表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
414/449

第89話 鈴風VSパラディオン

「「ちょっとまてえええええ!!」」


 俺とナビ子は大慌てで鈴風に詰め寄る。

 あの不敵な笑みから嫌な予感はしていたが、やっぱりやりやがった!!


「お前、今何やろうとしてるか分かってんのか!?」

「ちょっと鈴風。アンタ約束してたでしょ!?」

「きゅぎゅか、ズルい!」

「ああ……うん。ラビットAはちょっと黙ってようか」

「えと……ラビットAはいい子だからあっち行ってようね」

「きゅぴえっ!? きゅートときゅビ子、ひどい!」


 いやだってラビットAだけ意味合いが違うし。

 俺たちの肩を持ってたつもりだろうけど、絶対に逆効果になりそう。

 ラビットAは拗ねてしまったけど、今は鈴風だ。


「なぁ鈴風、俺何度も言ったよね! んでお前、分かってるっつったよな?」

「そうでしたか?」


 こいつ……いけしゃあしゃあと。


「ついさっきのことだろ!? お前だって自分は辻斬りでも殺人鬼でもないとか突っ込んでだじゃん!?」

「ええ。ですからこうして断りを入れているのです。それにあくまでも仕合。死合ではありませんから、殺すつもりもありません」

「確かにいきなり襲わないんじゃ辻斬りとは言わないよね」


 ……そうだけどさ。


「結局の所戦うことには変わらないんだし、ただの屁理屈だろ」

「ええ。今回のような場合は誤魔化すのがよいとシュートから教わりました」

「あ~うん。シュートってば屁理屈とか誤魔化しとか、しょっちゅうしてるもんね」

「そうだけども!?」


 それに関しては全く否定できないけど!?


「でも俺はこんな生死の掛かった状況で誤魔化したりはしないぞ」

「そうですか? わたくしには昨日からもずっと誤魔化しっぱなしのような気がしますが?」

「確かに御使いを誤魔化してる時点でどっちもどっちよね」


 おいナビ子。お前はどっちの味方だ!!


「それで守護竜パラディオン。わたくしの挑戦を受けますか?」

「「だから待てって!!」」


 話がループしたところで、がははと豪快に笑うパラディオン。

 その横ではオロオロとどうしていいか分からない様子の女王。

 女王には申し訳ないけど、とりあえず怒っていきなりブレス……なんてことはなさそうなので一安心。

 ……油断はできないけど。


「威勢のよい小娘ではないか。エライネ、この小娘は何者ぞ?」

「えっはい。この方は御使い様の同行者で……おそらく御使い様と同じく日本人かと思われます」


 女王の発言で、そういえば日本人ですと断定はしてなかったなとどうでもいいことを思い出す。


「ええ。わたくしは日本人です」


 そしてそれを普通に暴露する鈴風。

 ……まぁ俺も言ったつもりだったからいいけどさ。

 鈴風が日本人と聞いたパラディオンは、ほぅと鈴風を見る。

 俺にしたように鑑定をしているのだろう。


「……見られるのは好きではありません」


 鈴風が顔をしかめながら答える。

 何故そんなにハッキリと言えるのだろうか。

 ……俺もこんな風に正直に言えた方がいいのかなぁ。


「……ふむ。どうやら小娘の方はまだ覚醒しておらぬな」


 覚醒……俺にも言っていたけど、俺は覚醒していて鈴風は覚醒していない?


「小娘。威勢が良いが、貴様では我に傷一つ付けることは出来ぬぞ」

「……随分と自信があるようで。試してみましょうか?」

「自信ではない。我はただ事実を述べたまでのこと。小僧ならまだしも小娘。貴様では我に傷を付けることは不可能だ」


 ちょっと!?

 何でそっちも鈴風を煽るようなこと言ってるの!?

 そんなこと言ったら、鈴風は絶対に無気に……ほら、拳を震わせてるし。


「シュートなら傷を付けることは出来て、わたくしには無理だと。つまりわたくしはシュートより弱いと……ふふふ」


 アカン。

 これマジギレしてる。


「いやいや、俺なんかより鈴風の方が全然強いから!? なので、鈴風が傷を付けられないなら、俺が付けられるわけないじゃん」

「小僧。貴様は覚醒をしておるから、実力があれば我を傷つけることは可能ぞ?」

「だから覚醒ってなに!?」


 俺は覚醒に心当たりはないし、鈴風が覚醒してないってのも意味が分からない。


「覚醒とか訳の分からない御託はどうでもいい! 試せば良いだけ」


 そう言って鈴風は海鳴刀を取り出し、構える。


「ちょっ!? マジでヤバイって!?」


 俺は鈴風とパラディオンの間に入ろうとするが、それをパラディオンが止める。


「小僧、構わぬ。好きにさせよ」

「いや、でも……」

「構わぬと言っているではないですか! シュート退きなさい!」


 あ~もう!

 どうなっても知らんからな!

 俺が横に退くと、鈴風が臨戦態勢に。

 まず間違いなく一手目は戦闘開始時にしか使えない、鈴風お得意の先手必勝だろう。


「シュートの手前、大怪我をさせるつもりはありませんでしたが……腕の一本は覚悟なさい!」

「ちょまっ!?」


 おい馬鹿それはやり過ぎだ!?

 そう言って止めたいところだが、先手必勝を発動させた鈴風に届くはずもなく。


 俺の視界から鈴風が消え――そして次に鈴風を視認したのはパラディオンに一撃を入れ終わった時。

 そこには無傷のパラディオンと海鳴刀が粉々に砕け散って唖然とした鈴風の姿だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ