アリス
そういえば、君の名前を聞いていなかったね?
分からない?
忘れてしまった?
大丈夫、気にすることないさ
なんでかって?僕が知ってるからさ
暫く名前を呼ばれていなかったし、忘れているのかと思ってね
アリス
もう忘れないようにね?
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ボーシ屋さん、今日はどんな物があるんですか?
ボーシ屋さんは色んな所へ気の向くまま行き、綺麗だったり珍しい物を手に入れてはお城へと持ってきてくれる
今着ているドレスもボーシ屋さんが遠い所で見繕ってきたもの
門の中の案内人のジャックさんもお話友達
今日も薔薇の香りが心地よい庭園で、主さんと紅茶とタルトのお茶会
気まぐれにやってくる猫さんが膝の上でうたた寝をしている
このタルトは、以前客人だったハートさんがお気に入りだったものらしい
晩餐のあと
デザートと夜のお茶会を兼ねてのこの時間は、とても素敵な時間
夜空のお茶会の方がアリスは好み
あれ?いつからわたしじゃなくてアリスって
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どうしたんだいアリス?
少し顔が赤いようだね
夜の紅茶と、タルトはまだアリスには早かったかな?
おいでアリス
そうだよ君はアリスだよ
ああ、ありがとう使用人
片付けておいておくれ
アリス御嬢様は僕が寝室へ運ぶから大丈夫だよ
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貴方の名前は?
主でも(主)でもない、名前、、は?
ら、ビット?
どうしてかしら、なんで忘れてたんだろう
ごめんなさいラビット
自分の名前も貴方の名前も忘れていたなんて、、
何があったのかしら
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今日も素敵な1日だったねアリス
明日も明後日もずっとこんな日が続くよ
どうしたんだい?
いけない子だねアリス
1人で眠れないのかい?
ああ、大丈夫
ドレスは綺麗にかけておくよ
ダメだよアリス
そんな声を出したら
君は純新無垢な純血のアリス、、、だったのにね
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ラビットを抱き寄せるとベッドに深く沈んでゆく
深く
深く
沈んでいく
淑女でも少女でもない
アリスはアリス
ここにいる、アリスがアリスなの
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アリス、夢から覚めてこのセカイから居なくなるなんて事はない、アリス
Fin