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第四章:ジャンク

「あれ・・・?紅茶のリーフの缶がない・・・・」

そういえばこの前切らしてたんだっけ。しょうがない、麦茶を持って行くか。

硝子でできたコップに氷を入れて、麦茶を注いだ。



                    カラン・・・・コロン・・・・



薄暗い廊下にコップの中の麦茶と氷が揺れる音が響いた。

これから全てを知る事ができる・・・と思うと、なんだか怖い。なんだか胸が苦しくて、もう僕の部屋は目の前なのに足取りが

重くなった。

   

ドアの前で立ち尽くす。面接の時みたいな緊張・・・いや、もっと重苦しい感じだ。面接受けた事ないからわかんないけど。

やっぱり、怖い。あまりの唐突さにさっきは信じていたけど・・・僕が化け物使いだって?冷静に考えれば馬鹿な話だ。


「やっぱり幻覚なんじゃ・・・・」

そう呟いた瞬間、ドアが勢い良く開いた。



「遅い!!!!!」

    

                  

                         バンッ!!ドカッ

   

   

「・・・のやろ・・・・・いきなり開けるな・・・」

顔を思いっきりぶつけた。しかし麦茶は無事だった。余計腹がたつ・・・・。どうせならこいつにぶっ掛けてやれば良かった・・・。

って殺されるか。

   

「なんだ、そこにいたのか」

「なんだじゃねぇよ・・・・」


嗚呼、いつも温厚な僕はどこへ行った・・・。自分の事を『僕』っていう中二男子なんて今時いないぞ・・・。そんなに温厚な僕

がさっきから怒鳴ってばっかだ・・・うふふふふ・・・・。

   

「壊れてないでさっさと部屋入れ」

「言われなくても入るっつーの・・・」

つーかまたもや心を・・・

「顔見りゃ分かるぞ。誰だってな」

やっぱり心読んでんじゃん!!

   

   

僕は麦茶の入ったコップを「ほれ」と言って渡した。

女はまじまじと麦茶を見つめてる。あ、異世界の奴だから麦茶とか知らないのか?

怪訝そうな顔をして女は麦茶を一口飲んだ。・・・と同時に・・・・

「まずっっっ!!!!!!!」

「まず!?まず・・・い?」

「なんだこれ・・・」

「麦茶ですけど・・・・・」

「この世のものとは思えねぇな・・・」

この世のものじゃ無いのはお前だろ。と思ったが、言わないでおこう。

「おい・・・・他の持って来い」

「あいにくウチには麦茶しかありません」

「じゃあ買って来い」

「三十分ほどかかりますが、それでもよろしいのですか?」

はい、鎌かけてますが何か?

「霊でも使って言って来い。あいつ等なら三分だ」

僕はチラッと部屋に不運にも居合わせてしまった霊達を見た。と、同時に涙を零した。いえ、僕じゃありません。霊達です。そんな

に嫌なのか・・・・。つーか霊達が買い物できるわけねーだろ。


「しょうがねぇ・・・・この麦・・とかいう奴で我慢してやる・・・」

麦が出て、なんで茶が出ないもんかねぇ〜。記憶力が無いのか、単なる馬鹿なのか。

「・・・・・使い魔さん、なんで僕の首に縄を掛けてるんでしょうか・・・・?」

「自分の胸に手を当てて考えな」

「やっぱ読心術使えんのかよ!?」

僕の必死の謝罪で、首絞めの刑は免れた。


   

「じゃあ、本題に入るぞ」

女はコップを床に置いて静かに話し始めた。


   

「さっきも言ったが、お前らの能力は神がなんの取り柄も無い子供等に故意的に与えたものだ。逆を返すと、なんらかの飛び出た特技

がある奴はどんなに地味でも能力を与える事はできないんだ」

まぁそりゃそうだろうな・・・。

「天界の人々も、神の意見に反対しなかったしな」

そこで反対してくれれば僕はこんな事になんなかったのに!!恨むぞ、天界の人々・・・・って、これ逆恨みだな。

「ある年、神に、一人の神がこう頼んだ『俺の息子にも能力を与えてくれ』・・・と」

ん?もう一人の神?

「使い魔、そのもう一人の神ってなんだ?神は一人じゃないのか・・・?」

「んー・・・話せばややこしくなるが、神は全部で六人いるんだ」

「六人も!?」

「子供達に能力を与えた神は、全知全能で人々から『神』と言われる総合的な神だ。その他の五人は、天気やら自然やら愛やらひとつ

の事に関しての神だ」

「ふーん・・・分かったような分からないような・・・」

「その他にも国々で『神』と言われてる奴等もいるが、大抵神じゃなくてただの天界人だったりする」

「なんじゃそりゃ!!つーか天界って・・・?」

「そのまんま。人々が『天国』と言う場所だな。そこに住んでいる人々の事を、『天界人』と言うんだ」

「へー・・・使い魔も天界人なのか?」

「アタシは違う。また今度話すが・・・」

確かにな・・・。コイツが住んでるとしたら天界じゃなくて地獄界って感じだな・・・・・。

「話戻すぞ。それで、担当は忘れたが一人の神が自分の子供にも能力をくれと言ったんだ。しかし、その子共にはその神と同じ能力が

備わっていた。しかも、それ以外でも特技は満載、顔も良いと来た」

「それじゃあ能力なんてあげれないよな・・・・って、顔の良さ関係あるのか?」

「神はもちろん断った。しかし、なかなか諦めてくれない。何度も何度も頼みに来た」

無視ですか。そうですか。てゆーか神ばっかりで頭こんがらがって来るな〜・・・

「じゃあ五人のうちの一人の神の方を『雑魚神』と呼ぶ」

またまた心読まれた!?つーか雑魚って酷いな!!

「ついに神はしつこい雑魚神に一喝した。『つーかぁマジしつこいんだけど〜。ダメなもんはダメって言ってるじゃんー。もう遊んで

あげないんだからぁ〜〜!!!』ってな」


神、お前女子高生か!!一喝にもなってないし!!しかも遊んでたのかよ!!!ホントに女子学生風だな!!!!


「何度も言うが、孫もいる爺さんだぞ。神は」

「すっごく信じがたいけど・・・・」

「それでな、その言葉に怒った雑魚神は・・・・」

そりゃ怒るわな・・・・。完璧なめられてるし。

「今まで神が能力を与えてきた子供達を集め、その証の傷に×を付けたんだ」

「それがジャンクだ・・・・と?」

「その通り。×は、付けられた者の能力を暴走させ、自我をも失くさせる。つまり操り人形みたいになっちまうんだ」

「なんだそれ・・・。自分勝手にも・・・ほどがある・・・・・」

なんかムカつく・・・・ってあれ?なんで僕は無事なんだろう?ホントなら僕も×が付いてたはず・・・・

「それが、『ジャンク』と『ハンター』の違いだ」

・・・・・・???もう心を読まれた事なんかどうでも良くなってきた。

「『ジャンク』の意味は、クズや雑魚という意味なのは知ってるな?」

「え、そうなの?・・・って酷くねぇ!?勝手に×を付けられただけなのにそんな・・・・・」

僕が言い終わらないうちに、女は説明し始めた。

「由来は、雑魚な神から×を付けられたってのもあるが・・・」

雑魚神・・・・天界の皆に馬鹿にされてたのか・・・・・・。

「一番重要になったのは、×を付けられるのを防いだかどうか、という事だ。」

×を・・・・防いだ?

「そうだ。雑魚神が集めた能力者、零〜五歳の子供達千二百人のうち四百人は自分の能力で×を跳ね返したんだ」

しばらく体調を崩してたので、更新が遅くなってしまいました・・・(-_-;)この回は書いてて楽しかったなぁ〜。神の女子高生風な発言を考えるのが大好きなんで♪次回も神のセリフを入れていきたい・・・・。

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