たいせつ2
私は屋敷に入って2階の奥へと歩みを進めている。
入口に居た執事さんの話によると、2階に上がって左奥の部屋にキルト伯爵がいるのだと言う。
言われた通りに進むとひとつだけ扉があって、そこで行き止まりとなった。
私は扉を軽くノックする。
「どうぞ。」
部屋の中から返事が返ってきたので部屋の中へと足を踏み入れた。
「失礼します。はじめましてキルト伯爵。それと、お待たせしました。」
「ようこそ『暗黒兵器の少女』。それと、ありがとう。」
私は早速キルト伯爵の近くにあったテーブルに指輪を置いた。
「結構早かったね。えっと、何て呼べばいい?」
「ティアスです。今回はターゲットが素直すぎたので。」
「素直すぎた…とは?」
「ターゲットは最初から逃げも隠れもせず、死ぬつもりだった様です。」
「ティアス、その話聞かせて貰おう。」
「解りました。」
私はディスノイルのことを話した。
ハルフ=キルトの彼氏であったこと
深く愛していたこと
事件時の心境
その後のこと
ハルフの指輪を大切にし続けていたこと
そして…
最後に私にお礼を言ったこと
話を聞き終えた後、暫く伯爵は黙っていた。
だけど、指輪を見て深くため息をついた。
「話さない方がよかったでしょうか?」
「…いや、ありがとうティアス。どうやらアイツは生かしておいた方がよかった様だな。」
「何故?」
「生きて、苦しめばよかったんだ。……失敗したな。」
そう言って伯爵は一筋の涙を流した。
私はただ、伯爵を静かに見ていることしかできなかった。




