1-3 身支度
■2016.03.09
またしても仕事出勤前のうpです。時間がない〜〜(><) 今回は多分、大幅な修正はないと思います。
私は眠い目をこすりながら、身支度を調えた。顔を洗い、ひげを剃り、外出着に着替え……
そんな私に熱い眼差しを向ける者がいた。我らが女神、リナリアちゃんである。私の行動の一つ一つが珍しいようで、一部始終を興味津々に見つめている。ああっやめて! 曇りなき瞳で私のこの…たるんだお腹を見つめないでっ! ワシハズカシイッ!
どこまでも付いて来るリナリア神だったが、トイレへの侵入だけなんとか阻止する。ふっ、ここはトイレの女神さまの領域。そしてリナリアくん、この世の中には、知らなくても良いことがあるのだよ。
しかし、ドアをドンドン叩かれ、「あ~け~て~」と懇願される中での用足しとは、新鮮な経験だった。子育てとかしていれば、普通に経験することかもしれないけれど。
スッキリした私は、部屋に戻ると宝箱の形をした備え付け金庫から、必要最低限のお金を出し、財布に入れて懐にしまう。
ボルゴ屋敷は超オンボロだが、金庫だけは最新式らしい。通りすがりの勇者から大切な品を護るための、国民の権利なのだそうだ。一度鍵をかけると、本人以外が開けるのはほぼ不可能。業者を呼んで開ける場合も面倒な手続きが必要なのだとか。
ちなみに私の金庫だが、これまで稼いだ収入以外に、オトギワルドに迷い込んだ時の私物と、野薔薇ノ王国から居住を決めた際にもらった支度金が入っている。
私物は元の世界ではどれもたわいもないが、オトギワルドでは珍しい物ばかり。売ればお金になるけど、あまり意味は無い。むしろわらしべ長者的な使い道で活用すべきだろう。
支度金は結構な額だけど、ほとんど手を付けていない。もしもの時のため、なるべく使わずに残しておくつもりだ。
この判断が、後々活きてくれば良いのだけれどね。ま、先のことは分からない。
さて、支度は調った。改めて確認して見よう。服装ヨシッ 財布ヨシッ 金庫の鍵ヨシッ リュックヨシッ ミネラルウォーターヨシッ 全てヨシッ。
それにしても…ジーパンにジージャン、そしてリュックか…。うん。オタクだな。あからさまにオタクファッションだ。オトギワルドに迷い込んだ時から着てるけど、でもまあ、これで良かったのかもしれない。比較的丈夫なおかげでこの一ヶ月、着たきりスズメでもなんとかなった。しかしいつまでもと言うわけにはいかない。特に靴が限界だ。靴底がすり減って穴が開いている。いい加減、買い物にいかなくては。そう言えば木靴を売っていたっけ。ネタ的にも面白そうだし、買ってみようかな。あとは、どこかに良い古着屋があればいいのだけど。
ん? リナリアさん? 何をやってらっしゃるのですか?
金庫を閉めて、部屋から出ようとした時、可愛い幼女神が、なにやら不審な行動を取っていることに気付いた。椅子を押しながら私の背後に近づいてくる。
「オトジくん、うごいちゃダメだからね♪」
動くなと言うのは、このまま立っていろと言うことだろうか?
そのまま黙って見ていると、リナリアちゃんは私の背中の側に椅子を置き、椅子によじ登る。私におんぶしてもらいたいのだろうか? それにしては、椅子の場所から距離があるようだけど……。これは……もしかして……?
そのまま背中を向けたまま様子をうかがっていると、リナリアちゃんは一瞬かがみこみ、「えいっ」というかけ声と共に私の背中に飛びついてきた。
ネコ? ネコなの!? 可愛い子ネコちゃんなのっ!? それともあれかっ! おんぶ女神! オバケじゃなくて、おんぶ女神かっ!?
なんなんだこのくっそかわいい究極生命体は! 私を萌え殺すつもりかっ!! 顔が! 顔がニヤけてしまうじゃないかっ!!
これはヤバい。元の世界で同じようなことが起きたら「幼女をおんぶする事案」とか言われてタイーホされ、世間を騒がせてしまうだろう! なんということだ。気付ぬうちに、私は引き返せないところまで来てしまっていたのかっ!
きっと私はもう、元の世界には帰れないのだ。オトギワルドの人々がガングワルドと呼ぶ、私のいた世界には…。
「オトくん、はやくいこうよー♪」
ああ、何の問題も無いな。うん。