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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第6章 プレーヤー決戦
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第261話 お姫様の能力

 スキル増し増しのラビットAを合成したら、とんでもないものが生まれた。


「と、とりあえずラビットAを呼び出すか」

「そ、そうだね」


 何はともあれ、本人を呼び出してみないと。


「きゅっぴぴ~ん! きゅぴ!」


 先ほど同様、ポージングしながらラビットAが飛び出す。

 あれっ? 全然変わって……いや、少しだけ成長しているな。

 身長が少しだけ伸びて、体つきも少し変わったかな?

 まぁ元が10才くらいだったのが、12才くらいになったイメージだ。

 正直ほとんど変わらない。


 ラビットAは自分の体を隅々まで観察し……崩れ落ちた。


「きゅうう。思ってたのと違う」


 まぁ目標にしていたボンキュッボンにはほど遠いからなぁ。

 やっぱりスキルだけじゃ、十分に成長しなかったか。

 いや、今回は説明文に子供って書かれていないから、もしかしてハーフリングみたいに魔兎族全体がこんな種族なのか?


「まぁまぁ。少しは成長したんだし、いいじゃない。それよりもラビットAはお姫様になったんだよ!」

「お姫さまっ!!」


 そう言ってラビットAはガバッと飛び上がって喜ぶ。


「きゅふふ。おひめさまおひめさま!」


 う~ん。お姫様ねぇ。

 確かに魔兎族の姫って書いてあるけどさ。

 俺はそれよりも名前の方が気になるんだよなぁ。

 カグヤで姫、しかも月からの使者って……完全にかぐや姫じゃん。

 ラビットAがかぐや姫とか、イメージ狂うなぁ。


「ねぇシュート、どうしたの?」

「どーしたの?」


 ナビ子とラビットAが俺を覗き込む。

 ラビットAの姫姿を考えることに夢中になっていたようだ。


「いや、何でもな……ん? 何か今おかしくなかったか?」


「何が?」

「きゅう?」


「……いや、気のせいだったみたいだ」


 一瞬、ラビットAが普通に喋ったと思ったけど、気のせいだったようだ。


「どうせまた変なこと考えてたんでしょ」

「へんなの~」

「やっぱり!」


 やっぱりきゅって言ってない!


「きゅう?」


 俺の大声にラビットAは首を傾げる。

 もう騙されないぞ。


「ラビットA。お前、普通に喋れるだろ?」

「えっ? 本当!?」


 ナビ子が驚く。

 いや、ナビ子は電子妖精なんだから、俺よりも早く気づけよ。

 ラビットAの方は……なんだかよく分かっていないみたいだ。


「わかんない。いつもふつーに喋ってた」


 ほら、きゅって言ってない。

 それに、心なしか滑舌も良くなっている。

 まぁラビットAは無自覚のようだが。


「なぁ俺の名前を呼んでくれ」

「あっ、アタイもアタイも!」


 もしかすると、きゅートから変わっているかも?


「きゅートときゅビ子」

「「なんで!?」」


 俺とナビ子は先ほどと同じく同時に叫んだ。



 ****


「だって、きゅートときゅビ子の方がシュートとナビ子より言いやすいんだもん」


 どうやらラビットAは以前とは違い、ちゃんとシュートとナビ子って発音できるようだ。


「とりあえず、今後はできるだけシュートって呼ぶように」

「アタイのこともナビ子だからね!」

「きゅうう。わかった」


 まぁ今は進化したばかりだし、慣れてきたら大丈夫になるだろう。


 その肝心の進化結果を改めて確認する。


「何か見事にスキルがスッキリしたな」


 20以上あったスキルが、今では11。

 半分以下になっている。

 まぁ11でも十分に多いんだけどね。


「でも、単純に減っただけじゃなさそうよね」


 ナビ子の言葉に俺は頷く。

 スキルの内容を確認すると、11のスキルの内、マジックバニーとカグヤで被っているスキルは剣術、杖術だけ。

 残りは全て新規スキルだった。

 詳しいスキルの内容は分からないけど、おそらく持っていたスキルが合わさってできた上級スキルみたいだ。


「一番気になるのは、やっぱり固有スキルの魔を極めし者だよなぁ」


 元々ラビットAは魔の覚醒スキルを持っていた。

 進化したら、上級の魔の極意になるかと思ったんだが……極めちゃったか。


「多分極意よりも上位スキルだろうな」

「間違いないね」


 ナビ子も同意する。

 問題は極意と何が違うのか。


「極意で全部の魔法が使えるんだよな? それ以上となると、どうなる?」

「う~ん。これはアタイの予想だけど、魔のコツとか、魔力操作のスキルも覚えてたじゃない。その辺りが合わさってるとか」


 なるほど。

 魔法だけじゃなくて、コントロール系も全部引っくるめて魔を極めし者ってことか。


「うん。確かにあり得そうだ」


 その線で間違いないと思う。


 次は月の加護。

 これはメーブも持っている。


「多分、月光浴と、月の光のスキルのせいだと思うけど……そもそも何で月光浴と月の光を覚えたんだ?」


 ラビットAは姫の素質とか、姫の器みたいなスキルは持っていなかった。

 なのに、カグヤになれたのは、月の加護のお陰だと思う。

 もし、カグヤになることを見越して覚えたんなら、凄すぎだろ。


「えっとね。ラビットAが牧場ができて、夜にカードに戻らなくてよくなったから、夜も元気に遊べるようにって。夜目とセットで覚えちゃった」


 ……全然関係なかった。

 遊びのために覚えたとか、本来の趣旨から離れすぎだろ。


「でもでも、きっとこれがなかったらカグヤになれなかったし、良かったよね」


 良かったというか、運が良かったというか。

 ……天運のスキルとか借りてないよな?


「プリンセスに関してはさっぱり分からないな」


 最後の固有スキルはプリンセス。

 たとえば女王の威厳や女王の号令みたいに、姫の威厳とかプリンセスの嗜みみたいなスキルだったら予想はつくけど、プリンセスだけじゃなぁ。


「竜みたいに色んなスキルが混じってるかもよ」


 グリムに以前聞いたことがあるが、竜王や竜のスキルは、ブレスや威圧などドラゴンに欠かせない能力をひっくるめたスキルらしい。

 プリンセスも似たようなものかもしれないと。


「むしろ、女王の威厳とかも、全部まとめてクイーンみたいなスキルがあるかもしれないね」


 なるほど。

 その可能性は高そうだな。

 まぁ女王スキルなんていくつあるか分からないし、レアスキル過ぎて普通じゃ手に入らないから検証は厳しいけど。


 次に個別スキルを確認していく。


「創造魔法って、やっぱり土いじりとかブリザードームとかかな」


「だと思う。そういう新しい魔法を作るセンスに長けてるってスキルじゃない?」


 なんか、これは自力で編みだしたっぽいな。

 今後もオリジナル魔法を期待していいのかな?


「眷属召喚ってなんだろ」


 眷属化ってスキルなら持っているモンスターはいるんだが……。

 眷属化もしないで眷属を召喚する?

 もしかして魔兎族が召喚されたりして。


「ラビットA。試しに使ってみないか?」


 俺がそう言うと、ラビットAが首を傾げる。


「どーやって使うの?」


 分からないんかい!?

 ったく、何で分からないのか問いただしたいが、俺だってカードマスターの能力が未だに分からないから何も言えない。


「……召喚といえば、ティータとメーブだよな」


 妖精王召喚と妖精騎士召喚。

 むしろ何でティータやメーブは使い方を知っていたんだ?

 ……固有スキルだったからかな?


「じゃあ今度ティータに使い方を聞いておいてくれ」

「きゅい!」


 そこは相変わらずきゅなんだな。

 ってことで、召喚は今度の楽しみにとっておく。


「残りは千里眼と第六感と不可侵と自力成長か」


「千里眼ならアタイが知ってるよ!」


「えっそうなの?」


 チュートリアル御用達のナビ子が知ってるってことは、レア度が低い基本スキルか、超有名なスキルか。

 まぁ名前の通り、遠くが見えるってスキルだろう。

 ……少なくともレア度は高そうだな。


「あのね。実は千里眼スキルって、プレーヤーの初期スキルのひとつなの」


「はぁ!?」


 プレーヤーの初期スキルってことは、カード化や天運と同格。

 レア度が高いなんてものじゃなかった。


「いったいどの条件なんだ?」


 今から会う連勝と、既にこの世界に来ているイベントクリアのスキルは知らないが、何となく条件と合わない気がするので違うと思う。

 まだ達成していない条件だとは思うが……。


「まだ達成されてないノーダメクリアのなの」


 やっぱりまだ未達成の条件だったか。


「それで、千里眼ってどういう効果なんだ?」


 まさかここまで言って教えないはないよな。

 まぁ千里眼って名前の通りなら、遠くの場所を見ることが出来る能力だろうけど。


「多分シュートも予想しているだろうけど、遠くの映像を見ることができるスキルだよ」


 やっぱりそうだよな。


「そして離れた映像を見るついでに音も聞こえるの」


 へぇ音も聞こえるのか。

 そういえば、ラビットAの前の種族であるマジックバニーは地獄耳のスキルを覚えていたな。

 それと……もしかして鷹の目もか!?

 それで千里眼のスキルを手に入れたとか。


「しかし、なんでこれがノーダメと関係あるんだ?」


 ノーダメってどちらかと言えば絶対回避とか、完全防御とか無敵とか……まぁそこまでチートなスキルはないだろうけど、それに近いスキルっぽい気がする。


「ダメージを受けないためには、戦う前にちゃんと情報収集しないと」


 あ~RPGのノーダメって、いわば詰め将棋のようなもの。

 モンスターのパターンとか、事前に調べて対策立ててノーダメにしろとかそんな感じか。


「でも、プレーヤー初期スキルなら、もっととんでもない能力を秘めているんだろ?」


 確かに便利だし強力だと思うけど、遠くが見れて声が聞こえるだけじゃ、カード化や改造なんかと比べると物足りない。


「ついでに鑑定できたり、敵の弱点が見えたり、正解の攻略法が見えたりするとみた。……どうだ?」


 俺もそれなりにスキルの知識が増えてきたからな。

 それくらい見破れるようになっているさ。

 だけど、ナビ子は微妙な表情を浮かべる。


「う~んとね。実は千里眼スキル本当に遠くを見るだけのスキルで、鑑定とかはないの」


 あれぇ?


「それじゃちょっと弱くない?」


 そりゃラビットAでも覚えることができるはずだ。


「あのね。本当は千里眼じゃなくて、全能眼ってスキルの予定だったらしいの。全能眼ってのは、千里眼や……ほら、アザレア達の観察眼や鑑識眼とか神眼シリーズってのを全部集めたようなスキルなんだって。でも、手に入らなかったから千里眼で妥協したの」


 ……それってつまり、鑑識眼と観察眼が手に入らなかったからって言っているようなものじゃないか?

 心当たりがありすぎるんですけど。

 これは……絶対に運営に知られるわけにはいかないな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おお? しばらく溜めててまとめ読みしてたら!? なんか、名前案で出したカグヤが種族で採用されとるw そのうち重力低減とか空中機動とかも覚えそうだな~
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