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第9話 冒険メンバー

 アズリアの同行をアザレアに許可してもらう。

 ……そんなこと可能なのか?


「ちなみに……他に行きたい人は?」


 とりあえず他の参加者を確認する。

 アズリア以外も参加するなら説得しやすいしね。


「私は牧場とアゼリアちゃんの世話があるので」

「ん。面倒くさい」


 まぁこの二人はそうだろうな。


「ガロンは?」

「ガロンさんは私の代わりに商会を見てもらわないとなりませんから」


 ……ガロンの意思は関係ありませんか。そうですか。

 というか、いつの間にかガロンはファーレン商会の幹部レベルになってたのな。


「……どうせ海竜石も手に入らんらしいし、行きたくもないがな」


 海竜石が手に入らないと言ったからすっかり拗ねて。

 でも仮に海竜石が手に入るようだったら一緒に行ったかな?

 ……いや、変わらずお留守番だっただろうなぁ。憐れガロン。


「結局アズリアだけか」


 う~ん。

 アズリアが行くなら自分も行くとか言い出しそうだが、アズリアと違いアザレアは長期間休めないだろうしなぁ。

 どうやって説得するか。



 ……そう思っていたのだが。


「別に構いませんよ」

「「えっいいの!?」」


 夕食時にそれとなく切り出したのだが、予想に反してアザレアはアッサリとアズリアの動向を許可したのだった。


「……何故みなで驚くのです?」


 驚いたのは俺だけでなく全員。

 そりゃ、まぁ……ねぇ。

 絶対に駄目って言うと思ったし。

 口には出さなかったが全員がそう思っただろう。

 ただ驚きすぎたためか、思ったことを口に出したのが二人。


「えええっ!? だってシュートとアズリアの二人旅なんだよ!? 本当にいいの!?」

「姉さん!? 本当に姉さんなのですか!? はっまさか私を亡き者にして成り代わろうと……辞めてください! どうせ胸でバレますよ!」

「お、おい、二人とも落ち着け」


 特にアズリア。実の姉に向かってとんでもないことを口走っているぞ。

 というかナビ子も。二人旅じゃなくて、お前も一緒だろう!


「アズ……貴女ねぇ。……まぁいいです。貴女もたまには羽を伸ばしてきなさい」


 怒ら……ない、だと!?

 しかもポーカーフェイスのデメリットも発動していない!?

 こいつまさか本当に偽物か!?


「うそ……アザレアが胸のことを弄って怒らないなんて……」

「はっまさか姉さんの偽物!? シュートさん、早く看破を!?」

「そう思って確認したが……信じられないことに、こいつはアザレア本人で間違いない」


 もしくは看破スキルより高いスキルを持っているかだ。

 はっフェイクスキル!?


「貴女たち……いい加減にしないと、冒険自体を許可しませんよ」

「「「はい。すいませんでした」」」


 流石にイラッとしたようでアザレアが怒る

 う~ん。ちょっと遊び過ぎたか。

 でもさ、絶対にアザレアもおかしいよな?


「ところでシュートさん」

「はっはい。何でしょう?」


 アザレアに名前を呼ばれて思わず身構えてしまう。


「アズが不在になるということは……不在の間、この家の管理はわたくしが行う必要があります」

「……だから?」

「そうなると! 円滑に過ごせるように! わたくしにもカード化スキルを貸与する必要があると! そう思われませんか!?」


 アザレアが鼻息荒く、食い気味に俺に詰め寄る。


「近い!? 近いから!?」

「あっ申し訳ありません」


 アザレアが慌てて離れる。


「……いつものアザレアね」

「……いつもの姉さんでした」


 何てことはない。

 アザレアはカード化スキルが欲しかっただけか。


「……シュートさん。姉さんってシュートさんが、好きなんじゃなく、カード化スキルが好きな気がしてきました」

「……アタイもそう思う」


 ……俺もそんな気がしてきた。


「失礼ですね。振られはしましたが、今でもシュートさんのことは好きですよ」


 ……俺はどんな顔をすればいいんだろうな。

 おいこら、ナビ子。ニヤニヤするんじゃない。


「ですので……シュートさんにだけ話があります。ちょっとこちらにいらしてください」


 えっ? 俺だけ?

 何だか怖いんだけど……。


「なんだろなんだろ。『わたくしというものがありながら、他の女と遊びに言っていいと思ってるのかしら』とかかな?」

「いえいえ『わたくしの大事な妹に手を出すとどうなるか分かってますよね?』的な警告かもしれませんよ」


 お前ら……当事者じゃなくなった途端他人事みたいになりやがって。

 でも……ありそうで困るんだけど。


「ではシュートさん。こちらへ」

「「いってらっしゃーい」」


 ナビ子とアズリアに笑顔で見送られながら、俺はアザレアに外のテラスへと連れ出された。



 ****


 テラスのガーデンチェアに座って庭園を眺める俺とアザレア。

 夜の庭園をピクシーやルナバタフライが飛び交う景色は幻想的だと思う。

 アザレアは黙ってその景色を眺めているが……俺にその景色を楽しむ余裕はない。


 ……俺から何か話すべきなのだろうか。

 それともアザレアが話すのを待つべきなのか。

 そもそも怒られるのかそうでないのかすら分からない。

 ナビ子が聞いたらヘタレとか言いそうだけど……どうすればいいんだ?


「シュートさん。ありがとうございます」

「へっ? いや……別に……」


 あれ? いったい何の感謝なんだ?


「ふふっ何でお礼を言われたか分からないって顔してますよ」

「うっ……すまん」


 誤魔化しても仕方がないので素直に謝る。


「アズの同行を許可してくれたことをです」

「いや、それはその方が俺も助かるし……」


 まさか怒るんじゃなくて感謝されるとは思わなかった。


「わたくしのせいでアズは長いことライラネートに留まらなくてはなりませんでしたから」


 アザレアは妹二人を養うために、二人から離れて働き始めた過去がある。

 その後、アズリアが日本の知識を使って商会を立ち上げ、自力で稼げるようになったが、なんだかんだ家に戻ることはせず。

 結果、アゼリアの世話を任せきりにしたという負い目があった。

 正直アズリアは全然気にしていないのだが……というか、むしろ早く姉を自由にしてあげたいと思っていたくらいだし。


 互いが互いを思いやっての行動なんだけど……まぁそう言ってもアザレアは聞かないんだろうな。

 そう考えると、さっきのカード化スキルの話はアズリアへの気持ちを隠す照れ隠しだったのかもしれない。


「ですがシュートさん。アズには絶対に手を出さないでくださいね」

「おっおう。分かってるって」


 やっぱりそれは釘を刺すのね。


「それと……いつか、わたくしも一緒に冒険に連れて行ってくださいまし」


 ニコッと笑ったアザレアの笑顔に……俺は返事も忘れて、ただただアザレアを見つめてしまった。

ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。

第二部が開始になって早一週間。

一年前から待っていた方や新規の方もいてくださり……

正直、思った以上に読まれていて驚いています。


そんな状況で申し訳ないのですが、

これからの更新速度は月水金の週3日投稿となります。

これから冒険に出発……というところで更新速度を遅くするのは

大変申し訳なく思うのですが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久々に読み直したら更新されていた、、だと、、 今後のコレクションがまた楽しみです。 [一言] 無理しない程度の更新で大丈夫ですよー
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