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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第2章 冒険者登録
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第54話 反省会

 ラビットAの暴走により、村からは2キロくらい離れたため、ここで明日の夕方まで休むことにする。


 広々とした平地なので、一軒家を用意して……


「流石に目立つよな」


 何もない場所にポツンと一軒家。

 しかもさっきまで存在すらしなかったのだ。

 たとえ普段は人通りがなくても……バランの村から人が出てきたらすぐに見つかってしまう。

 もし誰かに見つかったら……うん、怪しすぎる。


「こんなときこそ、隠蔽スキルだよ」


 なるほど、隠蔽スキルか。


 ――――

 隠蔽

 レア度:☆☆☆

 レベル:3


 対象を外部から見えなくするスキル。

 その場から無くなったわけではないので、触れることはできる。

 触れられても気づかれなければバレることはないが、存在を認識されると効果がなくなる。

 このスキルより高いレベルのスキルや上位スキルには通用しない。

 ――――


 自分のスキルを隠すために取得したスキルだけど、別に対象はスキルの必要はない。

 というよりも、こっちの方がメインの使い方だろう。


 俺は早速隠蔽スキルで家を隠してみる。

 ……スキルを発動させたからか、家が蜃気楼のように薄く揺らいで見える。

 が、決して消えてはいない。


「なぁ……これ、本当に周りからは見えないのか?」


 サイレントビーの時もそうだけど、自分のスキルはちゃんと発動したのかどうか、分からないのがもどかしい。


「うん、ちゃんと発動してるよ! ……とはいっても、アタイとラビットAは認識しちゃってるから見えてるんだけどね」

「きゅっ」


 そういえば認識している人には効果がないって書いてあったな。

 じゃあ結局誰も分からないってことだけど……まぁナビ子がちゃんと発動しているって言ってるし、信じることにしよう。



 ****


 夕食と風呂を済ませ、ビール片手にリビングで寛ぐ。


「くぁぁ~やっぱりビールは最高だな」


 風呂上がり、しかも今までの素ビールとは違い、今はレシピ合成で作ったつまみがある。

 最高だな。


「もぅ……だからおじさん臭いってば」


 ふふん、今は気分がいいから何を言われても平気だ。

 だけど……まぁこのままいい気分だけじゃ駄目だ。


「さて、今日は初めて人間に会ったわけだが……色々と反省点が多いな」


「そう? 上出来だったと思うけど?」


「いやいやいや!? まず大前提としてじいさんだよ。誰だよ!」


 何とか話を合わせられたから良かったものの……最悪の場合、孫認定されずにじいさん殺しの罪に問われるところだったかもしれない。


「実在の人物ならちゃんと教えてくれよ」


 普通に架空の設定だと思ったじゃないか。


「あ~またすぐアタイのせいにする。シュートが実在のおじいちゃんか聞かなかっただけじゃん」


「いや、普通に設定って言われると架空の人物だと思っちゃうじゃん」


「設定って付けないとアタイが説明できないの。シュートは孫ねって断言したら、嘘になっちゃうもん」


 設定って付ければ嘘にはならないのか。

 ……設定って便利な言葉だな。


「それにアタイはあそこにはおじいちゃんが住んでいたから、シュートはそのおじいちゃんの孫って設定ね。ってちゃんと区切ったもん」


 区切ったからってそれでいいとは思わないが……これ以上話しても平行線だろうから、次の話に移る。


「そういえば村長達との話にナビ子はあまり参加しなかったな」


 挨拶と……あと馬車が欲しいって言っただけかな。


「だってシュートが嘘ばっかりつくから……下手にそうだねって相づちを打っても嘘になっちゃうよ」


 そっか。そういうのも嘘になっちゃうんだな。


「それに、あのおじちゃんも言ってたけど、妖精ってあんまり人と関わり持たないみたいだし……アタイもシュート以外とはあんまり仲良くしない方がいいと思うんだ」


 あくまで俺にだけ懐いているという風にするってことか。


「ならいっそのこと、旅のしおりに戻っておくか?」


「それはやだ! アタイだって外の世界を見てみたいんだもん」


 ……まぁ俺もひとりでいるより、ナビ子が側にいてくれた方が嬉しい。


「じゃあナビ子は他人と話すときは出来るだけ話さない方向で……たまに俺にアドバイスをするだけってことだな」


「うん、それでいいよ!」


 よし、ナビ子はそれでいいとして……


「ラビットAはやっぱり街には入れない方がいいな」

「きゅんきゅんきゅん!!」


 そこまで全力で首を振らなくても……そんなに嫌なのか。


「今回はたまたま上手くいった……というか、本当に上手くいったのか疑問だが……もっと大きな街に行けば絶対に問題になるに決まってる」


「それだけどさ……シュートはワイルドホースの魔石をモンスターにするんだよね?」


「もちろんそのつもりだ。何せ念願の足なんだからな」

「きゅむむ……」


 ラビットAが威嚇するように唸る。

 何がきゅむむだ。

 対抗意識でも燃やしているのか?


「ワイルドホースはモンスターだけど、問題にならないの?」

「きゅむぅ?」


 ラビットAが問題になるならワイルドホースだって問題になるってことか。


「まぁそれに関しては少しだけ考えがある」


 もしラビットAがマジックラビットじゃなくて、小さいホーンラビットのままだったら、ペットとして問題にならなかったはず。


 つまりモンスターが駄目なんじゃなくて、見た目が問題なだけ。

 要はワイルドホースだから駄目なんだ。

 もしワイルドホースじゃなかったら……多分あれでいけるはず。


「まぁ考えがあるなら良いけど……でもシュート。馬に乗るのって案外難しいらしいよ。それに、長時間乗ってるとお尻が痛くなっちゃうらしいし……大丈夫なの?」

「きゅふふ」


 ラビットAは今度は勝ち誇ったような表情を浮かべる。

 その点こっちはフカフカで痛くならないとでも言いたいのだろうか?

 まぁそれ以前にさっきのような走りなら絶対に乗らないんだがな。


 しかし……確かに長時間乗ると疲れるのは確かだ。

 荷物の心配は要らないが、そう考えると荷車もあった方がいいかもしれない。


「村長はワイルドホースを潰したせいで、馬が少なくなったから渡せないって言ってた。だったら馬が少なくなった分、空いている荷車があるかもしれない。明日村に戻ったら交渉してみよう」


「じゃあそれはシュートに任せるよ。それで……明日まで何するの?」


「そりゃあもちろん……」


 いつもどおり解体と合成以外にないだろう。

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