かぞく5
家に入ると、トワは出た時と同じ様に椅子に座ったままだった。
私が近づくと気付いてこっちを見た。
「トワ、申し訳ありませんが殺さずに奪うことは不可能です。元々私は殺し屋ですので、それ以外の依頼はお断り致します。」
「お姉ちゃん…ごめんなさい、我が儘言って。でもお願い。どうしてもって言うなら、殺しても…いいよ。」
私は思わず目を見開いた。
それ程大切なペンダントなのだろうか。
ただの物なのに。
「…解りました。今回は特別にいいでしょう。で、お金は幾ら程払って頂けますか?」
「お金?」
何故最後に"?"が付くのだろうか。
まさか、払う気なかったとか?
「もちろんこれは仕事ですから、お金を頂きます。」
その瞬間、トワの顔が青ざめた。
トワは慌てて立ち上がると、三つ並んでいる扉のうち一番右側の扉に入って行った。
暫くするとお菓子の缶を持ってきた。
「お姉ちゃん、ちょっと待ってて。」
そう言って缶を開けて中に入っているものをテーブルにひろげた。
それは小銭やお札といったお金だった。
そして、トワは何か計算をしながらお金を数えている。
生活費だと悟るのに時間はかからなかった。
必要なお金を缶に戻していくと、テーブルの上に残ったのはコイン一枚だけだった。
「ごめんなさい、お姉ちゃん。足りないよね。」
トワは肩を落として泣きそうな顔をした。
そんな姿を見て、私はコインを缶に入れて蓋を閉めた。
「お姉ちゃん?」
トワは驚いて私を見た。




