未来から君を助けに来た
<プロローグ>
もう一度…もう一度だけあの夏を…
君が居た…あの夏を…
開けっ放しの窓から風が夏の香りが流されていった。少し田舎のマンションに引っ越したばかりでまだ、荷ほどきすら終わってないダンボールが散らかった部屋の床で、君と僕は寝ころんでいた。
「まだ暑いなー…」
「そうだね〜…じゃあ仰いであげる」
そう言って彼女が手で仰いできたので、僕も仰ぎ返した
「全然涼しくないね……疲れた〜」
「そうだね、やめよっか…腕が疲れたね」
ふたりで顔を見合わせて笑い合うこんな幸せな日々が続くと思ったずっと続くと思っていた
あの日までは…
そう…彼女が死んでしまった。
事故にあったらしい。そして、耐えられなかった僕も死んだんだ…もちろん、自殺だったね。
<一日目>
「青年よ…あの夏を求めた青年よ…あの夏に戻りたいか?」
天使らしき人が聞いてきた
「あぁ、できればな…でも、俺も死んだろう?」
養子から言って、おそらく15,6歳の男子のようだ
「もちろん死んだよ。ゲームオーバーなんだ…人生はゲームみたいなもんだから、コンテニューができるんだ。」
「……何が言いたいのかわからないな」
「つまりだな、お前は生き返って彼女を助けるチャンスがあるんだ」
「……なんで俺なんかにそんなチャンスがくるんだ?」
「質問が多いな。まぁ百聞は一見に如かず!!頑張れ少年!!毎晩君の夢に行くから。ちなみに僕の名前はカリストだ。これからよろしく」
そういって、カリストが指を鳴らした
視界がぼやけ意識が遠のいてゆく
プツン
ミーン ミーン ジジジジジ…
「ぅるせえ…痛っ」
蝉の大合唱と、頭の痛さで目が覚める身体があるんだ…ズッシリしてる。
あぁ、懐かしい…この身体は俺のか?
いくつもの疑問を感じたが、考えるよりも先に深い眠りについてしまった…
精神的疲労が疑問より勝ってしまったのだろう。
目を覚ましたときには、もう日が暮れ始めていた。服はすっかり汗で濡れてて、ベタベタだった。
さっとシャワーを浴びて、寝巻きに着替え窓を開けて、布団に入ってスマホと扇風機をつけた。
あぁ、やっぱり戻って来たんだあの夏に… 蝉は泣きやみ、変わりに鈴虫の音が鳴っていた…
彼女と俺の寿命まで、残り1か月と2日
最初は最低なスタートをきった。