しごと3
中は大型ショッピングモールのように中心が筒抜けの様に空洞で、それぞれの階に壁沿いに等間隔で扉がある。多分、そこが一家庭ずつに分かれているんだろうな。
「ちょうどご飯にするところだったの。さぁ、座って。」
私より2~3歳上かな?この人。
料理が運ばれてくると、それに釣られる様に人が集まって来る。
「あれ?長、この子誰?見ないけど。」
「旅をしている子じゃ。この村に用があるらしい。よろしくやっておくれよ。」
「君、何歳?」
「名前は?」
色んなところから質問をされてわかんなくなる。
「ティアスと言います。16歳です。この村にはとある依頼を受けたので、やって来ました。」
「ある依頼って?」
「言うことはできません。長、そのことで後に話をしたいのですが。」
「構わんよ。後でわしの部屋に来なさい。」
「感謝します。」
そう言い終えた所でようやく食事になる。
テーブルが長いと思っていたが、人々が座るとそうでもない様に思える。
食事を食べながら観察していると、ふとあることに気がつく。
ターゲットが居ない。
「この村の人はここに居るのが全員ですか?」
「いや、あまりにも人数が多いから、2回に分けているの。」
長と話す前にターゲットと会っておきたかったんだけど……
まぁ、いっか。
食事を終わらせると、すぐさま長の部屋に向かった。
長の部屋は最初に出会った夫に案内して貰った。
中は本棚と机と扉があるだけ。
そして中には私と長しか居ないはずなのに、三十半ばの男が一人居た。
「ソイツはわしの息子で、今はほとんどソイツが村の管理をしておる。わしが長というのは名ばかりじゃ。だから失礼だとは思ったが、ソイツも長になるでな。勉強としてこの場に居させてやっておくれ。」
「構いません。私は任務ができれば良いので。」