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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第7章 カードマスター
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第306話 スキル選定

 エイジが偵察機を操作する。

 どうでもいいけど、妖精型偵察機だから、エイジが触っているのを見ると、変態にしか見えない。


「さっ、じゃあ目の前の男のスキルを全部奪ってくれ」


 エイジの命令に、妖精型偵察機の目が光って……あれっ、それで終わり?

 いや、そういえば、スキル焼失事件では、光を浴びたらスキルを失ったとあった。

 なるほど。今の光が黒い煙と同じ効果だったのか。

 ……黒い煙よりも、光の方が厄介だったな。


「よし、ちゃんとスキルを奪ったみたいだぞ」


 エイジが妖精型偵察機の服を脱がせて確認する。

 ……いや、服を脱がないと操作できないのは分かるけどやはり……ねぇ。

 ここにサテラがいたら何を思うんだろうなぁ。


 俺も念のため運営男をスキルを確認してみる。

 ……うん、確かにもうこの男はスキルを持っていない。


 男は猿ぐつわをしているので、話すことは出すことができないが、怒りの形相でずっと唸っている。

 どうせスキルを返せとか、絶対に許さんとか、殺してやるとか。

 そんなことを言い続けているに違いない。


 もう状態異常も効くはずだから、俺はストーンプリズンを解いて、変わりにスリープで眠らせた。


「その男は俺が預かるよ」


 眠っている運営男をエイジが担ぐ。


「せっかくだから、情報を聞き出さないとな」


 エイジが邪悪な笑みを浮かべながら言う。

 もう魔族姿が板につきすぎだ。


「それ、僕も参加していいかな」


 日本に戻るタクミは、自分が日本でどうなっているか、ちゃんと元に戻ることができるのか知りたいらしい。


「その間にシュートは偵察機の解析と、道を消す方法を考えてくれ」


 そういえば、運営男のせいで途中だったけど、元々そういう話だったよな。


「俺は手に入れたスキルはいらないから、シュートが好きに使ってくれ」


 自由にって言われてもなぁ。

 とりあえず、まずは取られたスキルを返してもらう。

 ここにいるのは全員が日本人だから大丈夫だけど、言語翻訳がないと、アザレア達の言葉が分からないもんな。


 そして、残りはカードにでもして、合成の役に立ってもらおう。

 と、そこでとあることに気づく。


 ……どうやってスキルをカードにするんだ?

 スキルカードは基本的に魔石を分解して回収する。

 しかし、偵察機はモンスターじゃないから魔石はない。

 偵察機を分解すれば、手に入る?

 しかし、分解した後に偵察機は元に戻るのか?


 う~ん。ナビ子に相談しようかな。



 ****


「方法は二つだね。ひとつはシュートの言ったように、分解すること。もうひとつは、ちょっと面倒だけど、野生のモンスターにスキルを覚えさせた後で、魔石を分解すること」


 ナビ子があっさり答える。

 なるほど。一回モンスターに覚えさせてから回収すると。

 ……めちゃくちゃ面倒だな。

 それに、なんか実験動物扱いで気が引ける。

 いや、結局殺して魔石を回収するから、やっていることは変わらないんだが……心情的にはね。


「仕方がない。分解するか」


 まぁどのみち作戦には使えなかったんだし、最悪元に戻らなくても……ちょっと勿体ないけどね。


「ん。じゃあ先に解析」


 そう言うことで、アゼリアが満足するまで解析を行ってもらう。


「じゃあ解析が終わるまでシュートは何すんの? エイジと一緒に尋問?」


 まぁ確かに運営男の話も気になるけど、それはエイジとタクミに任せよう。


「俺はほら、カードマスターの新しい能力を試してみようかなと」


 レベル3で足踏みしていたカードマスターのスキルだが、地道にスキル共有を使い続けていたお陰で、無事にレベル4に上がることができていた。


 ――――

 レベル4:仮想合成


 図鑑に登録済みのカードの合成結果を得ることができる。

 合成結果は図鑑登録されない。

 ――――


 要は合成する前に合成結果が分かるってことだ。

 しかも、登録済みってことで、現時点で持ってないカードや、ハイアナライズで登録しただけでも仮想合成が可能。

 そのため、偵察機の中にあるスキルも合成結果だけは確かめることができると。

 そういうわけだ。


「あっ、そっか。ちょうどいい能力だもんね」


「うん。だから、今回のスキルを組み合わせれば、それらしいスキルができるんじゃないかなと」


 特にひとつしかないスキルイーターを何度も試せるのはありがたい。

 ただ……何が合成できるか分からないドキドキ感がなくなるのは寂しいから、普段の合成ではあまり使わないかなぁ。


「とりあえず色々と試してみよう」


 そんな風に軽い気持ちで始めたんだが……ある程度、方向性は見えているとはいえ、存在するかわからないスキルを探すのは想像以上に大変な作業だった。


 仮想合成で分かるのは結果の名前のみ。

 その効果までは分からない。

 本当にこのスキルでいいのか?

 違うスキルも探した方がいいんじゃないのか?


 何度も何度も試行錯誤を繰り返して……それこそ1日や2日じゃすまなくて。


 途中でカードマスターのレベルが5になってその能力を確かめようとして、ナビ子に咎められたり。


 いつの間にかエイジ達の尋問や偵察機の解析も終わって、俺待ちになって、それがプレッシャーになったり。


 暇になったエイジやアザレア達にも相談し……10日かけて、最終候補まで選別した。


「俺はスキルイレイザーがいいと思う」

「僕はスキルブレイカーの方かなぁ?」

「この万物流転って、どういう効果なんでしょう?」

「わたくしは神の左手というスキルが気になります」

「姉さん。そっちよりは悪魔の右手の方じゃありません?」

「ん。全能眼のスキルが欲しい」

「きゅい! 兎の隠れ家!!」


 まったく……全員好き勝手言い過ぎだろ。


 まぁこの中で妥当なのは、エイジの言ったスキルイレイザーか、タクミの言ったスキルブレイカーのどちらかだろう。

 万物流転と、神の左手、それから悪魔の右手の3つは非常に気になるが、流石に今回の趣旨とは違うと思う。

 残りは……自分が欲しいスキルを言っているだけだから知らん。

 というか、兎の隠れ家ってなんなんだよ!?

 いや、実際に表示されたんだから、存在するスキルなのは確かなんだが……。


 とりあえず素材の在庫の関係上、作れるのはひとつだけ。


「……実際にスキルを使うのはタクミだから、タクミの意見を採用しよう」


 俺はそういってスキルブレイカーのスキルカードを完成させた。


 ――――

 スキルブレイカー

 レア度:☆☆☆☆☆

 レベル:1


 妨害系最上級スキル。

 発動中のスキルに触れることで、その効果を破壊する。

 レベルが上がれば触れずとも発動が可能となる。

 ――――


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― 新着の感想 ―
[良い点] スキル自体を破壊じゃなくて効果を破壊か、夢が広がりますね〜
[一言] とある不幸な男子高校生が脳裏に……右腕限定ですけど。
[良い点] ちょwHUNTER×HUNTERのギャラリーフェイクww
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