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対決

 キャプテンは金髪の男の前に躍り出た。

キャプテンはさとみ先生にも僕らにも目線を配らなかった。


「お久しぶりです。先輩」

「おお!お前かぁ!元気だったか?」


 金髪の男は笑顔で、キャプテンにそういった。


「ええ、お陰さまで」


 キャプテンはニコリともせず、金髪から目線を外さずに言った。


「あれー、何お前怒ってんの?」

「怒ってるわけじゃないです。」

「久々にあったのにその態度はないんじゃない?なぁ」

「何しに来たのですか?」

「お前らが元気でやってるか、見に来ただけだよ」

「なら結構です。僕らは元気ですから、お帰りください」


 キャプテンは、金髪の男から目線を外さずにそう言った。


「ヒュー!おっとこまえ!カッコイイねえ!」


 サングラスの男が、横から口を出した。


「わかったわかった。俺らただ近くに来ただけだからさ、邪魔したんなら悪かったよ。どうやら歓迎されてないみたいだしな」


 チェーンの男がそう言った。


「俺らは、別に邪魔しに来たわけじゃないけど、久々に来たらなんかテンションなんか上がっちまってさ‥‥それに、前に来た時になんか空手部のじいさんも倒れちまったし、詫びいれるつもりだったんだよ。悪かったなぁ。帰るよ」


 金髪の男は、キャプテンに手を差し出した。


「悪かったな。もうじき大会だろ。頑張れよ」


 キャプテンは金髪の男の手を握った。

 その瞬間、金髪の男はキャプテンの腕を引っ張りパンチを打ち込んだ。


 パン!と乾いた音が響いた。


 だが、キャプテンはそれを見越していたように、さっと身を引いて、パンチを左腕で避けていた。


「このガキが‥‥調子に乗ってんじゃねーぞ」


 金髪の男は、苦々しい顔をしながらキャプテンを睨みつけた。


「先輩。僕たちは、もうあの頃の空手部じゃないです。帰ってください」


 キャプテンは全く動じることなく、冷静に言った。


「調子に乗るな!コラ!」


 金髪の男は、怒りに任せてキャプテンを突き飛ばして、パンチと蹴りを浴びせた。だがキャプテンはその全ての攻撃を、寸前で見切って避けてみせた。金髪の男は屈辱的な場面だったろう。掴みかかろうとしても、中学3年で体もそこそこ大きくなり、日々練習・鍛錬を欠かさないキャプテンの動きはかなり素早かった。暴力のみで殆ど空手の練習をしていなかった金髪の男が捉えられるものではなかった。


「て、てめぇ‥‥」


 息を切らせながら、金髪の男はキャプテンを睨んだ。

その時、突如現れたチェーンの男が、キャプテンを羽交い締めにした。あっという間に背後を取られたキャプテンは、しまったという表情を浮かべた。


「ナーイス!」


 金髪の男はニタリと笑って、ゆっくりとキャプテンの前に歩み出ようとした。


 だが、その時だった。


「もうその辺にしませんか?」


 3年の先輩たちが全員いつの間にか、現れてキャプテンと金髪の男の前に立ちふさがった。

3年の町田先輩、海老名先輩、大崎先輩に渋谷先輩、四人が金髪の男の前に立つと流石に金髪の男も多少怯んだようだ。

 

「な、なんだテメェら!なめんじゃねーぞ!昔みたいに泣かせてやろうか!?」


 金髪の男は3年の先輩たちを前に、精一杯の威嚇をした。だが、もう誰も動じない。


「昔は散々やられたけど、今は先輩でも何でもないから‥‥」


 町田先輩は、金髪の男を睨みつけながら言った。


「だーれーが?何でもないから何だってー?」


 金髪の男は、怒りに震えた表情で、町田先輩の前に出てきた。


「ちょっと舐めすぎじゃね?俺らのこと?」


 サングラスの男、チェーンの男、スキンヘッドの男がそう言いながら、金髪の男の横に来た。


「お前ら詫びいれな。今ならまだギリギリボコボコにするだけで許してやる」

「なんに対するお詫びですか?詫びを入れるのは皆さんの方でしょ」

「なんだと!?このクソガキが!」


 4人の卒業生は、一斉に3年の先輩たちに襲いかかった。さとみ先生の「やめなさい」の声は、かき消されていた。3年の先輩たちは、一切攻撃をせずにひたすら防御に徹していた。相手のパンチを避け、キックをかわし、掴まれないように距離を取りながら対峙し続けた。先輩たちの素早い動きに、4人の卒業生は息を切らせていた。


「て、てめぇら、ぶっ殺すぞ!」息を切らせながら、金髪の男は言った。


 と、そこに少し離れたところから、背の低い男が現れた。男は夏なのに長袖のジャケットを着て、迷彩柄のズボンを履いていた。


「オイオイ、中学生相手にちょっと舐められ過ぎじゃない」笑いながら金髪の男に言った。


 僕らは思った、雰囲気で何となくわかる。きっと最悪な男が現れたのだと。

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