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第35話 今後の予定

 無事にスキルが習得できたようなので、続けて残りのスキルも習得した。

 どれもカードが俺の中に吸い込まれたのだが……別にそれだけで、何の変化も感じられない。


「統率と命中補正はパッシブスキルで、看破はアクティブスキル。看破は役に立つからレベル上げも踏まえて常時発動させておいた方がいいよ」


 パッシブスキルは自動発動で、アクティブスキルは手動発動。

 俺が今まで持っていた言語翻訳はパッシブで、カード化はアクティブ。

 一応パッシブスキルもONとOFFの切り替えも可能らしい。


「……どうやって発動させるんだ?」


 そもそも習得した感じすらないんだが。


「心の中で看破って念じれば発動するよ」


「カード化みたいに口に出す必要はないんだ?」


 パッシブはともかく、アクティブは声に出さないといけないと思ってた。


「実はカード化も口に出す必要はないんだよ」


「えっ!?」


 衝撃発言だ。


「別にモンスターだってスキルを使うときに声を発してないでしょ。スキルと声は関係ないよ」


「そう言えばそうだな。でもじゃあ何でカード化の説明のときに声に出せって言ったんだ?」


「カード化はやるべきことが複数あるから、しっかりイメージしないと別の効果が発揮しちゃったりするの。だけど口に出したらその効果を発揮するから、完全にイメージ出来るまでは口に出したほうがいいの」


 なるほど。

 口に出さなかった場合、モンスター変化(チェンジ)をしようとしてスキル変化(チェンジ)をしたりするってことか。

 それに今のセットと解放(リリース)もそうだ。

 心の中で間違えて念じたら自爆してしまう。


 ……とりあえず口に出したところで実害があるわけじゃないから、このままでいいけど……少しずつイメージだけで使えるように練習しようかな。


「あっそうだ!」


「どうしたの?」


「あの時の……ゴブリン戦で俺が解放(リリース)したトードとワーム、それからリザードだけど、何も命令してないのにちゃんと俺が思っていたとおりの行動をしたんだ。それって……」


「うん、それはシュートがしっかりとやって欲しいことをイメージして解放(リリース)したからだよ」


 そういうことだったのか。

 これからもあの時のように、命令しなくても従ってくれるようになれば……あっ、しかもこれって統率のスキルの恩恵も受けるんじゃね?

 イメージしながら解放(リリース)……それから声に出さなくてもスキルを使う。

 うん、時間があるときに練習してみよう。


 まぁ今回はカード化じゃなくて看破。

 イメージで変化があるわけじゃないので、口に出す必要はない。

 俺は心の中で看破と念じる。


「……何も変わらないが?」


 本当に発動したのか?

 やっぱり口に出したほうが良かったのかな?


「そりゃあ今ここに嘘はないからね」


 そっか。

 発動中だとしても、嘘がないと反応しないのか。


「じゃあナビ子。何でもいいからちょっと嘘をついてみてよ」


「無茶言わないでよ! そんなこと出来るわけないじゃない!」


 何故かナビ子にメッチャ怒られた。

 別にそんな悪いこと言ってないよな?


「シュートはロボット三原則って知ってる?」


 ……ロボット三原則って、人に危害を加えちゃいけないとかそんな感じのやつだよな。


「……もしかしてナビ子って嘘つけないの?」


 ナビ子はAIだから、ロボットと言えなくもない。


「そうだよ。多少誤魔化したり、話したくないことを拒否はできるけど、明確な嘘はつけないの」


 確かに話せないって言ったり、どうだろう? と、はぐらかすことはあるけど、嘘をつかれた覚えがない。


「嘘なんかついた日にゃ、その瞬間アタイはポンコツになっちゃうよ」


 ポンコツって……壊れるって意味なのか?

 そりゃあ嘘をつけって言われたら怒るわな。


 しかし……これでは確かめようがない。

 サイレントビーの隠密スキルは、カード使用者の俺には通じないし……


「まっ、効果は下山して街に入ったら実感できるかもね」


 下山か。

 アンブロシアも手に入れたし、ホブゴブリンのお陰でゴブリンの全滅の目途も付いた。


 ――そろそろ本気で山を下りることを考えてもいいな。


 よしっ! 決めたっ!

 山を下りよう!


 そうと決まれば……俺は外に出てカードモンスターを全員召喚する。

 命令のイメージは出来ないけど、解放(リリース)だけなら何枚同時でも可能にはなっている。

 外には100以上のカードモンスターたちが現れる。

 ……まぁ半分以上はキラービーなんだけど。


「どうしたの? いきなり全員召喚して?」

「きゅい?」


 俺の行動にナビ子と召喚されたラビットAが疑問に思う。


「うん、ちょっと思いついたことがあってね。皆には、それぞれやってもらいたいことがあるんだ」


 そう言って俺はホブゴブリン2体とキラーホーネット、サイレントビーとポイズンスパイダーを呼ぶ。


「いいか、お前らの役目はゴブリンの巣の制圧だ。ホブAとホブBは昨日まで仲間だった連中を襲うことになるが……大丈夫か?」


 俺はホブゴブリンの2体に確認する。

 昨日まで同じ場所に住んでいた仲間を攻撃させるんだから、俺って酷いやつだよな。


「ゴブ!」


 だがそんな命令でも2体のホブゴブリンは従ってくれる。

 ホブAが元気に返事をし、ホブBは無言で頷く。

 ホブBも別に嫌がっている様子はないが……単純にAの方が元気なだけのようだ。


 それにしても……ゴブリン語が使えなくても、十分意思疎通ができそうだ。

 俺は元気なホブAをゴブリンの巣制圧隊のリーダーに任命する。


「ホーネット、サイレン、ズンクモはホブAの指示に従って行動すること。だけど、ホブAの命令が間違っていると思ったら、それは従わずホブAに伝えること。お互いにちゃんと話し合って行動してくれ」


 言葉も話せない、種族も違う者同士が話し合いを出来るかわからない。

 でもキラーホーネット達は、肯定の意味で右へと移動する。

 どうやらカードモンスター同士で意思疎通は出来るようだ。

 これなら少数でもゴブリンの巣の制圧を任せることができる。


「ねぇシュート。本当にそれだけ人数でいいの? もっと……全軍で行った方がいいんじゃない? 全軍じゃなくても……せめてラビットAだけでも連れて行った方が……」

「きゅむ!」


 ナビ子の言葉にその通りだと頷くラビットA。

 ゴブリン討伐隊に選ばれなかったことを怒っているようだ。


「まぁまぁ。他の連中には別にやってもらいたいことがあるんだ」


「やってもらいたいこと?」

「きゅい?」


 ナビ子とラビットAが仲良く首をかしげる。

 どうでもいいけど、さっきから息ピッタリだな。


「他の者はホブ達がゴブリンと戦っている間に、擬態や隠匿系スキルを持っていそうなモンスターを狩って欲しいんだ」


 今俺が最優先で欲しいのが、カード化のスキルを隠すスキルだ。

 そしてラビットAは嗅覚のスキル持ちだから、見つかる可能性が高いと思っている。


「それから、まだ見ぬモンスターや素材も集められるだけ集めてくれ。……もうこの山でやることがないって思うくらいにな」


「えっ!? それって……」


「ホブ達がゴブリンを全滅させて、隠匿系スキルが手に入ったら……山を下りるつもりだ」


 そして本当の冒険を始めよう。


「そう……いよいよ外の世界に行くのね。シュートったら全然そんな素振りを見せないから、ずっとこの山で過ごすのかと思っちゃったよ」


「いやいや、ちゃんと最初から冒険には出る気だったって。ただ……まぁ……ちょっと消極的だったのは否定しないけど」


 ゴブリンとか、自分の体の弱さとか……色々と折れかかった部分はあるけど、それでもその程度で図鑑コンプの野望を諦めるわけはない。

 ただ……ちゃんと準備万端にしてからじゃないと山は下りないけどね。


「だから……まだ進化してないものは……下山する前に合成相手を見つけないと、ずっとそのままかもしれないぞ?」


 その言葉に敏感に反応したのがスモッグリザードやアーストード達。

 ゴブリン戦では彼らにも活躍したが、今後も活躍するには合成して進化してもらわなければならない。

 同族か……せめて似た種族がいればいいんだが。


「ラビットAだって、山を下りたらもう野生のホーンラビットがいないかもしれないぞ?」

「きゅぴぃ!?」


 実際はどうか分からないけど……でも、ホーンラビットのように弱いモンスターって冒険者や人間がいる場所に近づかないような気がする。


「ラビットAにはゴブリン退治よりも、スキル持ちモンスターを探してもらいたいのと、ホーンラビットの育成や追加をしてもらいたいんだ。頼めるか?」

「きゅきゅい!」


 任せろと敬礼のポーズ。

 うん、かわいい。


 ゴブリンも倒したし、今のホーンラビットだけでもアルミラージは作れるだろう。

 だけどその先を考えたら……今の数じゃ間に合わない。


「いいか。今から1週間の時間をやる。それまでに、各自思い残したことのないように行動すること」


 一応俺の中では1週間……遅くても10日後までには下山したいと考えていた。

 休みたければカードに戻すが、基本的にはこの1週間は俺からカードに戻す気はなかった。


「きゅきゅー!!」


 ラビットAの掛け声と共に、ホーンラビットやツインホーンラビットだけでなく、カードモンスター達が全員森の中へ入っていく。

 本当にラビットAはリーダーなんだな。

 そして残ったのは俺とナビ子だけ。


「それで? シュートは今から1週間何するの?」


 ナビ子は俺がラビットA達に全部丸投げして、森に入らないのを責めているわけではなさそうだ。


「俺は変わらず筋トレと銃の訓練かな。それから送られてきた素材の解体と合成、毎日大量の素材や死体をカードにしないといけないだろうからな」


 日課の筋トレと銃の訓練は欠かさない。

 それに命中補正のスキルの効果を確かめないと。


 日課以外では皆が次々と獲物を狩ってくるだろうから。それの解体作業に忙しくなるはずだ。

 そこからモンスターやスキルが増えていけば、さらに素材集めが捗る。


 それに現時点でもキラービーやスモールスパイダーは魔石の状態でかなり残っている。

 これもスキルやモンスターにしないと。


 あっもしホブゴブリンが量産出来たら、ホブゴブリンと戦闘訓練をするのもいいかもしれない。

 森に入らなくてもやることはたくさんあった。


 そのことをナビ子に説明すると、ナビ子は少し考える仕草をした。


「ってことは、1週間はこの家からは出ないってことよね?」


「少なくとも森に入ることはないと思う」


 まぁ、どうしても外でカード化のスキルを使わないといけない場合は、森に入るかもしれないが。


「そっか。じゃあアタイ……お願いがあるんだけど」


「お願い?」


 ナビ子がお願いなんて珍しいな。


「うん。あのね……明日から数日お休みもらっていい?」

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