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(仮)芸能事務所の社長からクビを宣告されたので、大人しく田舎のBarで働くことにします。  作者: 空白さん


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第21話 蜜柑の策略

 はぁー。大介先輩ともうちょっとだけお話ししたかったのになー。


 うん。でもしょうがないよね。

 時間制限付きだったし。


 蜜柑の事務所ももう少し融通効かしてスケジュールの調整してほしかったけど……。

 ま、いっか。


 一応これで最低限やりたかったことは出来たし。

 蜜柑の計画は着々と前に進んでいるからねっ。ふふ。


 でも、あの妹……優佳ちゃんだっけ。

 せっかく先輩と二人きりだったのに途中から乱入してきた()()()


 まあ大介先輩の妹だからまだ許せたけど……あれがもし赤の他人だったら私、どうしてたのかな。


 うん。多分優佳ちゃんよりもキツく冷たい対応を取ってたかもねっ。


 ふふ。でも、あの大介先輩に妹が居たのはちょっと予想外だったなー。


 もっと早く知っていれば、今頃怖いぐらいに可愛がっていたかもしれないのに。


「あ、マネージャー? ごめんごめーん。ちょっと長引いちゃったっ!」


『ちょっと長引いちゃった、じゃないでしょ! まったく……こっちもこっちで振り回される身は忙しいんだからね!』


「もー、ごめんって()()()()()! 今度、美味しいご飯屋連れてってあげるからさー。それで勘弁してくださいよー」


『あ、貴方ね……。今自分がどんな立場に置かれているのかしっかり弁えた方が良いわよ? もし、こんなことで週刊誌にでも撮られたりしたら――』


「分かってますってー。でも、そんなことは()()()()()()()()()。志帆ちゃんも蜜柑が頭良いのは知ってるでしょ?」


『そ、それは……そうだけど』


 電話越しで話をしているのは私のマネージャー、若月志帆ちゃん。

 

 年は私よりも四つ上で、バリバリのキャリアウーマンの女性だ。

 いつも、蜜柑のスケジュール調整なり身の周りの世話をやっていたりと、これまた重大な任務を抱え持っている。


 まあ、そのほかにも色々と雑用だったり任せる部分は多いんだけど。


 ふふ。でも私が安心して任せられるほど信頼度は高いからね。

 この人もこの人で、かなり先を読む力があるし。


 それに、蜜柑のマネージャーは()()()()にもたくさんいるから。

 まあ、事務所側からしたら私が看板を担っているわけだから当然っちゃ当然なんだけど。


『と、とにかく。早く私の所に来るように。今週の土曜日に本番が始まるんだから、絶対に気を抜いちゃ駄目よ。貴方の調子を崩さないように管理するのが私の務めなんだから』


「ふふ。心配性だなー志帆ちゃんは。蜜柑が何年間この世界でやってきてると思ってるんですかー」


 あ、そういえば今思ったことなんだけど。

 彩夏先輩……大介先輩の事情を知らないままなんだっけ。


 まあ、本当ならここは蜜柑がすぐに教えてあげるべきなんだろうけど……ふふ。

 私。ちょーっとだけずる賢い女だから、そーゆうことはしないんだよねー。


 前にも言ったかもしれないけど、大介先輩の居場所なんて教えたら多分飛びつくと思うし。

 挙句の果てに、またあの人が彩夏先輩のマネージャーをやるだなんてこの私が許さない。


 まあ、あの様子を見る限りじゃ、多分もうこっちの世界には戻らないだろうけどね……。


 わ、私に対する態度はちょっとだけ気に入らないところはあるけど。

 そこはこれから地道に改善していけば何とかなるかな。うん。


 それに、今日得ることが出来た情報はたくさんある。


 まず、なぜ大介先輩がクビになったのか。

 そして、彼をそうさせてしまった人物は一体誰なのか。


 それが今朝、本人の口から蜜柑の耳にぜーんぶ入っちゃったから。


 ふふ。大介先輩にはちょっと申し訳ないことしちゃったけどね。


 でも、あの大手事務所。

『ダイヤモンド・プレッツェル』の社長。


 前からずっと、なーんかきな臭いなと思ってはいたけど。

 やっぱりそーゆうことか。


 大介先輩の言っていたことと、これまでに得た蜜柑の事務所の情報がリンクしてるから……。


 うん。きっとあれは本当のことだったんだろう。


 でも、普通の人だったらもうその時点で心が折れてもおかしくないはずなのに……ふふ。

 まあ、この私が目を付けただけのことはあるかな。大介先輩。


 流石、あの彩夏先輩のマネージャーをやっていただけあってメンタルも相当の持ち主だ。


 どこかの()()()()()()とは違って――。


 ああ。そういえば、今日もあの人と会って稽古しなきゃいけないんだっけ。


 はあ。だる……。

 もう一秒でも良いから早く離れたい。


 大体、毎回思うんだけど何よ。

 あのねっとりした視線。


 しかも、全身を舐め回すかのようにこっちを見てくるし。

 蜜柑はあんたなんかミジンコも興味無いってのに……。


 まあ、こんな大舞台を一度引き受けてしまったからにはもう後戻りは出来ないんだけど。


 我慢するしかないのかなー。

 こればっかりは。


 うん。でもこれも後一週間の辛抱だし乗り切るしかないよね。


 そうすれば、少しは休暇も取れるし。


 あ、そういえば大介先輩。

 聞きそびれちゃったけど、今は田舎のBarで仕事してるんだっけ。


 ふふ。この舞台が終わったら、忍び込みでまた会いに行っちゃおっかなーっ♪


 チケットも特等席のやつ渡してるし……ふふっ。


 ちょうど感想も聞ける良い機会だ。

 現場で話すことは少し難しいかもしれないけど、後日ゆっくりおしゃべりできたら良いなー。


 ま、蜜柑が一番なのはもう分かりきってるんだけど。

 一応、ね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公が苦労している様子は面白い。 [気になる点] 毎回語り手が変わるせいでややこしい上に、仕事でお世話になるかもしれない他の有名人の名前と顔すら覚えてないない無能な主人公に魅力を感じられ…
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