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第八章:紅茶中学の人々

「・・・・・・・・・うん、じゃあ安西さん、使い魔に会ったんだ?へ?猫耳・・・?萌えた・・・?」


電話口から、安西さんの興奮した声が聞こえた。


「えっと・・・・よく分かんないけど分かった。じゃあまた明日、学校で・・・・・」



ガチャリ・・・と、電話の子機を置いた。


「ジュエルー、安西さんトコに使い魔来たってよー」

僕の部屋にいるジュエルに、少し大声を出して言った。

   

「名前なんだってー?」

少し間を置いて、ジュエルから返事が返ってきた。

「名前・・・・確か・・・シャム?とか言ってた気が・・・・・・」

「シャム?猫か?」

「あー、猫耳生えてるとかなんとか言ってた」

羽だったり獣耳だったり・・・・使い魔ってファンタジックだな。

   

「猫が使い魔になったのか・・・・。明日にでも顔出すか」

「へ?知り合いなのか?」

「まーな。あ、やっぱこっちから行くの面倒だわ。勇気、お前明日猫とそのハンター連れてこい」

「なんで僕!?」

「お前の他に誰がいる?」

お前が会いに行けばいい事だろ!!!

・・・・でもいいか。僕もそのシャムって使い魔に会ってみたいし・・・・。

「勇気ー、今日の夕飯はなんだ?」

「・・・・今日もここで食べてく気っすか?」

「勿論」

「・・・・・・・・・・・・・シチューだよ」




―――――翌日


「・・・・・・・・・ってワケで、そのシャムと一緒にウチに来てくれって事なんだけどさ・・・・」

「別に良いよ?私もジュエルさんに会って見たいし・・・・・・じゅるり」

・・・・今『じゅるり』って聞こえたような・・・・・。気にしないことにしよう、うん。


「ゆーーーうーーーーきーーーーー!!!!!!!!」

後ろから何かが発射された。僕が思わずよけると、それはズザァァーっと床に転げた。

「あたたたた・・・・ひっどーーーーい!!なんでよけるのぉ〜???」

・・・・・・メイだった。

「ご、ごめん・・・・っつーか突進してくんなって」

「最近かまってくれなくてさーーーみーーーーしーーーーいーーーーのぉぉーーーーーー!!!」

最近もなにも・・・・小さい頃はそりゃ幼馴染だし遊んだけど。数年前位からもう特にじゃれあってない。

「メイ、僕用事あるから・・・・・」

「ぶー・・・またはぐらかすぅ・・・・」

だって絡まれると厄介なんだもん!!突進されると痛いし!!!



逃げるように教室から飛び出すと、


                   ドンっっ!


肩に何かがぶつかった。

「あ、ゴメン・・・ってなんだ、勇気じゃん」

「『なんだ』って酷・・・・聡」

ぶつかって来たのは(僕からぶつかったのかもしんないけど)石川聡(いしかわそう)

大の女好き。言っとくけど、タメだからな?中二で既に・・・・先が思いやられる。どうでも良いけど。

「また舟澤とイチャついてたのかー?」

「や、違うし。なんで君はそんな風にしか見えないのさ?」

「俺じゃなくても全員そーゆー風に見えてると思うけど?♪」

振返ると、教室の中に残っていた生徒の大半が「うんうん」と首を縦に振っていた。

「え、やっぱそう見えるー?アタシ嬉しいーー!!!」

メイが顔を赤らめて言った。


や、違うから!!コイツとはただの幼馴染で・・・・と言おうとした時、聡がメイに駆け寄り

「ねー舟澤、勇気なんかより断然俺の方が良いと思うんだけど・・・・どう?」

とフェロモンむんむんで囁いた。

うわー、キザだー。二年生の中坊が言うセリフじゃないな、これ。

でもメイを貰ってくれるんならありがたい事極まりない。

え?酷い?知ったことか。コイツが居ると、今みたいに普通(・・)じゃなくなる。それが僕は嫌なんだ。


「えー、石川君キザだからヤー」

メイのストレートが聡にヒット!!お前も結構ザックリいくな、メイ。

でも聡は諦めてない様子。

「勇気は良いよなー。船澤に惚れられて・・・代われよ、コンニャロー」

「代わってくれるなら代わって下さい、なんなら菓子折りもお付けします」

「勇気酷ぉーーーい!!」

「・・・・って事で、船澤俺どう?」

「ヤー!ぶー・・・・・・・・・・・」


クラスの奴等が『三角関係』だの『恐怖のトライアングル』だの『愛の奥様劇場』だの言い始めたので、僕はそそくさと

教室を出た。つーか最後の『愛の奥様劇場』ってなんだ!?意味が分からん上になんか危うい感たっぷりだぞ!?


   

あても無く教室を出たので暫く廊下をブラブラしていると、向こうから女子が歩いてきた。

別に女子が向かって来ても全然おかしくない。むしろ普通。そう、でもこれは歩いてきたのが普通の女子だったらの話。

向かい側を歩いている女子は、造り物のみたいに綺麗で・・・・可愛いなんて言葉は似合わない。黒髪が風に靡いてる。

目は少しつり気味で・・・・って・・・


「じゅ・・・・える?」


僕は顔を引きつらせた。なんでここに!?

「ん?お、勇気ここに居たか」

「なんで・・・・」

「やー、あんまりにも暇だったもんで」

「もんで・・・・?」

「潜入☆」

「すなーーーー!!!!」

冷や汗ダラダラで叫ぶ僕に、ジュエルは

「あんまり叫ぶと身体に毒だぞ」

と平然と言った。お前のせいだろうが!!

「や、でも本当にあんまり叫ばない方が良いぞ?じゃないと変人扱いされるぞ」

「大声だした位で変人になって堪るか!!!」

「ただの大声じゃなくて、大声で独り言言ってる奴って変だろ?」

「話はぐらかすな!!今僕はお前に説教を・・・・・・・」

「お前は今、そう見られてるはずだ」

   

・・・・・・・・・・・・・は?

   

「アタシは霊感が強い奴や使い魔持ちの奴以外には見えないんだ」

「そ、そなの?」

「だから、お前は今、傍から見れば変な人に見えるのさ」

えー・・・・・・・・・それってヤバくね?



            ヒソヒソ・・・・・あれって二組の斉藤・・・・・ヒソ・・・ヒソ・・・・



うわーーーーーーーーー!!!!!!!なんか人々の怪しい陰口が聞こえるぅぅーーーーーーーーー!!!!!!!


「え・・・・・と、斉藤君・・・・・?」

振返ると、そこにはこの前『お友達データ』を書けと言ってきた子が目の前にいた。名前なんだっけ・・・なんて言ってる

場合じゃない!!!!


「さっきから独りで大声出してるけど・・・・・・・どうしたの?」

恐る恐る聞いてきた。周りの奴等も僕の回答を苦笑いしながらジーッと待っている。


「あ・・・・・えと・・・・さ、最近ストレス堪ってたから・・・・・ば・・・爆発?」

   

うあーーーーーーーーーーーーー!!!自分で言っててなんだこの言い訳ーーーーーーーー!!!!!!!こんなの言った

ら逆に不振がられ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「そっか・・・・・斉藤君も・・・・・大変なんだね・・・・・!!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

何周りの人も「うんうん」って言いながら頷いてるんですか。

「ズビビ・・・・」って、なぜ君は涙を流してるんだい?そんなに僕を哀れに思いでもしたのかいな。

や、そこの君、「分かる・・・・・分かるよ、斉藤!!!」って手を握られても困るってば。


「斉藤・・・・・・・・悩み事があるみたいだな。なら・・・・先生と語り合おうじゃないか!!!!なんでも相談にのったるわぁ!!!」

先生!!なんでそんな熱くなっちゃうんですか!!!つーか皆、こんな言い訳信じるなよ!!!!!

大丈夫か、紅茶中学の生徒&教師!!!!!!!!確かに名前からして変な学校だけどさ!!



なんとか同情の渦から抜け出した僕は、また逃げるように教室に戻ってきた。

「お、勇気さっきはなんか凄かったな?」

健がやっぱりニコニコ笑いながら話しかけてきた。嗚呼、僕のせめてもの癒し!!

「やっぱ悩み事あんのか?」

健の顔から笑顔が失せ、窓の外に目をやると天気までもま雲行きが怪しくなった。

「ぜ、全然っっ!!全くもって平気!!!」

「平気じゃないだろ?」

うう・・・・まぁそうなんだけど・・・・。

「あ、よ、予鈴!!ほら、もう席着かなきゃ、な?」

「うー・・・」と唸る健を横目に、僕は席に着いた。

だってバレて変人扱いされたくないし・・・・。健ならしないと思うけど。

でもやっぱり教えられない。普通(・・)じゃないもん。



タニシの話が終わり、下校時間。


今朝ジュエルに言われた通り安西さんと使い魔を連れて行くため、僕は安西さんの家の前で待っていた。

「遅いなぁ・・・・・・何してんのかな」

そう言ったとたん、ドアがバァン!!と開き、安西さんが出てきた。

「ゴメンね、遅くなって・・・・。シャムがなかなか行きたがらなくって・・・・・」

「俺は絶対行かねぇぞっっ!!!!」

安西さんに手を引かれ出てきたのは・・・・・・・・・

「ね・・・・・猫耳?」

「・・・・・・俺の印象はそれだけですか」

や、だってかなり印象的だし・・・・・。

「ね、可愛いでしょ?斉藤君」

安西さんがこれまでもなくイイ笑顔を見せた。

「可愛いっていうか・・・・・・凄い?」

「凄い!?」

なかなかツッコミ役の人だ。ジュエルにもツッコんでくれるかなぁ・・・・・・。

「お前の使い魔・・・・・・ジュエルだったよな?」

シャムさんが恐る恐る僕に聞いてきた。

「そう・・・・ですけど?」

「・・・・・・・・はぁ・・・・・」

ため息!?そりゃぁ・・・・あのキャラは結構濃いけど・・・・・。

「『ジュエルさん』なんて・・・・名前も可愛いのに・・・・」

安西さんの目がキラキラ光っている。すげぇ。人の目って本当に光るのか。

「も・・・・もしかしてこんな風に・・・獣耳とか付いてちゃったり・・・・・する?」

安西さん、なんでそんなに息荒いのさ。

「「アイツは翼が生えてるぞ」」

僕とシャムさんの言葉が重なった。

「つ・・・・つつつつ翼!!!!!!!・・・・」

お、目の輝きが増した。


「あの・・・・・シャムさん?」

「『シャム』で良いぞ」

「あ、じゃあシャム・・・・。ジュエルと友達なの?」

違かったのか、シャムはめちゃくちゃ顔を引きつらせた。







シャムは顔の引きつりがまだ戻らない。お、なんかブツブツいってるぞ?


安西さんは相変わらず「翼・・・・羽・・・・・」と目を輝かせている。



そんな二人を僕は家へと導きながら、ちょっと引き気味で見ている。

今回は勇気の学校の色々と出てきましたねー。聡は前々から出そうと思っていたキャラでした^^女好きのマセガキ(笑 熱血先生も出そうと思ってました。勇気のおかしな行動にいちいち対応してくれる良き先生ですb



次回はジュエルとシャム&安西さんのご対面です☆

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