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第44話 大合成会⑦

 残っている魔族で男性ヴァンパイアとナーガは素材が足りないので残念ながらまた今度。

 そして朝からやっていた合成も気づけばもう夕方。

 いやぁ。久しぶりにじっくりコレクションを堪能して大満足だ。


「続きは……明日にしようか」

「……明日もやるんですか?」

「まぁまだやらなくちゃならないことが残ってるし。別に仕事があるなら参加しなくても……」


 アズリアは鑑賞会ってことで参加したが、途中からただの合成になってしまったし。

 ……ほぼ鈴風のせいだけど。

 途中でアドバイスをもらって助かる部分もあったけど、アズリア的には暇だったんじゃなかろうか?


「いえ。せっかくですから明日もご一緒しますが……まだ残っているのですか?」

「うん。ある意味今回のメインというか」

「アタイのダブリンとつぐみんね!」

「いや、違うから」


 ナビ子のはあくまでついでだから。


 まだ残っていること。

 それはこの数日間で手に入れた海のモンスターの合成だ。

 もう少ししたら本格的に海中探索をする予定だからな。

 捕まえたばかりの星1や星2じゃなく、ちゃんとした戦力を手に入れないと。

 その点では予想外だったとはいえ、今日の合成でコーラルヘアやカーバンクルが戦力として期待できそうなので非常に助かった。

 でも……もっと欲しいよね。


 それともう一つ。

 海中での移動手段だ。

 地上のユニコーンや空のグリフォンのように、海中で移動する際の乗れるモンスターが欲しい。

 この数日で海中での動きには慣れたけど、長距離の移動となると、どうしてもねぇ。


 ここ数日で手に入れている海系のモンスターカードを思い浮かべる。

 星1の魚、牙魚とアームフィッシュ。

 星2のクラゲ、ビーナスジェリー。

 星2のイソギンチャク、シーローパー。


 それからメーブが砂浜で捕まえたモンスター。

 星2のカニ、シザークラブとバブルクラブ。

 星2のヒトデ、イバラヒトデとポイゾナスター。

 星1の貝、ハーミットシェル。


 ……果たしてこれで乗り物が出来るのか?

 海だけじゃなく他の手持ちも組み合わせて……俺は夜遅くまで考えることになった。



 ****


 コレクション鑑賞会二日目。


 場所はもちろん昨日と同じく、朝一に無人島の砂浜。

 昨日は途中で抜け出した鈴風とラビットAもいる。


「今日はどんな強者にお目にかかれるのでしょうか」

「きゅっきゅいー!」


 ……残念だが強者の紹介は昨日で終わってるんだよなぁ。


「はいはーい! まずはアタイからいい?」


 どうやら昨晩のうちに合成してきたらしい。


「まずは……新生ダブリンはこれ!」


 え~っとダブリンはウイングダブからカラドリウスになっていたが、果たしてどうなったのか。


 ――――

 ハンサ

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:光の覚醒、水の覚醒、風の覚醒、神聖、水泡

 個別スキル:妖精の友、浄化、邪気配察知


 バード系上級モンスター。

 知識を司る霊鳥。

 ハンサが降り立つ水面は浄化されるといわれている。

 ――――


「どーよ! この美しい白鳥ちゃん。さっすがアタイのダブリンよね」

「クアッ!」


 ……白鳥?

 確かに全身白いけど……大きさは50~60センチくらい。

 首も長くない……これってさ。


「……アヒル?」

「シャーラップ!! ダブリンのどこがみにくいアヒルの子よ!」

「クアクアッ!」


 まさかのブチ切れなナビ子とダブリン。

 ……一言もみにくいとは言ってないんだが。


「いい。この子は白鳥なの白鳥。例え首が長くなくても、体が大きくなくても白鳥なの。仮に百歩譲っても鴨だかんね!」

「クアッ」

「あっはい」


 別に俺のじゃないし、白鳥でも鴨でもどっちでもいいけどさ。

 ん? そういや、アヒルと鴨って……あれっ?

 どっちも同じ姿を想像してるんだが……俺の勘違いか?

 違いが分からん。

 いや、俺の数少ない知識によるとハンサってガチョウだったような……うん。もう水鳥ってことでいいか。


「そんでダブリンの能力はどうよ! すごいでしょ!」


 ん~……確かに能力は凄いな。

 カラドリウスの頃からの聖なる力が継承されていて、しかも水鳥だからか水の能力も増えている。

 あっ妖精使いから妖精の友になっている。

 ……対等になったのかな?


「じゃ、次はつぐみんね!」


 つぐみんはセンダンツグミからスイートツグミに進化したが、次はどうなるのか。

 やはりツグミなのか?


 ――――

 フォーチュンツグミ

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:幸運、祝福、呪詛、誘惑

 個別スキル:妖精の友、羽ばたき、風の覚醒


 バード系上級モンスター。

 敵のないものに祝福を授ける幸運の鳥。

 逆に敵意あるものには呪詛を振りまく。

 ――――


「ふふ~ん。どう? 幸運の青い鳥だって。もし、つぐみんって名前がなければチルチルって名付けるところだったわ」

「ピピッ!」


 確かに青い鳥だけども……チルチルは鳥の名前じゃないからな。

 というか、あれってツグミだっけ?

 まぁ小鳥には違いないけどさ。


 ただ……幸運の鳥の割には、敵意のある相手には呪詛を振りまくって書いてあるぞ。

 えっと……スキルは随分と変わったなぁ。

 以前は蜜や木の実を集める感じだったのに、それらが全部消えている。

 収納スキルとか貴重だったから少しもったいない気分だ。

 ……まぁカード化があるからほとんど使うことはないんだけどさ。


「んで、ダブリンとつぐみんの後が……」


 いやいや、ナビ子はこれ以上持ってないだろ。


「アタイのユニコとグリコとユキコを」

「待て待て待て」


 ソイツ等はナビ子のじゃないといつも言ってるだろうが!


「で、でもユニコたちの合成してあげないと可哀想だよ」


 確かに他のメンバーは昨日合成してユニコーンとグリフォンだけ仲間はずれは可哀想だが。


「……何か考えているのか?」

「うん!」


 う~ん。ならちょっと任せてみるか。


「じゃあユニコーンとグリフォンだけ。もちろん二体の許可を得てからだぞ」

「ユキコは?」

「流石にまだ早い」


 ただでさえ適応力とかモフモフとか言いながら半分特別扱いみたいにして可愛がってるから、これ以上はねぇ。

 合成はしばらくお預けってことで。


「そっか。まぁ仕方ないね」


 言ってはみたものの、早いと思ってはいたのかナビ子も大人しく引き下がる。


「んじゃあ、まずユニコから……色々考えたんだけど、やっぱりユニコはペガサス系にしようと思ってるの」

「んっ? でも、ペガサスには角がないって言ってなかったか?」


 俺が最初にペガサスにって言った時にペガサスには角がないから違うって言ったのはナビ子だぞ。


「それだけどね。角があるペガサスは逆にレア種なんじゃないかなって。もし普通のペガサスになっても角がなくなるだけだし」


 なるほど。レア種狙いか。


「ちなみに色々って他にはどんな候補があったんだ?」

「んとね。角が二本でバイコーンとか、博物館で見たフレイムホースみたいに属性を付けたりとか。でもどれもしっくり来なくて」


 バイコーンってユニコーンとは逆の闇っぽい馬だよな。

 それにユニコーン自体が光属性だから……確かにしっくりこない。

 うん。それならペガサス狙いでいいかもしれない。

 鳥モンスターは……鷲系とコウモリ系は在庫が乏しいけど、ホーク系とイーグル系はまだ残っている。

 今回はホーク系でいいだろう。


 ――――

 アリコーン

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:光の極意、風の覚醒、祝福、浄化、加速、飛翔

 個別スキル:危険察知、フェイク、不可侵、角強化


 馬系の上級モンスター。

 有角有翼の白馬。

 ペガサスとユニコーンの間の子。

 その角は浄化や癒やしの力があるとされている。

 ――――


「うん。予想通りの結果だな」

「ふむふむ。有角有翼でアリコーン。……ユニコのままでいいよね?」


 個人的には合体したらユニサスとか思ってたのに……だったら違和感なくユニコ呼びでよかったのにな。

 能力はユニコーンの上位互換に飛行能力がプラスと。

 個別スキルは元々魔法妨害とかスキル妨害とか妨害系や偽装系を仕込んでいたから、それがフェイクや不可侵に進化したっぽい。

 良きかな良きかな。


「続けてグリコなんだけど……シュートは以前グリコの進化系を見たことあるんだよね?」

「ああ、一度だけ。真っ白い……ホーリグリフって種族だった」


 とある冒険者がテイムしていたんだが……あの人、あれっきり見てないんだよなぁ。


「要するにグリコは属性で進化するってことよね。……同じホーリーグリフじゃ面白くないよね?」

「そりゃ、せっかくだから別の進化を見てみたい気もするが」


 どっちみち図鑑を埋めるから、手に入れてないなら何でもいいけど。


「そこで! グリコと言ったら風。風属性にしようと思うんだ」


 グリフォンは風の覚醒を持っているし、俺も異論はない。


 ――――

 テンペストグリフ

 レア度:☆☆☆☆☆

 固有スキル:風の極意、暴風、鷲の目、野獣の眼光、野性の勘、神速、鉤爪

 個別スキル:風の覚醒、硬質化、再生、射突


 最上級飛行モンスター。

 空の王。暴風の力を得たグリフォン。

 ――――


「……空の王だって」

「……格好いいね」


 見た目はグリフォンのまま。

 ……ちょっとだけ爪が鋭くなっていたり、毛が逆立っていたりしているけど。

 乗るのには何の問題もなさそうだ。


「ふむ。ようやく余興が終わったようですね」

「きゅむ……」


 今まで黙っていた鈴風とラビットAが突然立ち上がる。


「ちょっと。もしかして余興ってのはダブリンとつぐみんのこと?」


 あと多分アリコーンもだぞ。

 鈴風にとっては強そうなテンペストグリフだけが御眼鏡にかなったようだ。


「貴方。ちょっとこちらに来なさい。相手をしてあげます」

「きゅなさい」


 そう言って昨日と同じく森へと向かう鈴風とラビットA。

 テンペストグリフは鈴風たちと俺を交互に見て途方に暮れている。


「……こっちはいいから向こうに行ってやれ」

「グルゥ!」


 俺の言葉にテンペストグリフは鈴風たちを追いかける。

 どうせ何を言っても無駄なら好きにさせとくのが一番。


「……ラビットA。完全に鈴風に染まっちゃってるね」

「そうだな」


 一時的なことだと思うが……これ以上バトルジャンキーにならないようにしてもらいたいものだ。


「ゴホン。じゃあ次は俺の番だな」


 気を取り直して合成に戻る。

 とは言っても、俺もナビ子のように既に合成済みでお披露目だけなんだけど。


「俺が紹介するのは一体だけ。……これが俺の海の相棒だ」


 ――――

 アーマーヘッドクラブ

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:水の覚醒、水疱、鉄化、怪力、強靭、マヒ毒

 個別スキル:高速移動、気配察知、清流、再生


 クラブ系上級モンスター。

 巨大な爪と頭が特徴のカニ。

 非常に硬い甲羅に覆われており、水中で砕くのは困難。

 尾にマヒ毒が仕込まれており、獲物を痺れさせてから自慢のハサミで相手を狩る。

 ――――


 能力的は昨日合成で作ったカルキノスとほぼ変わらない。

 まぁ見た目はぜんぜん違うけど。

 カルキノスは普通のカニを巨大化したもの。

 こっちのアーマーヘッドクラブは……水上バイクってあるじゃん。

 あれに巨大な爪が生えている感じ。


「ふふん。どうだ。格好いいだろ」


 俺がドヤ顔で紹介するが……何故かナビ子とアズリアは微妙な顔。


「格好いいって……頭がデカいザリガニよね?」

「シュートさん。もしかして、これに乗って海中探索するおつもりなんですか?」


 まさかの不評である。


「えっ? なんで? 格好良くない? ほらここ。背中に乗ると操縦席っぽいし」


 アーマーヘッドクラブの最大の特徴は頭部。

 鎧兜をかぶったような形をしており、背中に乗るとハンドルのように持つことが出来る。

 しかも座って乗ることも出来るから安定性も抜群だ。


「でも……ザリガニでしょ?」

「やはり定番はイルカのような魚のほうが……」

「こっちの方が格好いいし、安定性もあるんだよ!」


 というか、イルカとか持ってないんだよ!

 持っているのはピラニアみたいなのと手の生えた変な魚だけ。

 他はクラゲとかヒトデとか貝なんだぞ。

 これしか選択肢がなかったの!

 俺だってイルカに乗った少年になってみたいけど……そんなモンスターはこの辺にはいなかったんだよ。


 ここはやはり本格的な海中探索を……。


「よし、明日から本格的な海中探索をしよう!」

「えっ!? 明日!?」

「明日……」

「ああ。本当はもう少し後って思ってたけど……海中訓練もある程度終わったし、こうやって乗り物もできた。明日からでも問題ないだろ」


 それに無人島探索もある程度終わって鈴風も暇そうだし。

 問題はアズリアだけど……本格的な探索になると数日開けることになるから、ライラネートに帰る選択肢もあるのだが……。


 結局、アズリアはアクアパッツァに残ることを選択し、俺達は海中探索に向かうことにした。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。

これにて長かった合成回は終了となります。

次回からは海中探索編となりますので、よろしければ引き続きお読みいただけますと幸いです。

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