第1話 コレクターのこだわり
お久しぶりです。
今回から第二部が始まります。
第二部ということもあり、話数は1話からとさせていただきます。
ただ今回は特別編みたいな感じで本編としては次回からになりますが。
これの投稿前にあらすじと人物紹介も投稿しています。
新規情報はありませんが、必要がありましたらそちらもお読みください。
コレクターが一番楽しい瞬間を知っているか?
新しいコレクションを手にいれた時?
確かに持っていないコレクションを手にいれた時は嬉しいだろう。
それが限定ものやレアなものなら嬉しさも倍増だ。
苦労した分、手に入れたときの感動たるや。
仕事終わりに飲む最初の一杯よりも染み渡るものがある。
が、それがコレクターの一番の喜びかと言われると……人にもよるとは思うが、少なくとも俺は違うと思う。
自分のコレクションを第三者に見せて自慢する時?
なるほどなるほど。
確かに自分のコレクションを他人に見せびらかすのは優越感この上ない。
特にその相手がコレクションの価値をわかる相手なら尚更だ。
苦労した自慢話で相手を悔しがらせるのもよし。
同じ苦労がわかると同士になるのもよし。
是非とも酒を飲みながら語り合いたいものだ。
だが……やっぱりそれも一番じゃないとは思わないか?
自慢するんじゃないなら、自分で鑑賞して楽しむ?
うん。それは王道だな。
今まで集めたコレクションを肴に酒を呑む。
格別だとは思わないか?
ただそれは一番の楽しみが終わってからの楽しみだと個人的には思う。
じゃあ一番の楽しみ方は?
ここまでくれば分かるよな。
集めたコレクションをどのように設置すれば、どのように並べれば最も美しく鑑賞できるか。
それを考える時間が一番楽しい瞬間だと俺は思う。
えっ? 手に入れたときでも鑑賞するときでもなく考えるときが一番なのはおかしくないか?
ふふん。そう思うだろ?
ところがだ。やってみれば分かるが、本当に面白いんだ。
そこでだ。
少し話は変わるが、俺は以前、本を集めていたことがある。
ん? 本は集めるものじゃなくて読むものだろうって?
なるほどなるほど。
確かにそういう意見もあるかもしれない。
実際に作者も読んでもらうために書いているんだから、それが正しい本のあり方なのだろう。
それに関しては俺も否定しないが、そういった議論は長くなるから今回は横に置いておく。
今回は本をコレクションと捉える考え方の話だ。
まず本のコレクターと一括りに言っても、その内容は多岐にわたる。
例えば初版だけを集める初版コレクター。
すでに絶版になった本の初版を狙っている場合、ネットオークションや古本屋巡りと中々の難易度を誇る。
ただその分、初版本を手に入れた時の喜びもひとしおだろう。
そういった意味では手に入れたときが一番楽しいタイプのコレクターなのかもしれない。
同じ本を増刷される度に買い続ける単一本コレクター。
もちろん同じ本なのだから増刷されたところで見た目も内容も変化はない。
せいぜい帯に変化があるくらいか。
それも大事な変化ではあるのだが、それ以上に大事なのは奥付の刷り数。
外からの見た目は変わらないが、順番通りに並べた時の満足感たるや。
初版本コレクター以上に認知されないが、その一冊にかける情熱は負けていない。
ちなみに見た目は同じなので、へそくりやパスワードや証拠品を隠すのに向いていたりする。
それからこれは一般的かな? 希少本コレクター。
受注生産限定の本や、非売品の本を中心に集めるコレクターだ。
当然ながらコレクターとして集めるのであって、転売ヤーとは違うからな。
むしろ転売ヤーはコレクターの敵。
他にも雑誌を創刊号から買い続ける雑誌コレクターなど。
ん? 俺は何の本コレクターだったかって?
俺はまぁ雑多に。
自分の好きな漫画や小説を買っていたな。
……それは本当にコレクターなのかだって?
うん。確かにそう言いたくなるのはわかる。
自分の好きな漫画を買っていただけだもんな。
しかし、それが1万冊以上になればどうだ?
しかもその半分が買っただけで読んでいないんだぞ。
十分にコレクターと言えるんじゃないか?
えっ? ちゃんと読めって?
それは……すまないと思っている。
ただ、それだけ買っていると、中々読む時間がなくてな。
じゃあ買うなと?
ふふっ甘いな。
読んでいなくとも、続巻が出たら買う。
続巻でなくとも、買っている作者の新刊ならば買う。
それがコレクターってもんよ。
……結局読んでいないならドヤ顔すんなって?
はい、すいません。
で、そのなんちゃってコレクターがどうしたと?
なんちゃってとか言うな!?
……まぁいい。
要するにだ。
漫画って掲載誌とかサイズとか色々あるだろ。
えっ? 知らない?
あるんだよ! そういうもんだと思ってくれ。
でだ。買った本を本棚に片付けるだろ。
その時にどうやって片付けるか。
ちなみに書店では出版社のジャンル毎に五十音順に並んでいることが多い。
ならそれにすればいいって?
いやぁいくら俺がコレクターでも、流石に書店並みの量は持ってない……というか、資金と場所がね。
いや、今の稼ぎならそのくらいいけるかも!?
って、こっちには漫画なんてないんですけどね。
とまぁ1万冊はあれども、書店には全然及ばないわけで。
せいぜい掲載誌ごとにまとめるか。
作者別・シリーズ別にまとめるか。
それかジャンル別に並べるか。
あっジャンル別ってのはスポーツやバトル、ラブコメや四コマとかそういう意味ですよ。
とまぁその中からどういう並びで本棚に並べるか。
掲載誌で並べようとすると、あっこの作品、途中で雑誌が変わってるとか。
この作品、原作付きで、コミカライズは掲載誌も出版社も全然違うとか。
同じ掲載誌なのに、何で新書サイズとB6サイズの作品があるんだよとか。
そもそも何で同じ新書サイズなのに、出版社で微妙に高さが違うのか。
数ミリ単位でも並べると違和感があるんだよ!!
そんな風に色々と言いたいことはありますが。
ああでもない、こうでもないと、色々考えながら、自分の納得のいく並びを考える。
ただそれだけのことなんだが、その時間がコレクターにとって何よりも得がたい貴重な時間。
コレクターの醍醐味な訳ですよ。
下手したら数日はかかってしまうんだが、満足いく並べ終わった本棚を見ながら一杯。
くぅ~。最高だと思わないか?
はぁ? 時間がもったいない?
そんな無駄な時間を使うくらいなら、読んでない本を読んだ方が有意義?
ちっちっちっ。
この崇高な時間が分からんとは……まぁ趣味は人それぞれだし。
とりあえずはこういった時間の使い方は決して無駄じゃないんだということを知ってもらえればと。
えっ? いい加減本題に戻れって?
……仕方ないなぁ。
いえ、なんでもありません。本題ですね。
とは言っても、既に殆ど説明したのですが……。
まぁ本を今の趣味に変えて考えていただければと。
ほら、カードってさ。
ある意味本みたいなものじゃない。
ジャンルがあって内容があって。
そして、本棚の代わりにカード図鑑――バインダーがあってさ。
そうなると……バインダーの中身を入れ換えて素晴らしいものにしたくなるじゃない。
えっ? ソート機能がある?
そう。確かにバインダーにはソート機能が備わっている。
がしかし、そのソート機能は五十音、入手順、種別の三種類だけ。
あっいえ、決して三種類しかないとかディスってるわけではないです。
実際にソート機能は大活躍をしておりますゆえ。
だがしかし、もう少しあってもいいのではないだろうか?
例えばモンスター図鑑。
ウサギやゴブリンなどの種族別にはできる。
だがしかし、能力別にはなっていない。
そうだな……敵に火属性がいたとしよう。
弱点は当然水属性だよな。
なら! 水属性のモンスター別にソートできる機能があってもいいではないか!
えっ? 復属性持ちや属性でなくても魔法を使えるモンスターはどうするのかって?
まぁそういったソート機能は難しいのは当然のこと。
俺だってそんな無茶は言わないさ。
だからこそ! 手動で! 自分で振り分けするんじゃないか!
自分で使いやすいようにカスタマイズすることは悪いことじゃないだろ?
えっ? うだうだ言ってるけど要するに趣味に没頭していただけだろうって?
何をいう。
趣味と実益をかね揃えてるんだから、いい話じゃないか。
つまり? 何が言いたいかって?
そうだな……
「ごめんなさい! 仕事をサボって一週間。ずっとカードを並べ替えながらニヤニヤしてました!」
ってことかな。




