の上から、兵士たちが弓矢や攻撃魔法で攻防しているのも見える。


「俺の故郷が魔物に襲われている……」


 ジェノサイドはつぶやき、次の瞬間、ぐっとこぶしを握り締めた。


「ちくしょう!」


 普段の物腰の穏やかなジェノサイドからは想像できない声で叫ぶと、荷物を放り出し、駆ける速度を増した。


「ジェノ!」


 ユーリもジェノサイドの後を追った。みるみるジェノサイドと離れていく。

 体を動かすより机に向かって図面をかいているほうが長いはずなのに、その体力に見合わないほどのスピードで村に向かって駆けていくジェノサイドにユーリは驚いた。

 ジェノサイドは今、村を救いたい気持ちでいっぱいなのだ。そのため普段の力以上の力をだしているのだ。


「鋼鉄の神ステルスタイトに願う


 それは数多の石

 拳よりも固き塊


 我は創造する

 石の礫」


 門の後方にいた魔物たちの上空に、一メートル四方の岩が、五個出現して落ちた。

 これにより、二十体ほどの魔物が圧死する。


 突然の攻撃に、魔物たちがジェノサイドに敵意を向ける。とうてい一人では対処できない数だ。

 村を守っている兵士たちも、門の守りでジェノサイドに援護の手を伸ばすことができない。

 そもそもジェノサイドのいる場所は、彼らが攻撃できる距離から離れすぎている。

 ジェノサイドはここにいて、自分が怒りのあまり、向こう見ずな行動をとったことに気づく。


 しかしすでに時は遅い。


 ジェノサイドはあっという間に、十体以上のゴブリンたちに囲まれた。

 四方からゴブリンたちが各々の武器を振り上げて、ジェノサイドに襲いかかる。ジェノサイドは思わず目をつぶった。

 聞こえたのは、人の悲鳴だった。目を開けると、人の悲鳴だと思ったそれがすぐ近くのゴブリンから発せられていた。


 一瞬にしてジェノサイドを取り囲んでいた前列にいた五体のゴブリンが首を飛ばされ、 あるいは袈裟切りを受けて、血吹雪をあげる。

 それをこなしたのはユーリだった。ユーリは背後から襲って来たゴブリンに、振り向きざま剣を突き刺した。その剣はゴブリンの胸を突き刺し、背中を貫通した。ゴブリンの腹に足蹴りし、その反動を使い、刺さった剣を引き抜く。


「ジェノ、大丈夫?」

「ああ、ユーリ。助かった」


 ユーリは自分自身に加速魔法をかけ、ジェノサイドの助たちに来たのだった。


「これは多勢に無勢だね」


 呆れるように言うユーリのその声には、焦りはない。


「ジェノ、まだ石の礫の魔法は使えそう?」

「あと五回、いや六回はできるよ」

「それなら、城壁の上からその魔法を繰り出して。僕はジェノの石を有効利用するから」

「え? 城壁の上って? それに有効利用とは?」


 ユーリはジェノサイドの質問に答えるかわりに、ジェノサイドを背後からがっしりと抱きしめた。


「ええ?」


 慌てるジェノサイドに説明する時間を惜しむように、すぐさま呪文を詠唱し始めた。



「風の神エアレスの加護を

 地に立つ者は

 地にあらず


 支えなきものは

 落つるにあらず


 浮遊せよ」


 ふわりとユーリの体が浮かぶ。それはユーリに抱えられたジェノサイドも同様だ。

 すぐさま三十メートルもの高さに浮かび上がり、そのまま地上で殺気を放つ魔物たちの頭上を飛行して村へと進んでいく。地上ではゴブリンたちがは刃物を投げたり、地面の石を投げたりしてきた。

 それらの一部は確かに二人にあたったが、致命傷をあげるほどではなかった。村の近くまですると、今度は村の上空を飛行していたワイバーンが襲って来た。

 彼らは防壁にいた弓兵や魔法使いたちが追い払ってくれて、無事、城壁の上に降りたつことができた。


 防壁の上にいた兵士ちちは突然現れたユーリたちを警戒しつつも、希望のこもった視線を注ぐ。


 ユーリたちが魔物たちを倒したのを見たからだ。

 一人の兵士が近づいてきた。服装から隊長クラスの人物であることが分かる。


「私はキラット村防衛軍空戦隊長のゼシムといいます。あなたたちは我々の味方、と考えてよろしいですか?」


ジェノサイドが力強く頷いた。


「もちろん味方です。俺はこの村の出身でジェノサイドといいます。こちらは魔法使いのユーリです」

「はじめまして。ユーリです。それで一つ僕たちができる加勢方法で提案があるのですが、説明してもいいでしょうか?」

「どんなものだね?」


 ユーリは説明した。ゼシムは大きく頷いた。


「分かった。その方法だと短時間で多数の魔物を制圧できる。お願いします」


 ゼシムはユーリの提案に乗った。その間にも、村を守る兵士と魔物の戦いは続いている。


「ジェノ、分かっていると思うけど、味方を巻き込まないように、後方の魔物に当ててね」

「もちろんだよ」


 ジェノサイドが魔法の詠唱を始める。ユーリも自分の魔法の詠唱を始めた。


 ドシン!

 ドシン!

 ドシン!


 ジェノサイドが出現した岩が落ち、地面が揺るぐと同時に、複数の魔物が圧死していく。


「浮遊せよ」


 ユーリはジェノサイドが出現させた岩を再び浮遊させ、少し移動させたのち、そこにいる魔物たちの上に落としていった。

 ジェノサイドとユーリの魔法攻撃により、数で勝っていた魔物たちの軍勢は一気にその数を減らしていく。


 上空からワイバーンがユーリに狙いを定めた。ワイバーンの翼をはためかせると、見えない風の刃が出現し、ユーリに向かっていく。

 城壁の外の魔物にばかり気を取られていたユーリは反応が遅れる。あわてて城壁の壁に身を隠すと、その城壁の角がゼリーのようにばっさりと切れた。


 ワイバーンは守るものがなくなったユーリに突っ込んできた。


 加速も減速も、浮遊の魔法も間に合わない。ユーリは瞬時にそのことを悟り、剣を構える。


 あのような大きな体で体当たりをしてくるワイバーンの攻撃を受け止めることはできない。攻撃をすれすれで交わすしかない。

 それをこの至近距離でできるかどうかは五分五分だ。


 内心焦るユーリの目の前で、ワイバーンの翼が弓矢で射抜かれた。バランスを崩したワイバーンはユーリを攻撃するための方向性が狂い、大きくユーリから距離を空けたまま飛びすぎた。


 ユーリが弓矢が飛んできたほうを見ると、そこには弓を構えた人物がいた。服装が兵士とは違う。おそらく傭兵だろう。戦いの間に汚れたのかその顔には黒墨がこびりつき、人相までは分からない。

 けれど、笑っているように見えた。その人物はユーリに親指を突き立てた。

 ユーリはそれに答えて、自分も笑顔で自分の親指を突き立てた。


 そのとき、村の防壁の内側、村の内部から勝鬨の声があがった。

 村の中に目線を向けるが、ここからでは近くの建物が邪魔をして様子が伺えない。

 喜びの声が上がっているため、魔物の軍勢を率いてきて、真っ先に村の中に入った魔物のボスが倒されたのだろうと推測できる。

 それを立証するかのように、村の中に侵入していた魔物達がぞくぞくと壊れた門から逃げていく。外にいた魔物達もそれに追随して、撤退を始めた。


 誰かが声を張り上げた。


「キングゴブリンを倒した。我らの勝利だ!」


 防壁で防衛していた兵士たちは、お互いに顔を見合わせ、次の瞬間には満面の笑みを浮かべる。


「やったぁ。魔物どもを蹴散らしたぞ」

「勝ったぁ!」


 兵士達の喜びの声が波のように沸き起こる。


 ユーリとジェノサイドは肩を並べるように城壁に背を預けて座った。


「勝ったんだ……。俺たちは村を守ったんだねぇ」

「うん、勝ててよかった」


 二人は顔を見合わせて笑い合った。

 そこに先ほどのゼシムが声をかけてくる。


「お二人の助力、心から感謝いたします」


 年上の男、しかも兵を率いる隊長に頭を下げられて、二人は慌てて立ち上がる。


「故郷が魔物に襲われていたら、黙っていられませんよ。お役に立ててよかったです」

「僕も目の前で魔物に襲われている人がいるなら、見て見ぬふりはできませんよ。末端でも助太刀することができたなら、なによりです」

「末端だなんて、とんでもない。お二人の助力があったからこそ、早く戦を終えることができたのです」


 ユーリは自分を助けてくれた弓兵がいたところに目線を向けた。そこに彼は立っていなかった。代わりに誰かが横になっていて、その隣で別の誰かが慌てたようすで横になった誰かに大声で懸命に話しかけてきた。

 ユーリは嫌な予感がした。そしてこういうときの嫌な予感というものは、当たるものだと今までの経験からわかっている。


「ちょっと失礼します」


 ゼシムに短く理を入れると、ユーリは自らに飛翔の魔法を使い、向こう側の防壁に向かった。そのほうが距離が近かいからだ。


「おい、ユーリ」


 ジェノサイドがユーリに声をかけるが、それに答える余裕はユーリにはなかった。


 横たわる兵士の周りは血だまりになっていた。彼を抱きかかえるようにして、泣きじゃくるように叫んでいる男がいた。


「おい、目をあけてくれ。ちきしょう」


 防壁に着地すると、すぐさまユーリは男に声をかけた。


「その人は怪我をしているんですか?」

「なんだい、あんた」

「さっきまで向こうの防壁にいたんだ。このあたりにいた弓兵に、ワイバーンに狙われたところを助けてもらったんだ」

「あんたを助けたのはこの子だよ。鬨の声が上がって油断したときに、背後から別のワイバーンにやられたんだ」

「なんだって?」

「あんた、回復薬は持っているか? 持っていたら、この子に使ってやって欲しい。俺のはもう使い切ってしまって」

「回復薬は持っているよ」

「じゃあ」


 男の顔がぱっと輝く。ユーリは険しい表情で言った。


「その前に怪我の様子を見せて欲しい」


 ユーリは男をはさんで、横になっている兵士の隣に座り、怪我の様子を確認した。

 傷口は左わき腹だ。すぐにユーリの顔色がくもる。

 大人の握り拳ほどの大きさの穴が開き、えぐられていた。そのあたりの肋骨は持っていかれ、内臓の一部がこぼれている。


 顔色をみると、蒼白を通り越して土気色だった。それでもまだ生きている。生きているならば、治せる可能性がある。

 その顔にどこか見覚えがあるような気がした。最初は男性だと思っていたが、首や腕の細さや、ささやかな胸のふくらみから女性であることがわかった。再び顔に視線をやる。 そして人物が誰なのか分かり、ユーリは目を見張った。


「ミスティ?」


 ユーリは今から約五年前、アクアディア聖国で起きた水の宝珠争奪事件。盗人と、水の宝珠を取り戻すために、ユーリは姉のエルダのパーティに加わった。そして、途中で合流した司祭のソレイユのパーティの中にいた弓使いの少女。目の前にいるのはその弓使いのミスティだった。


 考えてみれば、あれほどのスピードで飛行するワイバーンの翼を射るなんて技、ミスティくらいの腕がなければできるものではない。


 さっきはミスティに助けてもらった。今度は自分がミスティを助けなければ。


 傷口に杖をかかげる。


「何をやっているんだい? 回復薬は?」

「この怪我は上位の回復薬でも治せないよ。僕が治癒魔法を施す」

「あんた、治癒魔法が使えるのかい?」


 答えるかわりにユーリは呪文を詠唱し始めた。


「癒しの神キュアレスの加護を


 傷ついた者を

 汝の慈悲なる力をもって

 癒したまえ


 治癒せよ」


 失われた骨が、鍾乳洞が作らるようにいびつに形成され、次第に艶やかな表面になっていく。削られた肉がむくむくと盛り上がり、その骨の周りに形成させる。こぼれていた内臓が再生された骨と肉に押され、元の位置に戻っていく。血が止まり、そして……。


 ミスティの脇腹に濁りこぶしほど空いていた穴は完全になくなった。


「……奇跡だ」


 男が驚きの声を漏らした。


 ユーリは杖を納めた。

 ミスティの顔を伺うと、土気色だったそれが蒼白に変わっている。


「これで大丈夫だよ。ゆっくり休ませてあげたいけれど、休めるところはある?」

「ああ。近くに医療院がある。俺がすぐに連れて行くよ。この子、動かしても大丈夫なんだよな」

「うん。気を失っているから、重く感じるかもしれないけれど」

「これくらい平気さ」


 彼はミスティを背に背負った。


「彼女、ミスティだよね」

「この子、ミスティという名前なのか?」

「同じ部隊の仲間じゃないの?」

「いや、この子とは初めて一緒に仕事した。この子は傭兵だからな。めっちゃ、弓の腕いいよな。俺、この子に惚れた。目を覚ましたらいろんな話をしてみたい」


 ユーリは男をしげしげと見つめた。赤茶色の髪に、黒い瞳。ほほに浮かんだそばかすが子供っぽい顔に見立てている。いや、実際、若いのだろう。自分より、二つか三つは年下に見える。

 男の、いや少年の一途な思いが微笑ましく思えた。


「目覚めたらたっぷりの水と、そしておいしい料理を食べさせてあげて。治癒魔法は本人の体力と精神力も消耗させるから」

「ああ、うん。分かった。ありがとう」


 ミスティを背負った彼を見送っていると声がかかった。防壁の上を歩いてやってきたゼシムだった。


「ユーリ殿、あなたの治癒魔法は大したものですな。ぜひ、治療師としてその術を活用していただけないでしょうか?」

「あのう、治療師というのは?」

「ここでは治癒魔法使い、外科医、薬剤師を総じて治療師と呼んです。この戦いで、負傷した兵士は多い。ユーリ殿の助力を得たいのです。もちろん寝床も報酬も出させていただきます」


 先を急いでいるユーリだが、ゼシムの切実なまなざしを受け、断ることはできなかった。


「僕ができることなら……」


 答えてからユーリはジェノサイドのいるところに目を向けた。ジェノサイドは誰かに話しかけられていた。話しかけているのは五十歳ほどの男で、頭に白いハチマキを巻き、タンクトップにだぶだぶのズボンといういで立ちだ。

 ただならない雰囲気を感じたユーリは、ゼシムに聞いた。


「彼のことが気になるのでちょっと連れの様子てきていいですか?」

「もちろんですとも」


 ユーリは再び空を飛んで、ジェノサイドがいるところに戻った。


「というわけで、あんたのような高度な地魔法を使えるやつが必要なんだ。崩壊した防壁、倒された家屋、それらを一緒に直していこうぜ」


 言いつのる男にジェノサイドはどこか虚ろな表情で答えた。


「そうだねぇ……」


 ユーリはジェノサイドの傍らに駆け寄った。


「ジェノ、大丈夫?」

「ああ、ユーリか。俺は大丈夫だ。ちょっと視界が暗くて、音がよく聞こえないけど」

「それ、魔力の使い過ぎの症状だよ。しばらく休まないと」

「彼が俺に門の修理を手伝ってほしいって言っているんだよねぇ」

「今の状態じゃ無理だよ」

「魔力回復薬を使えば魔力は回復するんだろ?」

「魔力は回復するけれど、ジェノの身体に負担がかかる。しばらく休んだほうがいいよ」


 言ってから、ジェノサイドを勧誘している男に視線を向けた。


「門や壊れた家の修理は、今動ける人たちでやってください。ジェノには休息が必要なんです」

「魔法を使えば、壊れた門なんてあっという間に直せるだろうが」

「ジェノはここにくる前にツチイタチと戦って魔力を限界まで使ったんです。それを魔力回復薬で魔力だけは回復させて、この戦いに臨んだんですよ。

 この後、さらに魔力回復薬を使って魔力を補充して、門や家の修理を行ったら、体力が限界を超え、ひいては精神にも支障をきたすかもしれないんです」

「そ、そんなことを言われてもよう。できるんだったら、やって欲しいってもんだぜ」

「魔物の軍勢は退きました。今すぐに再び魔物が襲ってくる可能性は少ない。だったら、門や家の修理を、一人の命を懸けて進める必要がありますか?」

「う、うーむ」


 ハチマキの男はジェノサイドに目線を移した。


「おや、彼は寝ているぞ」


 ユーリもジェノサイドに目線を向ける。ジェノサイドの顔色は血の気がなかった。ユーリは目を見開いて、叫んだ。


「寝ているんじゃなくて、魔力の使い過ぎで気を失っているんです」



 ゼシムはユーリと彼の会話を聞くと、すぐさま気を失ったジェノサイドを担架に乗せる手配を整え、兵士を一人呼んだ。

 ユーリはその兵士と一緒にジェノサイドを担架に乗せて、医療院に向かうことになった。

 防壁の階段を下りると、そこには防壁の上からははっきりと視認できなかったが、凄惨な光景が広がっていた。そこには魔物達の屍が沢山転がっていた。そして錆びた鉄のような臭いと、何かが焦げたような臭いが充満していた。

 

 壊された門の前は広場になっており、近くに建物はない。しかし、そこに優雅に立っていたであろう石像は破壊され、丁寧に手入れされていたであろう庭木は何か巨大な者に踏みつぶされたように、白い内部の枝肌を外気にさらしている。


 その広場の中央には、通常のゴブリンよりも数倍大きな体躯のゴブリンの亡骸があった

「あんなに大きなゴブリン、よく倒しましたね。キングゴブリンという上位の魔物ですね。かなり手ごわかっただろうな」

「我々人間は協力することで、思いがけない力を発揮できるものですよね。

 あのゴブリンはキングゴブリンを倒したことで、他のゴブリンは退却していったようです」


 キングゴブリンの亡骸は、手足を蔦に絡められ、いたるところに火の魔法攻撃を受けた後があり、剣傷がある。ゴブリンの亡骸の周りを三人の兵士が検分している。

 その亡骸の様子から、多くの兵士たちがキングゴブリンを倒すために、剣を駆使し、魔魔法を使い、戦ったことが容易に想像できた。


 広場近くに建てられた建物は、雑貨屋と飲食屋が多い。それらの建物は運が良いものは、一部が、運が悪いものは、すべてが崩壊していた。

 兵士は遠い目をして言った。


「壊された建物の再建もしなければなりません。これからが大変ですよ」


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