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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第5章 天運の少女
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第238話 お披露目

「みんな。今日って時間取れるかな?」


 俺は朝食に集まったアザレア、アズリア、サナ、そしてガロンに聞いてみた。


「わたくしはこれから出勤ですが……」

「私は朝礼さえ出席すれば、すぐに戻ってこれますけど」

「私は別にいつも暇ですから」

「儂も特に何もないぞ」


 なるほど。

 アザレア以外は比較的いつでも良さそうだな。


「まぁ別に大したことじゃないし、アザレア抜きでもいいか」


「むぅ。わたくしを仲間外れにしようとするなんて……ところで、何をされるおつもりなのですか?」


「いや、昨日たくさん合成して仲間を増やしたから、そのお披露目会でもしようかと……」

「よいですか!! わたくしが帰宅するまで絶対に待っててくださいね!」


「おっ、おう。分かった」


 めっちゃ食いぎみに言われたので、思わず引き気味に答える。


「筆頭協力者のわたくしを差し置いてそのような催しをされようとは……」


 どうでもいいけど、いつの間に筆頭協力者って肩書きが付いたんだ?


「それにしても、お披露目なんて珍しいですね。どういった心境の変化なんですか?」


「別に心境の変化とかじゃなくて……単純に庭に呼び出すときもあるから、驚かないようにと思ってな」


 仕事から帰ってきたらケルベロスがいましたってビックリするよな。

 それから、ここにいるメンバーは、今までの生活で言いふらしたりしないし、偏見ももたないことが分かっている。

 見せても問題ない……というか、コレクションを見せびらかしたい。

 それと、ついでに相談したいこともあるしな。


 アザレアもできるだけ早く帰るとのことだったので、全員が戻ってきてからお披露目することにした。



 ****


「しゅ、シュートさん! お待たせしました」


 アザレアが息を切らしながら帰ってくる。


「……いや、全然待ってないし」


 だってまだ1時間も経っていない。

 待つどころか、アズリアすら戻ってきてないぞ。


「こら、出勤した振りしてサボっただろ」


「失礼ですね。ちゃんと仕事してきました」


 アザレアが心外だと言わんばかりに反論する。


「本当に自転車って快適ですよね。わたくし、もうあれなしじゃ生活できません」


 ファーレン商会で普及してからでないと乗らないと言っていた自転車。

 その前に練習をってことで、敷地内で乗り始めたようだが、その便利さに負けて、通勤にも使用し始めていた。

 まぁ三輪車ではちょっとってことで、俺の二輪車を使っているが。


「風魔法を自転車に使うと、ペダルの抵抗も殆どありませんので、坂道も楽々です」


 しかも、普通に乗るだけじゃなく、魔法まで使って乗りこなしているようだ。

 確かにそれなら通勤時間は短縮できるだろうが、それでも仕事はどうしたって話だ。

 と、そういえばアザレアは一応肩書きはマネジャーの統括だけど、その実態は窓際だったな。

 仕事がないからいつも入口に立っているんだし……うん、可哀想だから深く追求するのは止めておこう。


「シュートさん。では早速……」


「まて、まだアズリアが帰ってきていない」


 ったく。せっかちなんだから。


「むぅ。あの子は一体何をしているんでしょうね」


 何をって……仕事だよ。

 まぁアズリアも朝礼だけって大概だけどな。

 本来一番忙しいはずなのに……おかしいだろ。



 ****


「んじゃま、始めるか」


 全員が揃ったところでお披露目会を始める。

 まず最初はケルベロスから。


「魔獣ケルベロス……以前討伐依頼がありましたが、その時はベテラン冒険者しか受けることが許されませんでした」

「顔が3つあるのに、体が1つなのは不便そうですね」

「いきなりとんでもないモンスターを。もし儂が出会ったら死を覚悟するぞ」

「う~ん。私が思っていたケルベロスとちょっと違うような……でも、こっちが正解なんですよね」


 三者三様の答えが帰ってきた。

 それぞれ視点が違って面白い。

 サナだけは思っていたのと違ったようだが……モフモフな感じをイメージしていたのかな?


「そして次がこちら」


 ――――

 オルトロス

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:ブレス、火属性無効

 個別スキル:勇猛果敢、毒攻撃


 犬系上級モンスター。

 双頭の魔獣。

 鋭い爪は鉄をも切り裂く。

 ――――


「今度はオルトロスですか。こちらもケルベロスに負けず劣らず強力なモンスターですよ」

「なんだか首がひとつ減っただけですね」

「儂……昔、コイツから命からがら逃げ出したことが……」

「あれっ? こっちも……まぁこちらの方が格好いいですから」


 頭が1つ減っただけで、見た目は殆どケルベロスと変わらないから、さっきほどのインパクトはないようだ。

 まぁスキルもケルベロスと殆ど変わらない。

 でも、オルトロスの方が、ブレスよりも爪などの物理攻撃が得意みたいだ。

 ちなみにオルトロスも合成に俺が倒したブルームスネークを混ぜているので、声を発することができる。


「次は……ちょっと気をつけろよ」


 そういって呼び出したのは、コカトリスとバジリスク。


 ――――

 コカトリス

 レア度:☆☆☆

 固有スキル:石化の魔眼、猛毒攻撃、ブレス、毒耐性


 鳥系中級モンスター。

 目が合うと石化する魔眼と、猛毒のブレスを吐く怪鳥。

 近づくと非常に危険なモンスター。

 羽毛には解毒作用がある。

 ――――

 ――――

 バジリスク

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:石化の魔眼、猛毒攻撃、ブレス、毒耐性

 個別スキル:火の素質、煙幕、闇の素質


 トカゲ系上級モンスター。

 目が合うと石化する魔眼と、猛毒のブレスを吐くトカゲ。

 近づくと非常に危険なモンスター。

 全長1m~10mと個体に大きな差がある。

 ――――


「コカトリスは比較的出現率は多いですが、バジリスクはこの辺りでは見かけませんね。ベテラン冒険者でないと討伐は難しいでしょう」

「コカトリスやバジリスクは素材が高価買取されているんですよ」

「確かコカトリスは森に出現しとったな。バジリスクは知らん」

「コカトリスって鶏っぽいですけど、卵って産むんでしょうか?」


 おっと。

 石化とか毒でもっと大騒ぎするかと思ったら、意外と冷静だな。

 それだけ俺のモンスターを信用してくれているってことかな。

 アザレアやガロンが言ったように、コカトリスはブルームの森で捕まえた野生産。

 バジリスクはそのコカトリスとファイアリザード、ついでに闇属性の魔法を合成させて完成した。

 やはり野生産は個別スキルが少ないが、合成すると個別スキルが一気に増えるな。

 まぁケルベロスやオルトロスみたいに同じモンスター同士だと少し少なめになるけど。


「とまぁまだまだいるんだが……もっと見る?」


 俺がそう言うと、全員がもちろんと頷いた。

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