11/45
しごと7
「ありがとう、殺し屋。
やっとハルフのところに行ける。
やっと………」
その言葉を最後に、ディスノイルが話すことはなくなった。
私はそっとディスノイルを地面に寝かせた。
その時に見た表情は、殺されたとは思えないほどの
満面の笑みが広がっていた。
私は刺さったままの短剣を抜き、鞘に納めた。
「任務完了。…………さて、どうしようかな。」
「ティアス、ディスノイルはこちらで処理するよ。アンタは悪いけどすぐにこの村から出てってくれ。」
長の息子が泣きそうになりながら言った。
わかっている。
たとえ一年半だけとはいえ、一緒に過ごした仲間が殺されたのが嫌なのだろう。
そんなことは何千回、何万回と経験したことだ。
「了解です。ご飯、ありがとうございました。皆さんにも温かく迎え入れて頂きありがとう、と伝えておいてください。」
「確かに伝えよう。」
村の皆にどう説明するかは長と息子次第だろう。
長の返事を聞いて、私は村を後にすべく背を向け歩みを進めた。
すると長の息子が大声をあげて泣き出した。
そこでいつも私は思う。
何故、他人のためにそんなに泣けるのかと。
泣けない私にはきっと解ることがないと思いつつ村を出た。




