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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第6章 プレーヤー決戦
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第269話 やっぱり決闘

「他のプレーヤーと殺し合いなんて絶対に嫌だし、関り合いたくもないけど、僕だってずっとここに居たいわけじゃないんだ」


 やっぱり好きで引きこもっているわけじゃないよな。

 その格好だから仕方なくなわけで。

 じゃなければ、とっくに山を下りていたはずだ。

 だから、今回のようなきっかけが欲しかったんだろう。


「分かった。じゃあしばらく一緒に行動だな」


 そういって俺はタクミに握手を求める。

 タクミは俺の差し出した手に快く応じる。


「迷惑かけるかもしれないけど、よろしく」


 多分迷惑かけるのはタクミじゃなくて、アイビーなんだよなぁ。


「よし、じゃあ話もまとまったし、ナビ子とアイビーに合流しようか」


 そろそろしびれを切らしている頃だろう。

 それに一刻も早くナビ子にカードのことを伝えたい。



 ****


「バルガス! 遅い!」


 俺とタクミが外に出ると、アイビーの叫びが聞こえた。


「バルガス?」


「うん。何回言ってもアイビーは僕のことをゲーム名のバルガスって呼ぶんだ」


 はぁとため息をつくタクミ。

 そういえば、俺も本名を名乗ろうとして、ナビ子にシュートの方ねって言われたんだった。

 別にそれでいいと思ったから、そのままシュートだけど……もし本名の方がいいって言ったら、ナビ子はどうしたんだろ?

 まぁ今さらだな。


「シュート。話は終わったの?」


「ああ。これから一緒に行動することになった」


「やっぱり一緒に行くことになったんだ。それで決闘の方は?」


「あっ……」


 決闘のことはすっかり忘れてた。


「そういえば決闘がどうとか言ってたけど……」


 どうやらタクミも忘れていたようだ。


「なに? 忘れた振りして逃げようっての?」


「誰が逃げるかっての。よしタクミ、今から決闘するぞ」

「えええっ!? ちょっと待ってよ!」


 突然のことにタクミが慌てる。

 仕方がないから、簡単に敬意を説明した。


「――ってことで、土下座をかけた決闘をすることになったんだ」


「あああ……アイビーがごめんなさい!」


 俺の話を聞いたタクミが、土下座で謝罪する。

 いや、タクミに土下座されても困るんだが。


「ちょっと何で決闘前から土下座してるのよ!」


「だってどう考えたってアイビーが悪いじゃないか。いいかい、シュートさんは僕達のために、わざわざここまで来てくれたんだよ。だから迎えに行ったんじゃないか。なのに何で決闘になるんだよ」


「やってきたナビ子とソイツが生意気だったからでしょ」


 いや、どう考えても生意気なのはお前だ。


「大体ね。それを言うならバルガスが迎えに行けばいい話じゃない」


「だから僕がいきなり現れたら絶対に驚くから無理だって何度も言ったじゃないか」


 なるほど。

 それで、アイビーだけが迎えに来たのか。


「逆効果だったな」


 俺がそう言うと、タクミがまた謝罪する、


「本当にごめんなさい! あの……それで、本当に決闘を?」


 まぁ、タクミの性格を知った今、無理に決闘をしなくても……ふむ。


「いや、決闘はする」


「ううう……アイビーはそこまでシュートさんを怒らせてしまったのか」


 まぁ確かにアイビーにはかなり怒っているが、そうじゃない。


「勘違いするな。決闘と言っても、互いの実力を知るための模擬戦みたいなものだ。タクミだって俺達の実力は気になるだろ?」


 これから一緒に行動するんだから、お互いにある程度の実力は知っておいた方がいい。

 ついでにアイビーに土下座をさせて鼻っ柱を折ってやりたい。


「実力を測るためにタクミには本気を出してもらうが、こっちは手加減するし、怪我をさせないように注意するから」


 俺の言葉でタクミの表情が和らぐ。


「それならまぁ」

「なに言ってるのよ! 滅茶苦茶舐められてるじゃない!」


 安堵するタクミとは違い、アイビーが怒る。

 確かに俺の発言は、かなり上からだ。

 でも……タクミの全力は分からないが、それでも正直なところ負ける気がしない。


「決闘じゃなくて模擬戦? どうせ手加減するのは、負けたときの言い訳にして、土下座を回避しようって算段に違いないわ! まったく卑怯なことこの上ないわ」


 何でそんなに考え方がひねくれているのか。


「いや、そうじゃなくて、シュートさんは本当に強いだけかと」


 このタクミのツッコミにはガン無視のアイビー。

 やはりここはガツンと言ってやらんと。


「いいだろう。どんな条件であれ、こっちが負けたら土下座しようじゃないか」


「ふふん。言ったわね。絶対に土下座させてあげるんだから! それで、手加減って具体的にはどうするの?」


 あんなに息巻いておいて、手加減はちゃんと要求するのな。

 う~ん。どうしよう。


「分かった。じゃあ手加減なしで俺が全力で戦う、もしくは俺が一人で戦う、最後にここにいるラビットAが一人で戦う。この三択から選べ」


 相手に選んでもらえば向こうも言い逃れはできまい。

 プライドなら全力、勝ちにいくなら残りの二択。

 そんなところかな。


「最初と二番目の違いって何さ。どっちもアンタが戦うなら、手加減したか分からないじゃん」


「俺のスキルはカード化なのは知っているだろ。全力だとモンスターカードも使うことになる。要するに俺以外のモンスターもいるってことだな。一人でってことになれば、モンスターカードは封印して、それ以外のカードで戦う。あと、ラビットAの場合は俺は一切手出ししなくて、ラビットAに全て任せる」

「きゅい!」


 さて、この選択肢を提示してアイビーはどうでるか。


「僕としては模擬戦でも、小さな女の子とは戦いたくな」

「いいからアンタは黙ってなさい!」


 タクミの言葉をアイビーが遮る。

 ……戦うのはタクミだよな?


「どう考えても、あのガキンチョが一番弱いに決まっている。けど、このヘタレの性格を考えたら……」


 アイビーがめっちゃ悩んでいる。

 そんなに悩むことなのか?

 まぁマジで勝ちにきているんだろうな。


「きゅきんちょ……」


 一方、ラビットAはガキンチョ呼ばわりされてショックを受けている。

 言葉が元に戻っているぞ。


 う~ん、この選択肢では俺が一人で戦うが一番弱い選択肢かな。

 まぁそれでもタクミには負けないと思うけど。


 時間が掛かりそうなので、模擬戦は1時間後にして、その間はお互いの作戦会議にすることにした。


 さて、俺はさっきの能力を調べようかな。

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