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第43話 大合成会⑥

 続いて呼び出したのはケルベロスにオルトロス、キマイラ、ヒュドラーの四体。


 神話とか知らない俺でも知っているくらい、多くのゲームにボスクラスの強敵として登場している超有名なモンスターたち。

 ……普段は牧場でウサギたちと戯れているとか信じられないよね。


 もちろんその実力はこの世界でも折り紙付き。

 全員星4でもあり、どれか一体だけでも上級冒険者が束になっても敵わないだろう。

 ……まぁ以前タクミには負けてしまったけど。

 ちなみに無人島探索に参加はさせてないから、鈴風とは戦わせていない。

 というか、コイツ等のような存在を確認したくてコレクション鑑賞会とか言い出したと思うんだが、肝心の鈴風が不在というね。

 ……居たら居たで戦わせろって煩かっただろうし、居なくてよかったかも。


 にしても、この四体は知名度的に星5でもおかしくないはずなのに星4。

 はたしてこれ以上の進化となるとどうなるのか。

 属性による強化かはたまた別の神話生物に進化するのか。

 楽しみでもあり……同じく神話級であった土蜘蛛が禍津大蜘蛛になったように、封印級のモンスターになったらどうしようという不安もある。


「がう。ががうっ」


 四体の中で唯一声を発することが出来るケルベロス。

 ……まぁ俺にはなんて言ってるか分からないんだが。

 なので、いつものようにティータにお任せ。


「この子たちは、このままでいいから代わりに兄弟を作ってくれと言ってます」


 ……兄弟。


 俺は神話のことなんて詳しくないから知らなかったが、ナビ子によるとこの四体はエキドナの子で兄弟らしい。

 全く姿が違うのに兄弟とか……と思うけど、母親のエキドナは下半身が蛇で上半身が人型のラミアのような姿らしい。

 でも、この四体が自分たちで兄弟と思っているってことは、間違っていないということだよな。

 本当、神話って摩訶不思議すぎる。


「えっと……その兄弟ってのは別のケルベロスやオルトロスを作れってことじゃないんだよな?」


 ナビ子の話によると、エキドナの子ってのはもっと種類がいるって話だったから、兄弟ってのは二体目ってことじゃなく、他の種族のことだと思う。


「「「がう!」」」


 その通りとばかりにケルベロスの三つの頭が同時に返事をする。

 ……同時に頭を下げる姿はちょっと可愛い。


 う~ん。種類が増えるのは吝かではないが、前回は素材が足らなくて諦めたんだ。

 あれから少しは種族や魔法は増えたけど……どうだろう?


「ナビ子……どうだ?」


 流石にこればっかりはナビ子に聞かないと分からない。


「そーだね……何体かはいけると思うよ」

「本当か!?」

「ただ……お父さんは違ってもいい?」


 って、そういえばオルトロスとの子もいるって話だったよな。

 ……本当、複雑な神話の家族構成で。


「がう! がっがうがう」

「問題ないそうです」


 ……問題ないのか。


「そっ。じゃあさ……」


 ってなわけで、ナビ子とケルベロスたち主導で合成を始める。


 ――――

 デルピュネー

 レア度:☆☆☆☆☆

 固有スキル:竜、火の極意、人化、飛翔

 個別スキル:槍術


 上半身が女性、下半身がドラゴン、黒き翼を持つ魔族。

 魔族の中でも位が高く、最上位に君臨する。

 火を自由に操り、口から炎を吐き出す。

 ――――


 星2ファイアリザードから星3ファイアドレイク、そして星4パイロドレイクを経由しての星5デルピュネー。

 合成相手はクイーンじゃない星3ラミアとジャイアントバット。

 星4パイロドレイクとかドレイク種の竜で強そうだったのに、あっという間に合成素材に……うう、今度また作ってやるから。


 上半身は赤髪で褐色の美人なお姉さんで下半身はドラゴンというよりは殆ど蛇。

 まぁドラゴンの尻尾ってことだろう。

 上半身と下半身の付け根にバンパイアみたいにコウモリっぽい羽が生えていて、空も飛べるらしい。

 うん。この子ならエキドナの子って言われても理解できる。

 にしても……星5か。

 エキドナの子の中で頭一つ抜けているのは魔族だからか。


 ――――

 エトン

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:鷲の目、火の覚醒、鉤爪、気配探知、不死

 個別スキル:再生、土の素質、炎喰らい


 鳥系上級モンスター。

 巨大な大鷲で神の使い。

 炎を自在に操り、また炎を喰らって生き続ける。

 不死者の肉を喰らい、不死になったともいわれる

 ――――


 火属性の上級魔法とロック鳥を進化させた大鷲エトン。

 火属性で不死ってのがフェニックスを彷彿させるが、火を纏っているわけではないので、微妙に違う。

 ……でも、これを元にフェニックスとか出来るかもしれない。


 ――――

 カルキノス

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:水の覚醒、水疱、硬質化、怪力、強靭

 個別スキル:砂隠れ、砂泳、適応力


 クラブ系上級モンスター。

 別名キングクラブ。

 10メートルに及ぶ巨大なカニでクラーケンの脚すら引きちぎる。

 ――――


 このモンスターの名前は初めて聞いたけど、これはエキドナとオルトロスの子らしい。

 蛇と犬でカニが生まれるって誰が予想できるよ?


 メーブが頑張って捕獲してくれたシザークラブを惜しみなく使ったモンスター。

 もちろんシザークラブは別に使うつもりだから、まだまだ残っているが。

 説明文には10メートルくらいと書いてあるが、うちのカルキノスは5メートルくらい。

 まぁそれでも明らかに土蜘蛛よりもデカいけど。

 それにしても……他のモンスターもそうだけど、大人の成長しきったモンスターって殆どいないよな。

 クラーケンの脚を引きちぎるって書いてあるくらいだから、海中探索には大いに役立ってくれそうである。


「とりあえず今合成できそうなのはこれくらい。残りは素材が足らなかったの」


 必要な素材のトカゲと蛇と獅子が圧倒的に足らないらしい。

 ……結構余ってたと思うんだけどなぁ。

 使いすぎたみたいだ。


「あとね。本当はパイアってイノシシのモンスターがいたんだけど……」

「……ついさっきワーボアになっちゃったな」


 唯一いたレッドボアはついさっき星1ワーボアになってしまった。

 もう少し待っていたら星4の輝かしい未来が待っていたかもしれないのに……本当に不遇である。


「あとねあとね。スキュラとケートスってモンスターもいてね。もしかしたらすぐに作れるようになるかも」


 その名前は以前も聞いたことがある。

 俺はケートスを知らなかったが、どうやらクジラの怪物のようだ。

 それこそ先日見かけたバシロケトゥスは名前も似ているから同種……進化前とか進化後なのだろう。

 スキュラは上半身が人で下半身がタコの脚みたいな魔族らしい。

 なんとも言えない見た目であるが……確かにタコのモンスターを捕まえれば完成は近そうだ。


 しかし……ここにきて素材不足か。

 確かに合成素材にするための合成も考えると、かなり枚数を消費したからなぁ。

 主にトカゲとか蛇とか鳥とか獅子とか。

 ……パイロドレイクは本当に枚数が必要だった。


 さてと。

 実はまだ残っているモンスターがいる。

 フォレストドラゴンとかバジリスクにユニコーンとかグリフォン。

 アルラウネやヴァンパイアのような魔族も残っている。

 それからナビ子のダブリンとつぐみん。


 もしまだ残っている素材で合成できるならしてやりたいところだが……。


「えっ? できそう?」

「ええ。幸い希望の相手は残っているようですから」


 なら問題ない。

 希望がある順番から合成していくことにした。


 ――――

 ディープフォレストドラゴン

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:竜、土の極意、深緑、闇喰、植物操作、自然の加護、強者のオーラ

 個別スキル:自然回復、無尽蔵、果実変換


 上級ドラゴン。

 光すら通さない森の奥深くに棲息しているドラゴン。

 光合成の代わりに闇を食べ成長する。

 体に植物が寄生しており、宿主の成長とともに実が実る。

 ――――


 ディープフォレストドラゴンか。

 見た目もフォレストドラゴンと変わらずステゴザウルス系の剣竜のまま。

 ただ背中に生えている植物がちょっと成長して実を宿している。

 シアのようなアンブロシアと違って、ちょっと禍々しい感じがする。

 ……食べない方がよさそうだ。

 今度ミランダばあさんにお土産として持っていってみようかな。


 それ以外は全体的にフォレストドラゴンの完全上位って感じか。

 深緑スキルがあるから植物魔法しか使えなくなっているのが弱体というか、より特化になったというか。

 アースドラゴンとは完全に別方向に行ったな。


 ――――

 バジリコック

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:石化の魔眼(強)、万能毒、万能ブレス、毒耐性

 個別スキル:火の覚醒、煙幕、闇の覚醒、飛翔


 トカゲ系上級モンスター。

 バジリスクとコカトリスの間の子。

 石化能力が強化され、猛毒ブレスが様々な状態異常を付与するブレスに強化された。

 近づくと非常に危険なモンスター。

 ――――


 まさかのバジリスクとコカトリスの合成である。

 一応トカゲ系ってことで、バジリスクの方がメインなのだが、見た目は完全にコカトリスにトカゲ部分が追加されたって感じ。

 もちろん尻尾は蛇である。

 元々バジリスクはコカトリスとファイアリザードの合成で作ったのだが……まさかもう一度コカトリスと合成して鶏要素に戻してくるとは。


 能力は両方が合わさったて強化された感じ。

 まぁ両方ともそっくりな能力だったけど。

 にしても……元々飛べなかったコカトリスがトカゲと合成して飛翔のスキルを得たってのもおかしな話だよな。


 ――――

 スクーグスロー

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:地の極意、自然の加護、魅了、光合成、毒のトゲ、祝福

 個別スキル:回復促進、植物操作、吸収、鞭術


 植物系中級モンスター。

 人型だが背中が植物の魔族。

 二本足で歩くため、移動がしやすくなった。

 困っている男性に祝福を授けたり、助けたりするが、その代償として相手の愛を求める。

 ――――


 アルラウネは下半身が植物で移動しづらそうだったが、二本足になったことで、普通の人と同じように行動できるようになっている。

 背中の植物は……前からは長い髪に隠れて見えないし、見えたとしても二本の枝が羽のように生えているだけ。

 正直、今まで色んなモンスターや魔族を見てきたから、それだけだと全然普通の女性と変わらない。

 ただ……アルラウネの頃は精を吸いつくすで、今回は愛を求める。

 ……より闇が深くなった気がする。

 少なくとも祝福は貰わないようにしたほうが良さそうだ。


 ――――

 エルダーヴァンパイア

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:不死、闇の覚醒、吸血、眷属化、眷属進化、霧化、擬態

 個別スキル:再生促進、マヒの魔眼、魅了、月光浴


 不死の魔族。弱点以外で死ぬことはない。

 第三世代のヴァンパイア。

 対象から吸血することで、眷属にすることができる。

 また眷属を第四世代のヴァンパイアまでに進化させることも可能。

 ――――


 ヴァンパイアの上位種。

 第三世代とか第四世代とかよく分からなかったから、エルダーヴァンパイアに詳しく話を聞いてみた。


 まず最上位種が始祖であるヴァンパイアロード。

 その始祖から生まれたのが二世代目のエンシェントヴァンパイア。

 そしてその下が第三世代のエルダーヴァンパイア。

 エルダーヴァンパイア以下が第四世代になる通常のヴァンパイア。

 そしてさらに下がレッサーヴァンパイア。

 最後にヴァンパイアではないが、死体を操って眷属となる屍鬼。


 ってことらしい。

 気になるのは第三世代のエルダーヴァンパイアが星4なこと。

 なら、どう考えても第二世代のエンシェントヴァンパイアが星5だろ。

 じゃあトップのヴァンパイアロードは? ……う~ん。気になる。


「ねぇシュート。一つだけ聞いていい?」

「ん? なんだ?」

「ヴァンパイアって男性型と女性型の二人いたわよね?」

「ああ、いたな」

「それで、素材の関係上、一人しか合成できなかったのよね?」

「うん、そうだな」

「それで……今回エルダーヴァンパイアにしたのはどっち?」

「見れば分かるだろ。……女性型だ」

「なんで?」

「…………」

「シュートさいてー」

「シュートさん。流石にそれは……」


 あっナビ子だけじゃなくアズリアまで引いてる。

 でもさ……俺だって男なんだもん。

 どっちかしか選べないってんなら……女性を優先させちゃうよね。

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