第24話 ゴローの葛藤
俺とトアンは森の奥へと急いだ。遠く離れたところに明かりが見える。ブレイズドラゴンの炎だろうか。そこへと走る。
「トアン、まだ遠いけど、視線は下げとけよ!」
「わ、わかってるさー! 今度はヘマしないぞっ」
そうして走っていると、明かりがこちらへ近付いてきた。やはり、ブレイズドラゴンだった。それが炎の剣に戻って俺の手に収まると、ブレイズドラゴンの記憶が俺の中へ入り込んでくる。
ブレイズドラゴンは、メデューサを追いかけ森を飛び回り、暫くしてメデューサを見つけた。そして、何度も自分の体をぶつけて炎の熱でメデューサを攻撃した。炎の竜の体はメデューサの体を溶かして突き破れるほどの高温はなかったが、それでもメデューサにとっては脅威だったに違いない。目が合ったがブレイズドラゴンには効かなかったようで、慌てふためき逃げ惑っているところにエステルの矢が何本も刺さり、足に矢を受け膝を折ったところにゴドゥのハンマーの攻撃を受け、絶命したようだった。
俺とトアンが炎の剣を明かりにして、遠くで新たに明かりが灯ったその場所に到着すると、ディアスたちがあのもちもちとした光球で辺りを照らしており、そこにメデューサが倒れ伏していた。頭の蛇はまだ動いている。
これで終わりなのか……。あっけなかったな。炎の竜が効果的すぎたのか。
「やったな、みんな!」
「おおお! トア~ン!」
「ちょ、ジジイ、抱きつくなって」
「心配かけおってからに……。今、このメデューサの首を持っていこうとしとったところじゃったわい。石化はおヌシが解いたのか? ゴロー」
「ああ」
「トアン、無事でよかったよぅ~。坑道からの足音には気付いてたんだけど、まさかトアンに向かうとは思わなくって……」
「え? アタイ、なんかヤバかったのか?」
「ああ、あとちょっとで破壊されるところだった」
「ひぇぇ~……」
「そ、そうだったのか……。トアン、ゴドゥ、すまない」
「ふん、ディアスの判断はわからなくもないわい。じゃからワシも食い下がらんかったんじゃ。ゴロー、ワシからも礼を言うわい」
「いやぁ、仲間だろ? それに、リヴィオもだよ。リヴィオがいなきゃ助からなかった」
「あっ、そーそー、なんかリヴィオ、すごい泣いててさ~」
「えっ、そうなの? なんで?」
「剣が折れたからみたいだけど……。あんなに泣くかなぁ」
「そうなんだ……。うん、わかった。じゃあわたしも行くよ。坑道で兄の探索もしたいし。他の皆は、森で探索をお願い」
「了解だ」
そうして、俺とエステルはリヴィオの元へ向かった。その最中、俺の心の中には葛藤が生まれていた。
メデューサを自分で倒さなかったためにクリスタルを得る機会を得られず、それによって、もしかしたら石化解除の力が手に入って石化した村の皆や他のものたちが治せたかも知れない。そんな力が都合よく得られるとは限らないが、俺は自分の理想とする変身ヒーローとして、自分でメデューサを倒すべきだったんじゃないか……。そう思ったのだ。
だが、そのために仲間にメデューサを殺さないように手加減させれば、そのせいで仲間を失うことになったかも知れない。そうなったら俺は酷く後悔しただろう。石になった者たちには悪いが、選ぶとしても、これが一番の選択に思えた。
リヴィオのいる場所に着くと、リヴィオは肩の荷が下りたような、すっきりとした顔をしていた。
坑道の辺りを見回したが、ストーンゴーレムはもう出てきてはいないようだった。あれで全部だったのか、それともメデューサを倒すと動かなくなるのだろうか……。
「リヴィオっ、だいじょうぶ? なんか、すごく泣いてたって……」
「あ、ああ。うん、もう平気だ」
「そう? ホントに? わたしとゴロー、これから坑道の探索に行くけど、来れそう?」
「行こう。魔剣の折れた私なぞ、あまり役に立たないかも知れないが……」
「そんなことないよっ。ごめんね、泣いてた理由、終わったらちゃんと聞くから。今は、兄が心配で……」
「聞いて貰わなくとも平気だ。だが、ありがとう」
そう言ってリヴィオはにっこりと笑顔を見せた。こういうとき、いつもは穏やかに微笑む感じだったので、意外だった。
そうして俺たちは、坑道の探索を開始した。再び炎の竜を呼び出して、照明代わりになって貰う。
「ゴローの竜のおかげで、厄介なメデューサ倒せてよかったよー」
「山火事にもならなかったし、優秀だな、お前」
そう声をかけると、炎の竜はひと鳴きして俺たちの周りを飛び回った。可愛いやつめ。
この竜がメデューサを倒してくれてれば、スライムのときのようにクリスタルが手に入ったかも知れないけど、もう過ぎてしまったことだ。
坑道に入って通路を進んでいくと、途中から立坑になっていて、四角い巨大な穴が空いていた。相当な深さで、底のほうは暗くてよく見えない。四角い壁面に沿って、幅が2メートルもないと思われる木の板でできた通路が何階層も底のほうまで続いており、その通路から横穴が掘られて、あちこちに穴が開いている。そして、あちこちにストーンゴーレムがいた。といっても、動いてはいない。メデューサが大量に作ったのだろう。
「そこかしこで、まだランプが灯っているな」
「うん。人が残ってるのかも知れない。おーい、誰かいませんかー!」
リヴィオに答えたエステルが大声で呼びかけるが、返事はない。
「ん……? 誰かいる。向こうの穴から、こっちに近付いてくるよ。あそこ、穴からもランプの明かりが見えるとこ」
エステルが指差した、地下4階にある反対側の壁面にある穴のひとつから、やがて明かりに照らされた影が木の板の通路に映った。
「あっ! 見るな!」
リヴィオが叫び、皆が目を逸らした。俺にもわかった、あの影の頭の形、あれはメデューサだ。
「まだいたのっ!?」
エステルは目を合わせないように姿を確認して、弓矢を構えた。そのとき、俺たちの斜め後ろに鎮座していたストーンゴーレムが動き出した。ヤバイ。エステルとの距離が近い。先頭にいた俺は、急いでエステルとリヴィオの脇をすり抜け、ストーンゴーレムへとパンチを見舞う。
それをカードしたストーンゴーレムは右前腕部を砕かれながら、なんとそのまま突っ込んできた。身体を押され、片腕を広げたストーンゴーレムにエステルとリヴィオも巻き込まれ、俺たちはストーンゴーレムもろとも落下してしまう。
「うおぁああ!」
「きゃああ!」
「うわあああ!」
落下直前、のしかかるストーンゴーレムを押しのけた俺は、落下の衝撃から守るため、エステルの身体を片腕で抱きかかえた。もう片腕でリヴィオもそうしたかったのだが、ふたりで腕を伸ばしあっても届かない。
「剣で!」
俺の叫びにリヴィオが気付き、腰に固定された鞘から抜き放ったショートソードを持ってこちらへ向ける。俺はその刃を掴んでリヴィオを引き寄せ、落下ギリギリで抱きかかえると、両足で着地した。
俺たちを巻き込んだストーンゴーレムは地面に落ちて砕け、辺りにゴロゴロと散らばっていった。
「ゴ、ゴロー、大丈夫!?」
「平気か!?」
「ああ……。なんとか、平気みたいだ」
剣を掴んだ手も切れてないし、足もビリビリと痛みが走ったが、怪我はないようだった。
「しまったな。まだメデューサがいたとは……。道理で、被害が大きいわけだ」
「メデューサって、群れないよねぇ?」
「普通はそうだな。村の者たちも言っていなかったし、油断していた……」
「……あそこの穴からも何か採掘してるような音が聴こえる」
リヴィオと話していたエステルがそう言って、俺たちがいる最下層の外れの穴を指し示した。耳をすますと、俺にも聴こえた。
「ゴーレムが何か作業してそうな音がするな……」
「うん、そんな感じ。でも、他にメデューサもいるのかも」
「だな」
だが、まずは地下4階のメデューサだ。今度は俺が倒そう。皆のために。
「ブレイズドラゴン、地下4階にいるメデューサを攻撃しろ! エステル、リヴィオ、俺がアイツを倒してくるよ」
「えっ?」
「待て、ロゴー! ここは安全に……」
リヴィオたちの言葉に返答せず、俺は一気に地下4階のメデューサたちがいる通路へと跳躍し、その近くに着地した。メデューサの前にはストーンゴーレムは2体いるが、そう脅威ではない。攻撃に移ろうとした俺に、階下から「メデューサは下を向いていても覗き込んでくるぞ!」というリヴィオの声が飛んできた。そりゃそうか。気を付けよう。
「――あれ?」
突然、足元がふらついた。ストーンゴーレム目掛けて放った拳が、空を切る。
な、なんだこれ? 上手く身体が……。
木の板の通路の上から落ちないようにふらふらとしていると、横向きになった俺の頭上にストーンゴーレムの拳が振り下ろされた。
「ぐあっ!」
地面に膝を突いたところで、もう一体のストーンゴーレムに後頭部を殴られ、木の床にうつ伏せに倒れ、殴られた勢いで滑った。身体の肩から上が木の板から崖へとはみ出す。頭が重力で下がり、視界にブレイズドラゴンが映り込んだ。俺と同じように体の動きがおかしくなっているようで、ふらふらと飛び回っている。
なんなんだこれは。魔法か?
動かそうとする方向と逆の方向が動いたりして、身体を起こそうとするが思い通りに動かせない。そこへ2体のストーンゴーレムの拳が何度も身体に振り下ろされた。痛みに声を上げる。いっそ崖から落ちて逃げようとしたが、上手く身体を動かせずにいるうちに、両足の上に乗りかかられてしまい、動けなくなった。そして、無慈悲な拳が何度も振り下ろされた。
「ぐああっ! うぐっ! うああっ!」
やばい……ちょっと意識が遠のいてきた……。どうしたらいい……。スライムクリスタルでゲル状になって逃げるか、だが変身するにも身体の動きがおかしい状態でできるか……うつ伏せで取り替える隙間があるのか……。ゲル状になったら押し潰されるか……も………………。
「ロゴーを放せっ!」
幾度も殴られ、痛みで薄れかけた意識の中で視線を巡らすと、リヴィオが階段を登ってこちらへ走ってきているのが見えた。端正な顔立ちが、今まで見たことのない怒りの表情だった。怒っていても美人だったが。
「だ、だめだ……! 来るなぁ……!」
魔剣の折れた今のリヴィオには、ストーンゴーレムに対抗する手段がない。いくらお人好しといっても、無謀すぎる。
「無理だ……! 来るなぁあ……!」
「我が師、ルーシアよ……。私に力を!」
俺の制止は効かず、こちらに駆けてくるリヴィオ。剣は構えていない。素手だ。
リヴィオは俺の前に立ち塞がったストーンゴーレムの拳を躱して横をすり抜け、俺の上に乗りかかっているストーンゴーレムの目前で停止した。俺の前に立ちふさがったほうのストーンゴーレムが振り向き、2体のストーンゴーレムが前後から拳をリヴィオに振るう。そうしてくるのを計算していたのだろう。リヴィオは間一髪でそれを壁際のほうへ走りつつ身体をよじりながらそれを躱すと、そのまま壁を蹴って俺の前に立ち塞がったほうのストーンゴーレム目掛け、跳躍した。
ストーンゴーレムたちはお互いの拳をぶつけ合い、体の石を砕き合っていた。俺の上に乗っていたストーンゴーレムは後ろ向きに転倒し、俺の上から離れた。もう1体のストーンゴーレムは右からのフックを受け、崖側へと蹌踉めく。そこへ、跳躍してきたリヴィオの蹴りが加わり、ストーンゴーレムは崖下へと落下していった。
「……魔法はもうかかっているぞ。だが私には効かない。訓練してあるからな。まぁ言葉は通じないだろうが……」
リヴィオが何者かに向けて言葉を放った。メデューサの目を見ないように視線を巡らすと、メデューサが杖を掲げているのが見えた。そして、そこへ矢が飛んできて、メデューサがそれを躱した。矢が飛んできた方向を見ると、反対側の崖の階下からエステルが弓でメデューサを狙っていた。
「う、ぉお、ああ……!」
痛む身体を起こす。さっきはストーンゴーレム同士を殴らせることができたが、一体だけではリヴィオもどうしようもないだろう。間をすり抜けて、メデューサを狙うつもりなのか。メデューサを倒せばストーンゴーレムが止まるのかはわからないが。なんにせよ、俺がもう一体を倒せば済むことだ。
だが、俺が立ち上がる前にリヴィオは動き出した。腰のショートソードを抜き放ち、低く構えてストーンゴーレムの懐へと飛び込む。いくつもの石で構成されたその足首辺りの石と石の隙間に、ショートソードを差し込んだ。あまり動かずギリギリでストーンゴーレムの拳を避けたためにピンクの長髪が拳を受けて横に広がり、重力で扇状になって落ちた。
「ロゴー、その石、もうちょっとずらしてくれ!」
ふいにジェスチャーとともに、リヴィオの支持が飛んできた。成程、そういうことか。
ストーンゴーレムの近くで膝を突いていた俺は、ストーンゴーレムに刺さったショートソードの下にある、先程、ストーンゴーレムたちが殴りあって砕けた石を、上手く動かせない身体でなんとか支持通りにずらした。
その間に、リヴィオはストーンゴーレムの射程距離に入ったまま2発の拳を躱していた。そして、3発目の拳を躱しながらその石の体を駆け上がり、くるりと後方宙返りをしてショートソードの柄の部分に着地した。
剣はへし折れてしまったが、てこの原理でストーンゴーレムの体が崖側へと蹌踉めく。
「ロゴー!」
「ああ!」
蹌踉めいたストーンゴーレムの腕を掴もうと、感覚のおかしくなった俺の手が三度、慌ただしく宙を切った。だが、四回目にその腕を捕らえ、力を入れるべき方向の感覚を掴んだ俺は、崖側へと強くその腕を引いた。
暫く後、地面に叩きつけられてストーンゴーレムが砕け散る音が響き渡った。
まだ、メデューサがいる。警戒しながら、メデューサを足元から視界に入れる。木の板の床には沢山の矢が落ちていた。だが床に血は付いておらず、どうやらエステルの矢はこちらへの牽制にはなっていたようだが、距離があるために少なくとも致命傷は与えていないようだった。
それから下半身を視界に捉えたとき、急にメデューサの頭が映り込み、とっさに視界を逸らした。
だが、そのまま倒れる音がする。ゆっくりと確認すると、メデューサが背中に光の矢を受け、うつ伏せに倒れ伏していた。
「これは……ディアスか」
一番上の階を見上げると、ディアスとトアンとゴドゥがいた。メデューサに気付かれないように、ディアスが魔法で攻撃したんだな。
やがて、身体の感覚が元に戻った。俺は変身を解除し、大きく息をついてその場にへたり込む。
「さっきは助かったよ、リヴィオ……。改めて、リヴィオって凄いんだな」
「……私も驚いている。こんな危険な真似は、二度としたくない」
「あ……」
よく見ると、耳や二の腕がストーンゴーレムの攻撃に掠っていたようで、少し血が出ていた。
全員が俺とリヴィオの場所にやってきて合流し、俺はストーンゴーレムに殴られた打撲のダメージをディアスに魔法で治癒して貰いながら、リヴィオとエステルに説教されることになった。
「どうして、あんな無茶をしたのだ。被害者も多いのだぞ。もっと安全に戦うべきだったんだ」
「うう……。いけると思ったんだ。魔法を使ってくるとは思わなくて……」
「そういうこともあるのだ。あの魔法が篭められた杖は、冒険者から奪ったのだろうな」
「ひとりで行かず、もっと慎重に戦うべきだったとわたしも思うなー」
「ううぅ……」
それで俺は、メデューサを倒すとクリスタルが出るかも知れないこと、それで石化を治せる力が得られるかも知れないことを皆に話した。
「ほぅう……。ゴローの国ではそんな力を持つ魔装が造れるのか」
「あ、いや……国では無理だ。特注品なんだ」
感心するディアスに、そういって誤魔化した。リヴィオとエステルは事情を知っているけど。
「まぁ、そうだろうな……。そんなものが量産できたら、とんでもないことだ……。それで、そのクリスタルが出て、それで石化を治せるようになる可能性は、どのくらいなんだ?」
「……わからない」
「……そんなもののために無茶をしたのか」
「他人のために命を張るとはのぅ……。ワシには阿呆の所業にしか見えんが、これまでもお前さんには助けて貰っておるからのぅ……。なんといってよいやら……」
「ゴドゥはさっき人のこと言えなかったろー? アタイのためにひとりでさー」
「うぐっ……。べ、別に考えなしだったわけじゃないわい。エステルの弓やディアスの魔法もあるしじゃな、ゴローだっておったしな。それに、ワシのは他人のためじゃあない」
「あーもー、そんな顔真っ赤にすんなさー! こっちまで恥ずかしくなってくるだろー。……うーん、ゴロ―さー、アタイもよくわかんないけどさ、そんなんで無茶するのは変さー。命はひとつっきゃないんだからさ、大事にしてくれよ~。アタイだってゴローになんかあったら悲しいぞ」
「う、うう……」
「まぁ、英雄願望などよくあるものだ。今回で思い知っただろう。次からは気を付ければいい」
「いや、ロゴーのはそういうのとは違う気がする」
リヴィオがそう言ってディアスの言葉を否定した後、床の上であぐらをかいて治療を受けていた俺の前に跪いた。壁に備え付けられたランプの照明で、宝石のように照り輝いて揺らめく赤い瞳が、まっすぐにこちらを見つめてくる。
「変身ヒーローだからなのだろう?」
「……ああ」
「変身ヒーローとは、そういうものなのか?」
「いや……俺の理想とする変身ヒーローが、そういうものってだけだ」
「そうか……。なぁ、ロゴー。私は、結婚はやめることにしたぞ」
「えっ?」
「私は、さっきまで自分の想いに囚われていたのだ。父様の願いに、その想いに応えなければと頑なだった。お前も、その理想の変身ヒーローというものに囚われているんじゃないか?」
「え……?」
「その理想が、お前が本心からやりたいことだというのなら、止めはしない。心配して勝手についていくかも知れないがな。だが、お前の力は凄いものだ。今、お前が無茶をして死ねば、将来助けられる多くの人々を救えなくなるぞ」
「…………」
ああ、俺は……俺は……。
俺がやろうとしていたことは、理想の変身ヒーローの姿だと思っていたものは、間違いだった。皆を助けるというその理想は、夢に過ぎない。こういう無茶をしないこと。俺の中の本当の理想の変身ヒーローならそうする。それに気付いたのだった。
「リヴィオ……皆……心配かけてごめん……」
自分で選んだ道とはいえ、戦いは大変で、いつのまにか余裕がなくなっていたこともあるのだろう。気が緩んで涙を流す俺の肩を、リヴィオが優しく撫でさすってくれていた。




