ばけもの11
「すみません…軽薄でした。」
「いいのよ、仕方ないもの。」
「これ、今回の報酬。」
報酬は、大会の賞金に50万上乗せしてあった。
「こんなに?」
「50万は夫が死んだ後に送られてきたの。礼金って言われたけど、私達にすれば迷惑でしかないわ。ティアスちゃん、よかったら貰って。」
「持っていても仕方ないしね。」
「解りました、ありがたく頂きます。」
報酬をしまうと私は荷物の中からマントを出して、肩に掛ける。
「それでは、私は次の依頼があるので。」
「うん、それじゃあ。」
「気をつけてね、ティアスちゃん。」
私は来た道へと歩みを進める。
「ティアス!」
呼び止められて、私は思わず振り返った。
「何でしょう?」
「君は心がないせいか、
汚れを知らず、澄んでいる。
人々は化け物と呼ぶけれど、僕はそうは思わない。
君はとても美しい魂を持っている。
大切にするといいよ。」
…初めて言われた、そんなこと。
「化け物じゃない」って言ってくれるなんて。
でも、私が化け物じゃないなんて言い切れない。
私は歩きながら、一人つぶやいた。
「私は、本当の私を知らない。
そして、傷つくことを知らないから、汚れを知らない。
どうやら「悲しい子」というのは本当のようです。」
大会会場の前を通ると既に封鎖されていて入れなくなっていた。
入り口の横には看板が立て掛けられていて『近日取り壊し。立ち入るべからず』と記されていた。
これを見て本当に止められるのだと知った。
これが正しいのかはわからないけど、安心した人がいるならそれでいいと見切って、私はまた歩き出した。




