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圧倒的!制圧!

 サングラスの男は、その様子をずっと見ていた。

すると太っちょ先生はサングラスの男のもとにつかつかと歩いて行った。


「おい!サングラス取れ」


「はぁ?なんで取らなきゃならねんだよ」


 サングラスの男は強がったが、声がもう震えていた。太っちょ先生の攻撃は容赦が一切なかったからだ。


「ああ!?誰に口きいてんだガキが!」


 太っちょ先生は苛立ちを覚えているようだ。次の瞬間太っちょ先生はサングラスの男がのお腹に対して、蹴りを打ち込んだ。サングラスの男は後ろに吹っ飛び、のたうち回った。


「は、はぁああ、い‥き‥‥が‥できな‥ぃ‥‥。かぁはああ、はあああ、ヒューヒュー。アバ‥ラ、お‥‥れた‥‥ヒューヒュー」


 と言葉にならない言葉で言った。先生はサングラスの男の髪の毛ががっしりと掴むとこういった。


「大袈裟なんだよ。オマエ。なんだてめぇ。ヒューヒューって馬鹿にしてんのかこら?」


 太っちょ先生はそう言うとサングラスの男を渾身の力でビンタした。


「た‥す‥‥け‥‥て‥‥」


「はぁ!?てめぇ、さっきふざけた口きいた責任とれや!」


 太っちょ先生はさらに引っぱたいた。バンバンとビンタの音だけが響き渡った。サングラスの男の顔は腫れあがり、ぐったりしている。


「アバラなんて折れねーよ!バカやろう!俺が本気で蹴らなきゃ折れるわけねーだろうが!」


 太っちょ先生は吐き捨てるように言って、歩きかけて止まるとニッコリしながらサングラスの男に向かって言った。


「あ、さっきのは本気だったけどな。うはははは!あははは!ウケるよ!マジであははは」


 正直って僕たちはもう全く動けなかった。

あれだけ痛めつけられたにも関わらず、先生は完全に狂気と思えた。


 そこに刺青の男が、太っちょ先生の前に現れた。


「お前、ちょっと調子に乗りすぎだな。マジで切れたわ」


 刺青の男がさっきとは打って変わって、怒りの表情で言った。


「お前さ、ははは、お前の‥‥腕‥‥、何それ?刺青入れちゃった?しかもミミズみたいなやつ。ふはははは、お前体張ったギャグしたね。ははは!腹痛え。マジ勘弁してくれよ。ミミズって‥‥」


 太っちょ先生は、笑いを堪えながら刺青の男を煽っていた。


「てめぇ‥‥殺してやる」

「おい!ボクサー崩れ!お前に教えてやるよ。お前は俺には絶対勝てない!理由があるってことをな!」

「てめぇみたいなチビデブに何ができんだこら!」


 刺青の男は物凄いスピードで、パンチを太っちょ先生の顔面に打ち込んだ。

 ところが太っちょ先生は、そのパンチをまさかの自分のパンチで迎撃したのだ。


「ぎゃああああああ!」刺青の男は思わず叫んだ。


 拳と拳がぶつかった衝撃でドンという音が聞こえた。先生は涼しい顔をしているが刺青の男は手を一発で痛めたらしい。


「お前さ、ボクサーのくせに拳鍛えないの?今や世界チャンピオンもやってぜ。その柔らかい拳で俺を殴ろうってのか?空手家はガッツリと鍛えてるからさ。拳ダメになっちゃったねぇ。あははは」


 太っちょ先生はそう言ってまた笑った。


「ちっ!」男は勝てないと察したのか、背を向けて逃げ始めた。

ところが100キロ近い体重のフッちょ先生はまるでゴムボールのように弾んだかと思うと物凄いスピードで、刺青の男の前に飛んでいった。文字通り飛んでいったように見えた。


 次の瞬間、太っちょ先生の高速の体当たりにそのまま前方に顔から突っ込んだ。


「お前、今逃げようとしたな。あん?」


 太っちょ先生はボクサーの男の上に足を置いて、ぐりぐりと踏みつけた。


「さっきの話だ。お前は俺には絶対に勝てない!教えてやろうか?なんならボクシングで勝負してやろうか?」


「て、てめぇ‥舐めんなよこのやろう!」


 刺青の男はそう言うと同時にパンチを太っちょ先生に浴びせたが、先生はぽんと後ろに跳ねてあっさりとかわしてしまった。そしてそこからさっきのゴムまりみたいな動きで跳ねたと思ったら、そのままボールのように飛んで行って、刺青の男の顔面をパンチが捉えた。


 ぐしゃっという音が聞こえて、男は後ろに倒れた。鼻がおかしな方向に曲がっていた。


「お前さ、ボクサーなんだろ何でボクシングには階級があると思う?要するに体重が重いほうが有利なんだよ。お前60キロとして、俺が100キロだったら40キロ俺のほうがつえーんだよ!わかった?ふははははは」


 太っちょ先生は、もはや動かない刺青の男に向かってそう言うと、息切れ一つせずに体育館の中央に戻ってきた。


「あともう一匹いたなぁ」


 チェーンの男が体育館の外にいて、さとみ先生たちを見張っているはずだ。扉のところに行き先生は扉を開けようとしたら、扉が勝手に空いた。そして、チェーンの男が中を伺おうと開けたのだった。だが自分の仲間が誰ひとりとして、動いていないのを目の当たりにして、全てを察した。


 慌てて逃げようとした、チェーンの男を一瞬で捕まえるとそのまま後方の体育館の方に投げ飛ばした。チェーンの男は尻餅をついて、そのままの体制で数メートル後ろに逃げた。


 太っちょ先生は、その前にやってくると、まじまじとチェーンの男を覗き込んだ。


「お前さ、彼女とかいるの?」

「は!?な、何言ってんだよ。知らねーよバカやろう!」

「ああ、先に言っとくわ。あそこで転がってる奴らな、全員俺に舐めた口をきいたから、俺が転がした。お前も言葉遣いに気をつけろ!俺は今機嫌が悪い。容赦しねーぞ」


「ひっ‥‥」チェーンの男は恐怖で顔を引きつらせている。


「もう一回聞くわ。お前彼女とかいるの?」

「い、いる‥‥います」

「ふーん、いるんだ。で、お前さ結婚すんの?」

「い、いや、そこまではまだ考えてない‥‥です」

「ふーん、俺は彼女とかいない訳。わかる?これ?」

「‥‥え?」

「え?じゃねーだろ、俺に彼女もいないのに、お前にいるのがおかしいって言ってんの!」

「お前らさ、だいたいこうやって暴れて、あの頃はやんちゃしたよなー。みたいな武勇伝として話そうとしてない?」

「い、いや、別に‥‥」

「俺さ、そういうの‥大っきらいなんだわ。だから今の俺の職業、未来武勇伝バスターな」

「は?え?」

「だから、え?じゃねーだろうが!何度言わせんだ!」


 太っちょ先生は、そう言うとチェーンの男にビンタした。バシーンとビンタの音が聞こえた。


「ぎゃあ!助けてください!ごめんなさい!もうしません!本当にごめんなさい!」

「お前らが将来語ろうであろう、武勇伝!例えばこの場に俺がいなかったら、お前らは無茶したなー!若気の至りだなーとか抜かそうとするわけだ」


「‥‥」チェーンの男は怯えて言葉を発することはできない。


「その大切な思いでの一ページ、俺が地獄の一ページに変えてやってんだよ!二度と思い出したくもねぇ悪夢になぁ!若気の至りで犯した罪の大きさを思い知れ!」


そう言って、再度ビンタを繰り返した。


「た、助けてぇ!!」


 チェーンの男は転がるようにして、逃げようとした。太っちょ先生は信じられないスピードでチェーンの男を捕まえると、こういった。


「てめーらのせいだ!テメーらさえ来なければ、俺はこのまま学校の臨時職員として雇われ、そして仕事にありつけた!そしたら、さとみ先生と仲良くなって、その内、映画でも見に行って‥‥。で、素敵な夜景の見えるレストランで食事をしつつ、ふたりの愛の語らいをする。その後は夜景の見えるホテルの最上階で、二人で開脚をするんだ!お互いにどこまでも広げられる開脚をしつつ、あれ?さとみ先生そんなに足開くのですか?僕なんてほらこんなに!え、そんなに開いちゃったら僕ら‥‥」


 太っちょ先生は、そこまで話をして下を向いた。僕はこの発言は正直気持ち悪かった。意味がわからなかった。


「ていう、バラ色の人生をてめぇらが破壊したんだ!俺はこのまま一生童貞で生きてくんだ!てめぇらのせいだ!お前も道連れだ!テメェらだけ楽しい思いは絶対にさせねーからな!てめぇら一生追い込んでやる!俺が底辺まで落ちたんだから、てめーらも落としてやる!まずテメーは、童貞の苦しみを知りやがれ!!」


 そう言ってチェーンの男の股間をフルパワーで蹴り上げた。

チェーンの男は泡を吹いて倒れた。5人の男たちを叩きのめしたトータルの時間は、時間にしてたったの5分とかそんなものだと思う。


 太っちょ先生の発言の数々から、色々と思うこともあったが、何よりあまりの圧倒的な強さに僕たちは何もできずに、ただボーッと眺めるしかなかった。


 僕らもただ唖然として眺めていたが、体育館の入口からさとみ先生も見ていた。


 少し間を置いて、太っちょ先生は、ちょっと冷静になったようで、体育館の入口を見た。

さとみ先生と目があった。さとみ先生は、怯えるような目をして体を両手で押さえるとそのままどこかに走り去っていった。


「あ、いや‥‥ちが‥‥」


 そういって太っちょ先生は、力なく体育館に倒れ込んだ。


「又やってしまった。終わった、終わったよ。俺の人生が終わった‥‥もう、さとみ先生はいなくなってしまった‥‥」


 そう言って、太っちょ先生は倒れたまま涙を流していた。


 僕は凄いものを見た時の興奮が一気に覚めて、さとみ先生との妄想ではもうカップルになっていたんだなと思った。ほんの少しだけ太っちょ先生を可哀想に思えた。でも、あの開脚のくだりとか聞いたら、意味わからないし、誰だって逃げ出すだろうなと思った。

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