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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第5章 天運の少女
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第248話 牧場づくり

「おーいナビ子ー! 帰るぞー!」


 村長と話がまとまったので、広場で子供達と戯れているナビ子に声をかける。


「シュートぉ。遅いよぉ」


 俺の声を聞いて、ナビ子が半泣き状態でこちらへ来る。

 それに続くユニコーンに、カラドリウスとスイートツグミ。

 2羽とも呼び出していたのか。


「おっ、おお。悪い」


「もう本当に大変だったかんね! 虫扱いされるし、芸をしろって無茶振りされるし、芸をしたらしたで、ラビットAの方が良かったって愚痴られるし」


 半泣きどころか今にも本泣きになりそうである。

 ……芸って何したんだろ。

 聞きたいけど、教えてくれないだろうな。


「ほんと、子供達の体力と遠慮なさを舐めてたわ」


 子供達って遊びにかけては底無しの体力だからなぁ。

 そして悪気がない分たちが悪い。


「ラビットAはあの子達を満足させられるんだから凄いよ」


 まぁラビットAの場合、凄いというより、単純に子供と同レベルなだけだ。


「お兄ちゃん! やっぱりあのウサギじゃないと。虫じゃ駄目だよ!」


 ナビ子を追いかけて子供達も集まってくるが……ナビ子も散々だな。


「だから虫じゃないって……はぁ」


 もはやツッコむ気力すらないようだ。


「分かったよ。次来るときは、ちゃんとウサギも連れてくるから」

「絶対だよ!」


 ……ラビットAの後継者を探さないとな。

 とりあえずアルミラージに芸を仕込まないと。

 そう誓いながら村を後にした。



 ****


「マスター。お帰りなさいませ」


「ただいま。そっちは変わりなかったか?」


「ええ。手入れの方も何事もなく完了いたしました」


 ティータの言うとおり、雑草まみれだった場所は綺麗に整備されていた。

 これなら家を召喚しても問題ないだろう。

 俺はティータ達を労って、家を召喚する。


「……見た目は殆ど変わらないな」


「そりゃあ家に差をつけたりしないよ」


 そっか。

 まぁ他のプレーヤーの家には3階建てとか言われたら、俺だってズルいと思う。

 一応、内装も確認してみるけど、やはり俺の今までの家と何ら変わりはなかった。

 家具や家電も全く同じ。

 まぁ中身はサナに渡しているから空っぽだけど。

 冷蔵庫は……俺が不在の時でも使えるように、ある程度、中に常備していた方がいいな。


 というわけで、家の中は問題なかったので庭の方にでる。

 うん。こっちも元通りだな。


「じゃあ次は牧場づくりになるけど……ラビットA達はまだ戻ってきていないのか?」


 いるのはティータ達3人だけ。


「いえ、戻ってきているのですが、邪魔ですのであちらへ行っていただきました」


 あちら?

 俺は気になったので、ティータが指した方へ行ってみた。


「……なるほど。確かに邪魔だな」


 そこにあったのは大量のモンスターの死体。

 なんだかデジャブを感じる。


「きゅやぁ」


 いや、そんなドヤ顔されても。

 コイツには同族を殺す罪悪感はないのか?

 ……今さらか。


「申し訳ありません主。リーダーの暴走を止めることができませんでした」


「いや、メーブは悪くないから」


 むしろ、メーブがいなかったら、まだ戻らずに狩りを続けていたんじゃなかろうか。


 とりあえず、仕分けは今度にするとして、今はまとめてカードにする。

 大きな布を被せれば、カード1枚で収まるから楽なもんだ。

 次にラビットAとメーブ以外をカードに戻す。

 またすぐに召喚することになるだろうが、打ち合わせが終わるまでは邪魔になる。


 片付けてティータの所に戻り打ち合わせを始める。


「とりあえず牧場づくりに必要なモンスターは、どんなモンスターが必要だ?」


「まずは植物系モンスターと、土いじりの魔法が使えるモンスターを全員召喚してください」


 さすがに今度の範囲は広いため、他の植物モンスターの協力が必要。

 それから、土いじりの魔法は、すでにラビットAがブランクカード生成で量産しているので、土の素質持ちのモンスターに覚えさせるだけ。

 地面の舗装など、様々なことに役に立つ。


「それから、木を切り倒すのに必要なモンスターと、荷物運びや力仕事用のモンスターもお願いします」


 木を切り倒すのは、デスシックルなど鎌系のモンスターでいいだろう。

 荷物運びはレッドボアとかユニコーン獣系モンスター。

 力仕事は……ゴブリンでいいよな。


「というか、荷物運びは俺がカードにして運べばいいんじゃない?」


「マスターには切り倒した木で、モンスターの寝床や柵などを合成で作って頂く仕事があります」


 そっか。

 流石に屋根ありの寝床……牧場なら牧舎って言うのかな?

 まぁモンスター小屋でいいだろう。

 確かに必要かもしれない。

 それに、柵も大事だな。


「分かった。俺は合成担当だな」

「じゃあアタイが切った木をカードにしてシュートに渡す係ね」


「ではナビ子さんはそれで」


 結構投げやりにティータが言う。

 多分ナビ子は数に入れてなかったな。


「わたくし達が住む場所を作るのですから、皆さん気合を入れて作業に取り掛かってください」

「きゅい!」


 ラビットAが元気に返事する。

 ……いったい誰が本当のリーダーなんだろうな。

 まぁ俺も似たようなものだけど。

 本当、頼りになる仲間たちで嬉しいよ。

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