第46話 下山
「とりあえず山を下りると村があるから……まずはそこを目指そっ!!」
村までの道案内は、ナビ子がやってくれるそうだ。
山中で迷いたくなかったから、非常に助かる。
まぁナビ子が案内しなかったら、サイレントビーに偵察を頼むだけだけど。
とりあえず護衛役としてラビットAとホブAを呼び出す。
「きゅきゅっ!!」
「ホガガ!!」
相変わらずこの2体は無駄に元気だな。
というか、進化して更に元気になっている。
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マジックラビット
レア度:☆☆☆
固有スキル:魔の素質、角強化
個別スキル:危険察知、嗅覚、貯蔵庫、同族キラー
アルミラージの特別変異体。
魔法を使うことが出来る。
ただでさえ凶暴なアルミラージが魔法まで使うから、もう手がつけられない。
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ゴブリンソルジャー
レア度:☆☆☆
固有スキル:威圧、攻撃の心得
個別スキル:魔力探知、棒術、剣術
物理攻撃に特化したホブゴブリン。
個体によって得意武器が異なる。
常に前線で戦うゴブリンの特攻隊長。
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ラビットAはアルミラージから魔法に特化した個体へ。
ホブAは戦士タイプのゴブリンソルジャー。
名前はホブAが改名を断ったので、そのまま。
他のカードモンスターは星3へ進化してもワガママ言わないのに、本当にこの2体は……
まぁ頼りになる存在ではあるが。
この2体にサイレントビーを召喚して下山を開始する。
基本的に、モンスターが現れたらラビットAかホブAに任せているが、俺も少しだけ活躍した。
とはいっても、幻惑蝶だけだが。
下山中に普通に飛んでいたので、命中補正のスキルを試しがてら、ベレッタで倒した。
不規則に飛んでいる幻惑蝶にも簡単に当てることができ、改めてスキルの有用さを実感した。
大型のモンスターに関しては出現せず。
正直、今の戦力ならワイルドボアやワイルドディアなどが相手でも十分に戦える。
まぁ山を早く下りたいから、戦いたいわけじゃないんだけど。
ナビ子の話によると、このペースで移動できるなら、早ければ明日の夕方には目的の村にたどり着くそうだ。
ただ、今日中に山を下りきるのは難しいとのこと。
なので、今日は山の中で一泊。
個室を召喚するスペースを確保するため、木を切り倒す。
木を切り倒すのは、魔法を使えるモンスターが風の魔法を使えば簡単に切り倒せる。
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ウインドカッター【風属性】レア度:☆
風属性の初級魔法。
風の刃で対象を切る。
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初級魔法だけど、そこら辺の木なら2、3回唱えれば切り倒せる。
この魔法が使えるのは、ラビットA以外では、風のゴブリンメイジとゴブリンウィッチの2体だけだ。
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ゴブリンウィッチ
レア度:☆☆☆
固有スキル:風の素質、威圧
個別スキル:器用
魔法を習得したゴブリナ。
個体によって使用する魔法の属性が異なる。
通常のゴブリナよりも知能が高い。
ゴブリナ自体が珍しいモンスターのため、その特殊個体であるゴブリンウィッチを目撃することはまずないであろう。
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唯一いたゴブリナにどの魔法が覚えたいか確認したら、風を選択した。
おそらく固有スキルの器用が関係しているのだろう。
器用は細かい作業が得意になるスキル。
メスだし手先が器用なので、ゴブリン達の食事や服を作っていたのかもしれない。
風魔法は物を切るのに適しているため、服作りや料理に便利なのだろう。
ここ数日は溜まっていた解体作業も手伝ってくれているので助かっている。
非常に女子力の高い子だ。
それから木を切り倒すのは魔法だけじゃない。
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ストーン・アント
レア度:☆☆☆
固有スキル:毒無効、マヒ無効、斬撃耐性、射突耐性、硬質化
個別スキル:身体能力強化
蟻系のモンスター。
その外殻はまるで石のように硬い。
そのため、生半可な武器では武器の方が破壊されてしまうだろう。
また外殻に覆われているため、毒などの状態異常も無効にする。
全てにおいてラージ・アントよりも強化されているが、ストーン・アントは群れで行動しないため、討伐難易度はそう高くはない。
硬いとはいえ、本物の石ではないため、魔法で燃やしてしまおう。
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ラージ・アントの進化モンスターだ。
ラージ・アントに関しては、進化前個体のキラーアントの巣を破壊したようで大量にキラーアントが手に入った。
そこからラージ・アントに合成、ストーン・アントへと進化した。
そして、別個体でラージ・アントから枝分かれで別の進化をした。
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アシッド・アント
レア度:☆☆☆
固有スキル:頑丈アゴ、強酸攻撃、毒攻撃、酸耐性
個別スキル:腐蝕
蟻系のモンスター。
口から発する酸、強靱なアゴはラージ・アントよりも更に強化された。
外殻面ではラージ・アントの方が硬いが、外殻が強力な酸で覆われているため、触れるだけで皮膚は焼けただれ、武器は使い物にならなくなってしまうだろう。
ただし、遠距離からの攻撃には弱いため、投石などでも倒せる。
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ストーン・アントがラージ・アントの防御面、アシッド・アントが攻撃面を強化した感じだ。
どちらも簡単に木を切り倒すことが出来る。
魔法でも物理でも……本当、木を切り倒せなくて悩んでいた頃とは大違いだ。
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無事に個室を呼び出せたので、部屋の中で夕食を食べることにした。
この食事がここ数日で一番大きく変わった出来事だろう。
俺は料理は殆どできないから、こっちの世界に来て、まともな食事をとっていない。
米を炊いて……辛うじて肉野菜炒めを作るくらいか。
それも野菜の大きさもバラバラだし、味付けも薄かったり辛かったり……
正直、味はビールを飲んで誤魔化していたけど……主食はビール? ってな感じだった。
それがカード化スキルがレベル3になり、レシピ合成が使えるようになった。
そしてナビ子のお土産の料理本でレシピカードが手に入り……料理を作ることが出来るようになった。
完成した料理は、まさにレシピ通り。
一流料理人が作ったような感動する美味しさはないが、それでも俺が作った料理よりも遥かに美味い。
しかも、カード状態だったら出来たてで保存されるから作り置きも可能。
いつでも美味しい料理が食べられるってわけだ。
俺はナビ子が帰ってきてからの2日間、カード化スキルのレベル上げのために、ずっと料理のレシピ合成をやっていた。
カード化スキルのレベル4になるための条件はレシピ合成500回。
今回は今までのように種類ではなく回数だった。
まぁ通常は合成しないとレシピが貰えないから、回数になるのは当然かも知れない。
レシピ合成は、自動と手動の二種類の方法に分かれる。
手動はいつもどおり重ねて合成するだけ。
その際にレシピカードも一緒に重ねればいい。
レシピカードは消費されない。
そして自動はレシピカードさえ手に持っていれば、合成素材は図鑑の中で勝手に消費される。
わざわざ図鑑からカードを取り出さなくてもいいので、非常に楽だがデメリットもある。
まず消費されるのはカード単位。
野菜とか1個単位でカードにしないと余分に消費される。
ナビ子のお土産のニンジンの箱も1本としてカウントされるから、非常に損だ。
また、カードの名前で認識するため、冷蔵庫の中に入っている素材も使えない。
そのため、カードにする際に、全て別々でカードにしなければならなかった。
まぁそれだけなら、元々カードにする際に図鑑登録も兼ねて別々にカードにしているから、そこまでデメリットではない。
問題はモンスターのレシピ合成だ。
自動だと、モンスターカードも図鑑の中からランダムで合成素材になる。
したがって、ゴブリナ用に残しているゴブリンメスや、有用スキルのため残しているモンスターが勝手に合成素材に使用される。
だから、モンスターカードを合成する時は自動合成は絶対に禁止だ。
自動合成が最も活躍するのは、アイテムや武器、魔法合成だ。
素材の質は変わらないので、ポーションや、木の矢、魔法の合成はかなりの時間短縮になった。
毎日レシピ合成を繰り返していけば……街にたどり着く頃にはレベル4になっているかもしれないな。




