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第十三章:荒らしの後に・・・

私は化け物だ。

     

どうせ私は化け物だ。

     

そんなの分かってる。

     

何人の人を傷つけたか分からない。

     

殺めてしまった人もいたかもしれない。

     

もう・・・・・・・・戻れない。

     

しょうがないよ、私は化け物なんだもん。


化け物は、人間じゃない。



「君は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪くない」


あなたは誰?なんでそんな事を・・・・・・・


「・・・・・・・・・・・君は辛かったんだね」


やめて・・・・・それ以上言わないで・・・・もう諦めてるんだから・・・・・・・・・・・・・

     

「大丈夫。君は化け物なんかじゃない。人間だよ」


諦・・・・め・・・・て・・・・・・・・・・・・・・・・




                        パリン




                       パチッ!!!



「あ、目、覚めた?」

目を開けると、そこには額に包帯を巻いた男の子が私の顔を覗きこんでいた。

「え・・・・・わ・・・・たし・・・・・・・なんで・・・・・・?」

「おー、人間やっと起きたかー。待ってる間どんなに退屈だったか・・・・・・」

「!!!!?」

ま、真っ赤だ!!髪も瞳も服も・・・・・・・・。

「だからもう帰って良いって言ったのに・・・・・・火玉」

「だってさ、久しぶりに地上に出られたんだからもうちょっと見物したいじゃん」

「これからはいつでも呼び出してあげられるってば」

ポカンとしている私をよそに、普通に会話をしている包帯の男の子と赤い人。



「あ、ゴメンね。勝手に喋っちゃって」

包帯の男の子の視線が赤い人から私に変わった。

「う、ううん!!え・・・と、あの、その・・・・・」

「怪我はない?」

「お、ここ切れてるぞ?俺の目と同じ真っ赤な血で染まってんなー」

赤い人はケラケラと笑いながら私の腕を掴んだ。

「笑い事じゃないでしょ、火玉・・・・・。えーっと、なんか巻ける物は・・・・」

包帯の男の子は、そう言って辺りを探り始めた。

「あの、こんなの大丈夫だから!それより・・・・・」

「大丈夫じゃないでしょ?そんな血が出てたら・・・・・。火玉、その子見てて。僕布みたいの探してくるから」

「おー。あ、じゃあコイツ連れてけば?なんか此処の事詳しいっぽいし」

赤い人が指差した先を見ると・・・・・・・・・・・・・・何も無いんですけど?

「あ、さっきの女の子の・・・・・・じゃあ案内してくれる?・・・・・・・うん、ありがと」

包帯の男の子も普通に会話しちゃってるし!女の子って・・・・ホントに誰もいないんですが。



「お前大丈夫かー?さっきから全然血、止まってねーじゃん」

赤い人・・・・『火玉』って言ってたっけ。火玉さんが私を見下ろす。

「あ、本当に大丈夫だから・・・・・・。あの、さっき包帯の男の子が話しかけてたのって何なんですか・・・?」

「霊」

嘘をついた様子も無く、さらりと言われた。

「れ・・・・・!!!?」

「ちっせー女の子の。地縛霊だったけど、もうすぐ成仏出来そうだな」

「れ・・・・・れれれれれ」

私の身体から血がひいていくのが分かった。

「おい、なんか顔青いぞ?やっぱ血がヤバいんじゃ・・・・」

絶対そっちじゃない!!や、それも理由なのかな?でも、九割はそれが理由じゃない。

「霊・・・・・・って・・・・・・・ゆ、幽霊・・・・?」

「それ以外で『霊』って何があるんだよ?」

赤い人は苦笑いをした。

「で・・・・・・・ですよね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ん?どした?顔が気持ちさっきより青い様な・・・・」

     

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     

「にゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

「ふげ!?ど、どうした?気持ち悪くでもなったか?調子悪いか?」

ある意味正解。でも半分違う。

「ん?もしかして・・・・・怖くなったのか?」

私は涙目で頷いた。

だって「霊がいました」みたいな事言われたら怖いに決まってるじゃん!

「『水使い』なんてファンタジックな能力神から貰ってるくせに今頃何怖がってんだよ」

「あ、それは・・・・・・・えっと、その事なんですけど・・・・・・・・・」

よく思い出せないけど、この場所がグチャグチャに壊れてるのはきっと私のせいだ。

それに、包帯の男の子と戦った覚えもある。謝んなきゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「気にしないでいいよ」

いつの間にか、後ろに包帯の男の子が立っていた。

「下の階で売ってたらしき服を千切って持ってきたから、これで応急処置」

え・・・・・それってダメなんじゃ・・・・・・・・・。


男の子は私の腕に布を巻いてくれた。

「気にしてたんでしょ?ジャンクになって暴れた事」

「ジャン・・・・・ク?」

「あ、ジャンクってのはね・・・・・・・・・・・・・・・・・・」






僕は、ジャンクだった女の子に全部を説明した。

僕もよく分からない事が多いけど、とりあえずジュエルとシャムが言ってた事をそのまま言ってみた。

多分、この女の子もハンターになってしまうんだろうし、今のうち教えておこう。ジュエルに会った時の僕みたいになったら困るだろう

し。僕って優しい、うん。


「えーっと・・・・・・・・・・・・・」

全てを話し終わった。女の子は理解してくれただろうか?安西さんタイプならすぐ飲み込んでくれるだろうけど。

「つまり、私のこの化け物みたいな能力は、神がくれたものって事?それで、雑魚な神が×を付けた・・・・」

「まぁ、そーゆー事になるね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

やっぱりすぐには飲み込めないよなぁ・・・・・・。雑魚神とか×とか。

「神・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ん?」

「ざけんな・・・滅びやがれこのクソ雑魚ゴミ神ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

ぇえーーーーーーーーー!!!!!!!!!

なんかいきなり叫び出しちゃってるよ!?

「地獄に堕ちろ!!!!閻魔の方がお似合いだ!!!!!!!!」

なんかスイッチ入っちゃった!?

「お前のせいで・・・・・・・どんなに・・・・・・・・・・」

地面にポタッと水が落ちた。

女の子が泣いていた。

「どんなに・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・君は人間だよ?」

まただ。僕の口は勝手に動いた。

「君は人間だし、化け物じゃない」

「だって・・・・・・・こんな・・・・・・・こんな人を傷つける能力・・・・・」

「君は悪くない」

僕の口から発せられた言葉は、自分でも驚くほど説得力があった。

「だよなー。別にさ、お前が好んでやった事じゃないし自分を責めるのもどうかと思うぜ?」

火玉が伸びをしながら言った。

「悪いのは雑魚神とお偉いさんの神なんだから、気にしないこったな」

「火玉、あの女子学生風の神は別に悪くないんじゃ・・・・?確かに僕等に能力を与えやがったけど」

「俺はアイツが嫌いだからな。何もかも神のせいにしてやる」

酷っっっ!!!!!ま、僕も多少あれのせいでこうなったんだと思ってるけどね。

「話それちゃったけど、とりあえず火玉の言うとおり君が悪いわけじゃないんだし、気にしなくていいよ」

「で、でも・・・・・・・・・・・・」

「よし、応急処置終わり!結構キツク縛ったから痛いかもしんないけど」

「あ、ありがとう・・・・・」

「どういたしまして」

僕は女の子の顔を覗きこんでニコッと笑った。

「う・・・・・うわぁぁあーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!」

女の子は崩れるように泣きだした。

「おお、号泣とはこの事だな」

「火玉・・・・・・・・・・」

「それにしても、お前女らしくなったなー。女々しいとかそういう意味じゃなくて」

何それ!?全然嬉しくない!!!!!

「小さい頃から女顔だったけどなー。なんか今は子供をあやすお母さんみたいだぞ?」

「ははは・・・・・それ、嫌がらせで言ってるの?」

「いや、褒めてんの」

「ありがとう・・・・・・全然嬉しくない」

「だろうな。それを狙って言ったんだから」

「結局嫌がらせかよ!?」

火玉はケラケラと笑いながらスゥっと消えた。どうやら帰っていったらしい。



「泣きやんだ?」

「う・・・・・・ん」

女の子は手で涙を拭いた。

「じゃあここから出ようか?」

僕はまた女の子が泣きださない様に、なるべく優しい笑顔でそう言った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

女の子が僕を見たまま動かない。

あれ?心ばかしさっきよりも顔も赤くなってる様な・・・?

わ!!真っ赤!!!!

「えーっと・・・・・・まだどっか痛い?」

「え!!あ、ううん!!!!だ、大丈夫大丈夫!」

何かを振り払う様に否定する女の子。一体どうしたんだろう?

「えっと、あの、その、だから・・・・ゲホッ!ゴホゴホ!!」

本当にどうしたんだ!?

「ご、ごめん・・・ちょっとむせただけ・・・・・ゴホッガハ!!」

ほんとにむせてんの!?それ。

「慌てなくていいから、落ち着くまでここに居な?僕はちょっとジュエルの方に行って来るから」

僕は、そう言って走りだした。

それにしても大丈夫かなぁ?あの子。なんとなく同い年か年上っぽかったけど。




外に出た。空は、もう夕焼けで赤く染まっていた。確かジュエルが居たのは・・・・・・・

「あ、居た!!!」

僕はジュエルに駆け寄った。

気を失っているらしく、ジュエルは脇腹を押さえながら目を閉じている。

僕は、そこら辺にいた適当の霊を集めた。

「あ、おじさんは ジュエルの足を支えて。君は背中頑張って。あ、あと・・・・・」

霊達にジュエルの身体を支えさせて、家に運んでいってもらった。


    

走って建物内に戻り、女の子の手を引いてまた外に出た。

でもなんでだろう?さっきよりもっと顔が真っ赤に・・・・・・・。

「ここからの帰り道分かる?」

「えーっと・・・・・た、たぶん・・・・・」

「心細いなら・・・・あ、さっきの女の子の・・・のぞみちゃんだっけ?・・・・・・・・うん、この子の家まで連れてってあげて」

僕は、ずっとそばに居てくれていた女の子の霊に話しかけた。

「あの、何とお話しを・・・・・・・」

女の子はおずおずと僕に尋ねた。そっか、他の人には見えないんだ。

「まさか・・・・・霊?」

「うん、そうだよ?」

「ひっ」と声をだしたまま、女の子は動かなくなってしまった。別に害は無いのに。普通じゃないけど。

「じゃあ、この霊にお願いしたから」

女の子の体はふんわりと浮かびあがった。

「え!?え、えぇ!?」

「霊に君の家まで送り届けるよう言っておいたから」

地縛霊だったけど、簡単に操れた。まあ地獄の者を地上に来させられる位だし当然なのかな。

・・・・・・って僕の中の「当然」が「普通」じゃ無くなってる!!!危険信号だ!!!!!!!!

     


「じゃ、落ちないようにね」

「えっと、その前に・・・・・・・・・」

女の子はまた顔を赤らめた。

「私は奈緒。赤城奈緒(あかぎなお)。貴方は・・・?」

「僕?勇気だよ」

「ゆ、勇気君・・・・・・・・・・・・・かっこいい名前・・・・」

 ん?最後らへんでなんかボソボソ聞こえたぞ?聞き取れなかったけど・・・・・。

「ゆ、勇気君、ありがとう!!!」

「いえいえ、じゃあ奈緒ちゃんも頑張ってね」

「へ?頑張るってぇぇぇぇええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」

奈緒ちゃんを乗せた霊が猛スピードで発射した。

「うわぁ・・・・・・・スピード違反だよ・・・・・・・」

僕はそれを見ながら思い出した。

「あ、奈緒ちゃんにハンターの事教えて無かった・・・・。肝心な事なのに」

結局奈緒ちゃんも驚かされる事になるのかなぁ。ま、いっか。





家に着き、部屋のドアを開けた。ジュエルがベッドに横たわってた。

「もうそろそろ起きるかなぁ・・・・」

やられた直後にジュエルを見た時、傷口はかすり傷程度で、むしろ衝撃でのショックの方が大きそうだった。

「病院とか連れてかなくて良いのかなぁ」

あ、でも他の人に見えないからダメか。

「ん・・・・・・・・」

ジュエルの目元が動いた。

「ジュエル・・・・?」

「ゆ・・・・うき・・・・・・いつつ・・・・」

「無理して起きない方が良いよ。傷、浅かったけど結構血でてたし」

そんな僕の優しい忠告を無視し、ジュエルは躊躇いもなく起き上がった。

「アタシとした事が油断したな・・・・・・・・で?お前はあのジャンク狩ったわけ?」

なんかムカつくなぁ・・・・。

「狩ったっつーか・・・・・前みたいに×を壊した」

「ま、それはどうでも良い」

どうでも良いって!!酷すぎ!!!

「お前、アタシからキャンディーをひったくった時、なんて言った?」

「え?」

なんて言ったっけ・・・・・。確か・・・・

「確か・・・・あの時から僕、自分でも思って無い事を言っちゃってたんだ・・・・・・」

「・・・・・・・・つまり、よく覚えてない・・・と?」

「う、うん・・・・・・・・・・・・・・」

しばらくジュエルは黙り込み、何かを考えていた。

「・・・・・ま、来る時は来るし、考えても無駄だよな」

「へ?何か言ったか?」

「んあ、別に。それより勇気、腹減った。飯作れ」

人が下手に出れば・・・・・ぶん殴りてぇ!!!!!

でもそんな事したら返り討ちだな。うん。



僕は無駄な抵抗をせず、夕食を作りに台所へ向かった。



                  

                       『勇気、お前は人間だ。化け物なんかじゃない』




「・・・・・・・・へ?」


そんな声が、した様な気がした。

でも聞こえるのはさっき振り出した雨の音だけ。


「勇気、三十分以内に作れよー」

「そんな無茶な・・・・・・はいはい、分かりましたよ」

勇気のモテモテフラグです(笑

私は基本的ハーレム好きなんで、これからも色んな女の子に勇気の魅力をとことん押し付けます!(ぇ


とりあえず勇気の謎に触れちゃったよ編は終了です。なんか重かったから、次は軽いのにするかー。

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