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第97話 VSパラディオン②

「シュート! またブレスが来るよ!」


 鈴風とラビットAの方も気になるが、向こうにかまけている場合でもない。

 ナビ子の言葉にラビットAからパラディオンへ意識を向けると、大きく息を吸い込んで、今にもブレスを吐くぞという態勢。


 俺の前には3リスのプリズムエリアは展開中のため、さっきと同じブレスなら防げるが……あのパラディオンがさっき防がれた攻撃をもう一度するか?

 もしかしたら対策されたかもしれないが、それでもプリズムエリア外に出る方が危険だと判断した俺は、念のため防御魔法を手に取りブレスに備える。


 直後、パラディオンから二発目のブレスが放たれるも、無事3リスのプリズムエリアに弾かれる。


 よし。

 このプリズムエリア内であればブレスに関しては完全に防げるみたいだ。


「ねぇシュート。もしかしたらあの竜、ブレス以外の遠距離攻撃を持っていないんじゃない?」


 最初のブレスが効かなかったにも関わらず、何の対策もせず同じ攻撃を繰り返したからそう思ったのだろう。

 しかし俺は首を振る。


 守護竜が魔法を使えないってことはないだろう。

 魔の極意……少なくとも水の極意は持っているだろう。

 それどころか、下手したらラビットAと同じ魔を極めし者のスキルを持っていてもおかしくない。

 むしろ星6魔法すら使える可能性がある。

 もちろんその中にはブレスよりも威力のある魔法もあるはず。


 それを使わず、あえてブレスを二回連続で使う理由。

 防御魔法の強度を確かめるために、もう一度吐いた可能性は十分に考えられる。

 けど……。


「ブレス以上の威力の攻撃を持っていないんじゃなくて使えないんじゃないか?」

「どういうこと?」

「考えてみろ。ここはどこだ?」

「あそっか。洞窟の中じゃ強い魔法は使えないね」


 そう。今戦っている場所は広くて忘れがちになるけど、そもそもここは海底洞窟の中。

 下手に大型の魔法を使えば洞窟が崩壊しかねない。

 まぁ崩壊した所でパラディオンは無事だろうけど。


 でもパラディオンのすぐそばにいるネレイドの女王エライネはどうだ?

 現在、女王は戦闘に巻き込まれないようにパラディオンの張った結界に守られている。

 そのため彼女自身は崩壊しても死なないだろうが、同じ洞窟内であるネレイドの国は無事じゃ済まないだろう。

 もちろん神殿や洞窟にも女王に張った結界と同程度の処理はされていると思う。


「それの結界で防げる威力で最大の攻撃がブレスなんだと思う」

「なるほどねぇ」


 ちなみに女王はラビットA以上にオロオロしている。

 おそらく女王は道中で聞かせてくれた以外は全て初耳だったはず。

 だからこんな風になるとは予想だにせず。

 それでも連れてきたのが自分ということで、俺たちに対して責任を感じていそうだ。

 別に女王が責任を感じる必要はないんだが……ああもう、今にも泣きそうな表情して。

 まぁその表情も凄く可愛らしいのだが……。


「なんか変なこと考えてない?」

「んな場合じゃないだろ」


 こんな時にも反応するナビ子センサーに良さに驚きつつも、俺は慌てて誤魔化す。


「……まぁいいわ。とりあえず遠距離攻撃に関してはこの中にいれば安全なのね?」

「逆に言えばここから動けないってことだけどな」


 プリズムエリアは固定結界だから動くことが出来ない。

 つまりこのままじゃラビットAの元へは近づけない。


 早くラビットAにも参戦してもらいたいが……俺はコールを呼び出す。

 コールにラビットAの所に行ってもらって、ラビットAを連れてきてもらおう。


 続けて俺はブラストガンを装備。

 コールがラビットAを説得するまでパラディオンの意識をこちらに集中させる。


 俺はブラストガンをパラディオンに向けて発射。


「むっ!?」


 気づいたパラディオンが、ふっと息を吹きかけてかき消す。


「……アンタの攻撃。蝋燭の火レベルだってさ」

「……ほっとけ」


 ……いや、確かにブラストガンの攻撃じゃ当たっても大したことはないとは思ったけどさ。

 せめてブレスでかき消してほしかったよ。


 ともあれ今のはダメージを与えることが目的ではない。


「とにかく、何でもいいから今は攻撃だ」

「オッケー!」


 1,2分でいいんだ。

 パラディオンの意識をこっちだけに集中させ、コールが気づかれずラビットAに合流。

 そしてラビットAに参戦してもらえるよう説得する。


 俺はブラストガンを連射。

 ナビ子も海中で使える攻撃魔法のカードを使用。

 パラディオンがブレス吐こうとすると、すぐさまプリズムエリア内に退避。

 ただこれだけじゃブレスじゃなくて直接攻撃されただけで詰み。

 1、2分すら持たない。


 そこでもう一人。

 セレンがパラディオンの周りを動き回って撹乱する。

 非常に危険な役割だが、これが出来るのは俺たちの中で唯一海中で自由に動けるセレンだけ。


 ふふっ蝿のように顔の周りをウロチョロとされるだけで、さぞや鬱陶しいだろう。

 もちろんウロチョロするだけじゃなく攻撃だってしている。

 まぁあまりダメージはないだろうが。


「~~~~~~~~♪」


 セレンが歌うとクリオネみたいな小さなモンスターがたくさん現れる。


「えっなにあれっ!?」

「アタイも知んないよ!?」


 おそらく歌姫スキルの効果だろうが……クリオネ召喚?

 セレンがパラディオンに向かって指差すとクリオネの集団が一斉にパラディオンに襲いかかる。


 ――ボンッ!?


 クリオネを振り払おうとしたパラディオンがクリオネに当たった瞬間、クリオネが爆発。


「ぬおっ!?」


 驚いたパラディオンの動きが一瞬停止。

 その隙にクリオネたちがパラディオンの体にまとわりつき爆発。


「く、クリオネ爆弾……」

「セレンってばすっごーい!! ……それに引き換えシュートの攻撃は……」


 ほっとけ。

 セレンが凄すぎるだけだっての!?

 まぁそれでもこれでパラディオンがやられるとは思えないが。

 時間稼ぎとしては十分じゃないのかな?

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