エピローグ
太っちょ先生が、走り去ったあと数分後にパトカーが数台学校にやってきた。そしてその惨状を見て警察官は愕然としていた。そして警官はそのまま救急車を呼んだ。
さとみ先生や生徒たちから事情を聞いた警察は、すぐさま参考人として太っちょ先生を探したが、先生は既にいなくなっていた。二宮という名前もどうやらウソだったらしい。
じゃあ、あの先生はいったい誰ったのか?
太っちょ先生が居なくなった2日後、おじいちゃん先生が復帰してきた。
僕たちはおじいちゃん先生に、太っちょ先生の話をした。最初驚いていたおじいちゃん先生だったが、その特徴を聞くと大笑いした。
「あははは!そうかぁ」と言って笑っていた。
僕たちの練習を見ていたおじいちゃん先生は「君たちはいい師匠に教えてもらったから、数倍上手になったねぇ」と言っていた。
何か知っているのだろうけど、おじいちゃん先生は太っちょ先生のことを結局教えてくれなかった。
チアリーディング部は、あの一件があった後もあまり変わらなかった。さとみ先生はまるで何もなかったように過ごしたし、サラは相変わらず太っちょ先生はどこに行った?と毎日のように聞いてくる。
だけど空手部の三年生最後の大会に、チアリーディング部が全員で応援しに来てくれた。流石にダンスとかはで応援は無かったけど、ボクと松崎はサラに良いところを見せようと張り切って、個人戦で入賞!団体戦はなんと優勝することが出来た。ちなみに個人戦の優勝はキャプテンだった。女子の部の個人戦の優勝は副キャプテンで僕らの学校は大活躍だったのだ!
やっぱり太っちょ先生の指導のお陰っていうのが本当のところだ。僕たちが一気に変わったのは太っちょ先生のおかげだったのだから。あの事件以来、卒業生の不良たちを見ることはなかった。どこか遠くの町に行ってしまったと風の噂で聞いた。
僕たちは誰も口には出さなかったけど、やっぱり太っちょ先生にあって話したかったし、お礼も言いたかった。先生が最後に意味がわからないことを言ったのも、空手部と自分が関係ないことを僕たちに伝えるためだったのだと思う。
実際にあれだけ大怪我を負ったにも関わらず、不良たちは誰も太っちょ先生の事を話したがらなかった。また何故か太っちょ先生の記録がないため、結局警察も太っちょ先生のことを本気で調べようとはしなかったようだ。
暴力事件を起こした部活として、大会の参加取りやめや部活動の停止、廃止などは一切なかった。
キャプテンが警察に対して
「二宮先生がやった事で間違いありません。でも先生は僕たちを守るためにやったのです!先生は一切悪くありません!」
キャプテンは珍しく熱く警察にそう話した。
それを聞いたある刑事さんは、
「君たちの先生ね。多分もう見つからないと思うよ。これは警察官としてのカンだけどね」と言って、ニヤリとした。
都内のある事務所
男は当選3回の都議会銀だ。次の総選挙ではいよいよ国政選挙に出ようかと考えている。こんなところのでのスキャンダルはマズイ。絶対に避けたい。
そんな折に厄介な来客があったのだ。
「だから証拠を出したまえ!証拠を!あまりふざけた事を言うとただじゃおかんぞ!」
男は目の前の太った男を怒鳴りつけた。
「証拠ですか。これ‥‥見てもらえます?」
そこには金髪の男たちが、中学生に暴行している姿が写っていた。
「だ、だからなんだ?こんなの私には関係ないだろう!」
「いやいや、このあとにね刺青が入った男が出てくるんですよ。全てこいつの指示らしいです。腕にね竜の刺青が入ってるんですよぉ。確か息子さんも入れてましたよね?」
「きさまぁ!脅しているつもりか?」
「いやいや、脅すなんてそんな!?ただ、私は彼らに人生を台無しにされたので、その分の対価を頂きたい。少なくとも1000万即金でお願いできますか?」
「そんな大金ある訳無いだろう!いい加減にしろ!これ以上言うなら、それなりの人間を用意するぞ!」
「そうですか?先生が数ヶ月前に、何とか興業っていう会社から、確か3000万円もらったっていう話を聞いたんですけどねぇ。ところでそれなりの人間って?」
「うるさい!お前には関係ないだろう!」
男は苛立ちを抑えきれずに言った。
「じゃあ、交渉決裂ですね。はい。送信っと!」
「おい!貴様なにした!?」
「いや、交渉決裂だし、1000万もくれなそうだから、送っちゃったSNSに!えへへ」
「きさあまぁあ!!取り消せ!直ぐにとり消すんだ!」
「あれぇ?慌ててますぅ?1000万考えてくれたら、取り消してもいいですけど、SNSは拡散早いからなぁ。あはは。あ、名刺おいていきますから、何かあったら連絡ください。それじゃあ」
太った男はそう言うと笑いながら去っていった。
残された男は直ぐにどこかに電話をかけた、その1時間後に人相の悪い男たちが数人、男の前に現れた。
「君たちに頼みたい。この男を頼む。礼は弾む200万だ!場合によっては300も考えるぞ!君たちなら簡単にやれるだろう。わざわざ名刺まで置いていったから簡単な仕事だろう」
その名刺には肩書きなどは何もなくただ「針ヶ谷 正美」と書いてあった。
人相の悪い男たちは、この名刺を見るなり言った。
「ああ、先生、悪いがこの件は我々は引かせてもらう。協力はできない」
「なんでだ?たったの男一人、単に徹底的に痛めつければ良いだけだろ」
「こいつはね。先生、関わった人間を確実に不幸のどん底に落とすっていう死神、疫病神なんですわ。我々の業界ではこいつにやられた組織も多くてね。あまり関わりあいたくないのですよ。こいつを相手にするなら、少なくとも1億、いや1億でも引き受ける組織があるかなぁ。まあ、それは冗談ですがね。それくらい厄介なんですよ。とにかく我々も関わりたくないので、これにて失礼します。そいつは恐ろしいやつでね。逆恨みと早とちりの天才なんですわ。ここに来たのを見られでもしたら、我々すら危ないので‥‥いや、既にもう呼ばれただけで、ターゲットにされているかも知れない‥‥」
「おい!そんな!このままでは私は!!?次の総選挙が!!?」
「先生!!貴方もこの街の裏事情はご存知のはずだ!聞いたことあるでしょ。こいつのアダ名。下町の死神・疫病神、下町ダーティーハリーのマサミちゃんって言うんですよ」
そう言うと男たちは席を立った。
受け取った名刺はなるだけ直接触れないように、ハンカチで摘まんで男に返した。
「おい、お前ら今日は嫌なもん見ちまったなぁ。祟りが来る前にさっさと引き上げるぞ!」
「おい!ちょっと待ってくれ!わかった金払うから!だから仲介をしてくれ!」
「先生、言ったでしょ。関わりたくないって!話が通じないんだよ!こいつには……」
「おいおい!私の国政選挙がぁああああ!!」男は叫んだ。
そして例の動画がSNSの特定班により、この男にたどり着くのに数日とかからなかった。そしてこの男は所属政党からの公認は貰えず、選挙戦で大敗、二度と政治の世界に足を踏み入れる事は叶わなかったという。




