かぞく9
トワは悲しそうに言った。
人は主従関係を止めないからと。
「でもね、大人が全員居ないわけじゃないよ。あそこのマスターは優しいんだ。」
そう言って一軒のバーを指さした。
さっそく中に入る。
中にはテーブルとカウンター席があって、カウンターの後ろには棚があったけど、グラスが数個あるだけだった。
「マスターっ!来たよ~。」
トワが声をかけると、カウンターの左奥から年輩の男性が出で来た。
「おぉ、トワか。後ろのお嬢さんは?」
「マスターに教えて貰った人だよ!お姉ちゃん、実はお姉ちゃんのことはマスターに教えて貰ったの!」
「ほぉ、お嬢さんがあの。」
「通称『暗黒兵器の少女』、名前はティアスと言います。」
マスターは目を細めて私を見ると、カウンター席に座るように促した。
「ティアス…どう書くんだ?」
「t、e、a、r、sです。」
「涙、かい?」
「まぁそう言う意味もありますね。」
マスターは話をしている間にも、手際よく飲み物を用意していく。
どうやらカウンターの下に冷蔵庫が設置されているようだった。
「はい、オレンジジュースにリンゴジュースとパイナップルジュースのカクテル。」
「いただきます。」
軽く一口だけ含む。
甘味が口いっぱいに広がる中、少しだけ酸味が効いている。
「どう?お姉ちゃん。」
「美味しいです、とても。」
「そいつぁよかった。」
マスターはカウンターの左奥に戻ってしまった。




