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オトギ生活 〜オッサンだけど異世界《トンデモナイトコロ》に来てしまった。どうしよう〜  作者: 風炉の丘
雄斗次郎の長い一日 第1章 オンボロ屋敷と薄幸母娘
3/126

1-2 早起きさん

■2016.03.07

突然仕事が一日延期したため、空いた時間を利用して書きました。観直してる余裕が無いので、後で大幅に修正するかもしれません。

■追記2016.03.09

後半が支離滅裂だったので書き直しました。お目汚し失礼いたしました<m(__)m>

 働かなければ生き残れない! それは仮面のヒーローも、ただの町人も同じこと。

 野薔薇ノ王国で仕事を得る方法は、大きく分けて三つある。


 一つ目は依頼人と直接交渉して請け負う方法。

 仲介手数料が発生しないので、依頼人は相場より安く依頼でき、請負人も相場より高い報酬が期待できる。

 一見すると良いこと尽くしだが、保証が全く無いためトラブルの危険をはらんでいる。

 コネを作り、実績を上げ、信頼を得てようやく仕事が得られるのだから、オトギワルドに来て間もない私に依頼が来るわけもない。来るとしても、せいぜい子供のお使いレベルだろう。

 交渉から報酬受け取りまで全て自己責任となるから、間違いなく上級者向けだ。


 二つ目は組合を介して請け負う方法。ギルドと言った方が分かりやすいだろうか。

 オトギワルドには様々な職業のギルドが存在している。戦士ギルドや魔法使いギルドのようなファンタジーものの定番から、変わり種ではメイドギルドなんてものもある。ギルドが責任を持って仲介しているので、依頼人も請負人も安心だ。

 また、ギルドはそれぞれ独自に国際的なネットワークを形成しており、ギルド員であれば様々な国で仕事の依頼を請け負うことが出来る。世界を股にかける冒険者には必須の存在と言えるだろう。

 ただし、ギルドに加入するには当然、それなりのスキルが求められる。戦士ギルドなら敵を倒すための技量と度胸が必要だし、魔法使いギルドなら魔法が使えないことにはお話にならない。今の私では最低条件すら満たせないが、このままオトギワルドにいるなら、いつの日かギルド員に挑戦する日が来るかもしれない。よって、中級者向けと言える。


 三つ目は王国仕事斡旋処(おうこく つかえごと あっせん どころ)を介して請け負う方法。ようするに職安である。今の私が世話になっているのがここだ。

 こちらは野薔薇ノ王国が責任を持って仕事を斡旋してくれるので、泣き寝入りすることも無いし、ある程度の職業訓練もさせてもらえるので、スキルアップにも繋がる。労働初心者でも安心だ。

 とはいえ、こちらにも条件がある。野薔薇ノ民…つまり王国の民であることが大前提なのだ。そもそもが国民の雇用を安定的に確保することが目的の組織なので、当然と言えば当然なのだが。外国人の場合は、野薔薇ノ民と婚姻を結ぶことで利用できるようになる。では、私のような異世界人の場合はどうなのか? 野薔薇ノ王国に生活拠点を移せば、特例として認められる。つまり、野宿やホテル住まいではダメだけど、家を買ったり下宿すればオッケーって事だな。


 王国仕事斡旋処では、仕事の斡旋は一日に三回行われている。朝からの仕事は早朝に。昼からの仕事は昼食前に。そして夜から深夜にかけての仕事は夕方に。

 私がこれまで斡旋してもらっていたのは、昼からの仕事だった。朝が苦手で早朝に起きる自信がなかったことと、深夜仕事に戸惑いがあったので、自然な流れではあった。しかし、労働時間が短くて報酬が少なかったり、向かない職種ばかりだったりと、巡り合わせがよろしくない。そこで今回、早朝の斡旋時間に行くことにしたのだった。

 問題はどうやって早朝に起きるかだ。目覚まし時計がないのも痛かったが、たちの悪いことに、私は無類の二度寝好き。自力で早朝に起きるのはまず不可能だった。そうなるともう、誰かに起こしてもらうしかない。

 

 そこで私は、管理人室にいるコンバラリアさんに相談することにした。

 超オンボロアパートボルゴ屋敷の下宿人は私だけだが、幸いにも住み込みの管理人さんがいたのだ。

 ……そう。『管理人さん』だっ!

 私と同じ世代であれば、誰もが若くて美しい未亡人の管理人さんに、心ときめかした事だろう!!

 ボルゴ屋敷の管理人さんも、実際美人であった! 二十七歳という年齢をどう評価するかは世代によるが、アラフォーのオッサンにしてみれば、まだまだ若い! そして可愛い! ドストライクである。

 そんな管理人さんに優しく起こしてもらえるかと思っただけで、ご飯三杯は行けそうだが、邪な私の妄想を知ってか知らずか、管理人さんは難色を示した。正確には、恥ずかしそうな困り顔になった。

 クッ、可愛いっ♪

 上手くはぐらかされて理由は聞けなかったが、察することは出来た。女性は身支度に時間がかかるから、早朝に起こすとなると、すっぴんで寝巻姿のまま、私の部屋に来なくてはならなくなる。それが恥ずかしくてたまらなかったのだろう。


「だったらリナがおこしてあげるよ♪」


 そう言いながら、管理人さんの後ろからヒョコッと現れたのが、天使…もとい、可愛い女神のリナリアちゃんだった。

 マイスイートハートな管理人さんには子供がいたのだ。しかも未婚のシングルマザーだった。

 浪人くんは管理人さんが未亡人で『経験』してると気付いて、青臭いショックを受けていたが、こちらはそれどころではない。何しろ『キョーコさん』かと思ったら『ファンティーヌさん』だったのだから……


 話を戻そう。

 小っちゃな可愛い女神リナリアちゃんは、就寝が早いため、起きるのも早い。だから、いつも早朝は暇を持て余し、朝食までの暇つぶしに、ボルゴ屋敷内を探検して回っていた。どうやら私の部屋にも何度も忍び込んでいたらしい。困ったものだ。私の寝顔なんか見て何が楽しいのやら。もしかしてあれか? 箸が転がってもおかしい年頃ってやつか? リナリアちゃんって確か八歳のはずだけど、もう思春期に突入しているのだろうか?

 まあなんであれ、私を起こすのに、リナリアちゃんはうってつけだったわけだ。管理人さんに優しく起こしてもらう野望は潰えてしまったが、リナリアちゃんの乱暴な起こし方も……まあ、ご褒美かもしれないな。うん。

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