表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

第十二章:水

少しグロテスク・・・・・・でもないか。まぁそんな感じの表現が有ったり無かったりします。ほんとーーっに苦手な方は、読むのをお控え下さい。

お客さんは全員外に逃げたらしく、建物内は静かだった。

アナウンスや曲も聞こえないところから、放送室も被害を受けたんだろう。


とりあえずジャンクを探さなきゃ。でもどこにいるんだろう?闇雲に動いても危ないし・・・・・・。



                     チョンチョン


服の裾が引っ張られた。目を下にやると、そこには小さい女の子の霊がいた。

『あのね、ここをね、こーんなにしちゃったおねえちゃんのことさがしてるの?』

ジャンクは女の子だったのか・・・・・・。

『だったらね、のぞみね、しってるよ?』

「へ?知ってる・・・・・の?」

『こっちー』

服の裾を強めに引っ張りながら、女の子は僕を導いた。



   



着いた所は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・電気コーナー?

隣にはゲームセンターがある。


『ここにね、お姉ちゃんね、いるよ』

「あ・・・・・ありがとう・・・・・」

女の子はにこっと僕に笑って見せた。



一歩足を出した途端、バリバリという音と、何かに引っ張られる衝撃がした。

   


「いてて・・・・・・・」

引っ張られた方向を見ると、さっきの女の子の霊が僕の腕を掴んでいた。

そして音の方向を見ると・・・・・・・・・



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴方、だぁれ?」


水に包まれた女の子がいた。その水は、電気を帯びていた。

僕がさっきまで立っていた場所は、電気がパチパチと光り、床がボロボロになっていた。

女の子の霊が僕を引っ張ったのは、この攻撃に気付いたからか。

「ありがとう・・・・助かったよ」

僕は涙目で立っている女の子の霊に笑いかけ、スクっと立ち上がった。


   

「貴方誰なの?私を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・狩りに来たの?」

このジャンク、安西さんの時よりも意識がはっきりしてるというか・・・・意思をちゃんともっているというか・・・・。

これが×に取り込まれたジャンク・・・・・なのかな。


「僕は・・・・・・・・・・ハンターだけど、君を狩りに来たんじゃないよ」

僕は、君を助けに来た。

「・・・・・今まで来たハンターは、皆私に勝てなかった。逃げていった。または・・・逆に私が狩った」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「貴方も私に勝てない」

このジャンク・・・・・・いや、この女の子の目、とっても悲しい。痛い。

僕と同じなんだ。僕と同じように傷ついて、でも能力は消せなくて。×に操られ続けた・・・・・。

・・・・て、僕何思ってんだろう?僕が傷ついた?確かに普通じゃ無かったのは嫌だったけど・・・・・・・・。

やっぱり自分が分からなくなる。自分の思っている事なのに。



                   ドガ・・・・・ガシュ、バリバリ・・・・・・・・・・



僕の目の前で電気が散った。

あの子の傷を見つけなきゃ。早くしないとますます×に・・・・・・・・・・・




                 じゅう・・・・・・・じゅううメリメリううううううう・・・・・



「な、何だ、この音・・・・・」

「う・・・・・・・ぐぐ・・・・・・がっ・・・・・・・」

変な音と共に、唸り声が響いた。

「ま・・・・・・・・さか・・・!!!!」

近寄ろうとすると、水の壁が現われた。

『あのおねえちゃん、くるしがってる』

女の子の霊が僕の指を掴んだ。

『こころのなかでね、くるしいよぉ・・・いやだよぉ・・・・って』

   

「そう・・・・・・・・か。そうなのか・・・・・・・・・」

嫌だよな。そりゃ嫌だよな。分かるよ。君は悪くない。



「君は・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪くない」



僕はキャンディーを口に含んだ。キャンディーはすぅ・・・と溶ける様に無くなり、体が熱くなった。

確かキャンディー一個につき、一回の能力しか使えないってジュエル達が言っていた。

最低、瓶の中に一個はキャンディーを残しておかなきゃならないとも言っていた。今中に入っているのは・・・・十二個。

あれ?前見た時より増えてる・・・・・?って、今はそんな事気にしてる場合じゃない。


「わた・・・・わたしは・・・・・神・・・に・・・・いた・・・・頂いた・・・・・・・しる・・・し・・・・・で・・・・・・・人・・・・を・・・・・・・滅・・・・ぼす」




                       ボコ・・・・・ボコボコ・・・・ボコボコボコ・・・・




ジャンクの右腕から黒い靄が次々と出て、辺りは闇に包まれた。



「ば・・・・×に取り込まれ・・・・!?」

僕が呟いた途端、僕の足に水が絡んできた。

「何これ・・・・・?動けな・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「お前ヲ・・・・・倒しテ・・・・・・・・・ほろ・・・・ほろ・・・・・・・滅ボ・・・・・・・」

次々と水が体に絡み、僕は身動きがとれなくなった。



『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

   


僕は呪文を唱えた。やっぱり勝手に口が動く。まるで口が意思を持ってるかのように・・・・・・。



『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・出てこい、地獄の番人・「火玉」』

   

その瞬間、ポンッと赤い服に燃えるような真っ赤な髪・瞳をした男の人が現われた。

   

『ここ地上か?・・・・・・・・・・って勇気じゃねーか!!!!何年ぶりだ!?やー、懐かしい懐かしい〜♪』

「えーっと・・・・・火玉・・・・だよね?小さい頃だったから記憶がおぼろげなんだけど」

小さい頃、よく色んな話しをしてくれた火玉。赤い瞳と赤い髪は今でも変わんない・・・・・・。

『なになに〜?地獄でも噂は聞いてるよー。なんかジャンク?だっけかが暴れてるんだって?大変だねー』

・・・・・・・・・うん、こんな感じだった。めちゃくちゃ能天気だったよ、この人。今まさにその現場なんですが。

『んで?俺に何のようさ〜』

「そのジャンクが今ここにいるのよ」

『へー・・・・・・ってえぇ!?』

「とりあえずこの水をどうにかして・・・・」

『お、水は得意であり苦手な分野だな〜。ま、降りかかって来ない水程弱いものは無いが』

火玉は自分の手の平に炎を宿して、それを水に近付けた。すると、みるみるうちに水は蒸発していった。

『それにしても地上にしては暗いな・・・・ここ』

そう言うと、火玉は手の平の炎を分裂させ、辺りを赤く光らせた。


これで辺りが見える様になったけど・・・・・・ジャンクはどこに?

辺りを見回すと、何かが近づいてくる気配を感じた。そして、火玉が灯した炎が「じゅ」という音と共に消えた。

『うわっ!水モロに喰らった〜・・・・だから水は嫌なんだよー』

「水・・・・って事は近くに・・・・・・・・」

「私・・・・私ハ・・・・・・憎・・・・イ・・・・・・・・・・・」


   

『憎い』・・・・・・・・・それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   

「それは、何に対しての気持ち?人?神?それとも・・・・・・・・・普通じゃ無い自分?」

僕の口はまた、勝手に動いていた。

   

「う・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・・・・・うあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


闇が濃くなっていく。多分、×が暴走してるんだ。能力者の意思が爆発してしまったから。

・・・・・・・・・・・て、なんで僕こんなに理解してるんだ?


「・・・・・・・・・・・君は辛かったんだね」


僕は瓶を取り出し、キャンディーを口に入れた。


『霊達よ・・・・・・この場を光で照らして・・・・・・・・・・・・・・・・』

僕の下に霊が集まった。そして、一斉に光を放った。

「・・・・・・・・・ありがとう、これで見やすいや」

僕は、崩れているジャンクの下に駆け寄った。

あの時黒い靄は腕から出ていた。多分傷はそこにあるだろう。



「う・・・・・あ・・・・・・嫌だ・・・・・・・イヤ・・・・・ダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「大丈夫。君は化け物なんかじゃない。人間だよ」


化け物?人間?意味は分かるけど、何がどうなってるのか理解出来ない。

自分の言葉に理解出来なくなったのはこれで何回目だろう?



僕は、ジャンクの腕に手をかざした。

大丈夫、君は怖くなんかない・・・・・・・・・・。




                      パァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・




この前と同じ光が飛び散った。

そして、彼女の腕からは×がスゥ・・・と浮かんできた。そして・・・・・・・・




                        パリン・・・・・



壊れた。

今回もシリアスめですね。

ちょっと明るくさせようと、急遽『火玉』を登場させたんですが・・・・・・・・・・・・。うーむ・・・・・;;効果はあんまり無い様子。次回はおもしろおかしくしよーっと(笑

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ