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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第5章 天運の少女
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第216話 ダブリンとつぐみん

 アザレア達が出勤したので、ルースに本当のスタート地点を聞いた。


「えっ! 持ってきてくれるの!?」


「いやいや、持ってくるというか……要らないなら頂戴って話なんだけど」


 場所を聞いただけなのに、すごい喜ぶから、慌てて補足する。

 流石に持ってきて全部回収されてしまっては働き損になる。

 というか、家を持ち帰っても、カード化がなければどうすることもできないだろうに。

 ……ここには建てさせないぞ?


「ボク達が必要ないものならあげるよ。サナの着替えとか要らないでしょ?」


 ……うん。別に着替えとかは要らないな。

 というか、本人が目の前にいるのに、ここで欲しがったらただの変態だ。


「俺は家と拳銃を貰えれば、それでいいんだけど……拳銃いる?」


 俺はサナに聞いてみる。


「けけけ拳銃なんて要りません!」


 ものすごい勢いで断られた。

 まぁ普通の女の子は拳銃なんか欲しがらないよな。


「それじゃあ遠慮なく貰うけど……でも、ここは日本じゃないから、サナも最低限身を守る方法は考えないと」


 一応いくつかのスキルは渡す予定だけど、本人にやる気がないと無駄になる。


「やっぱりこの世界って危険なんですか?」


 う~ん。どうだろう?

 街の外はモンスターがいるけど、馬車道付近ならほとんど出ないし、街の中の治安もそこまで悪くない。

 普通に暮らす分にはそこまで危険はないのかな?


「まぁ街の中にいるのなら、少し治安の悪い海外で生活する感覚で良いんじゃないかな?」


 うん。それくらいがシックリくる。


「ただボーッとしていたら、簡単に襲われることはあるみたいだからな。ああ見えてアザレアもアズリアも護身術や魔法なんかで、自分の身は守れるようにしているんだぞ」


 だから安心だったけど……産業スパイとかいるのなら、ちょっと注意した方がいいかな?

 ……シャドービーを護衛に付けようかな?


「魔法……私も魔法が使えるようになりますかね?」


 どうやらサナは魔法に興味があるようだ。

 確か、まだ未分解のモンスターの死体に魔の素質スキルもあったな。

 うん。レベル9の複製があれば、サナに覚えさせることも可能だな。


「ああ、スキルを覚えれば魔法を使うことも可能だ。今度使い方を教えるよ」


 とりあえず先に複製を覚えないとな。


「本当ですか! 私トロいから、体を動かすよりも、魔法で身を守りたいです」


 うん。それならそれでいいと思う。

 これで、また拳銃を手に入れることができそうだ。

 4丁あれば、色々試してもいいだろう。


「ルース。そのスタート地点ってここから遠いのか?」


 できれば日帰りでサッと持ち帰りたいんだが。


「そりゃあ他国だからね。すごく遠いよ」


 ……じゃあ駄目じゃん。


「でもボクとナビ子だけなら、日本経由でその場所まですぐに行けるよ」


 んん?

 一旦日本に帰って、日本からスタート地点に?


「会議以外のときでも日本に帰れるのか?」


 ナビ子さえ行ければ、代理人スキルでカード化は可能だ。

 別に俺が行く必要はない。


「そりゃあ帰れるよ。ただ、緊急呼び出しになるからね。よっぽどのことがないと使ったら怒られるの」


 運営だって普段はグローリークエストやソシャゲの方で忙しい。

 だから、緊急呼び出しイコール残業確定になるらしい。


「それに理由を聞かれたら、最悪没収されるかも」


 拳銃をすでに2丁も余分に手に入れたんだから、サナが使わないんなら必要ないだろと没収される可能性もあると。

 それは嫌だなぁ。


「日本経由はパスだな」


 でも、諦めたくはない。


「あのさ。遠いって言ってもモンスターに乗って空を飛んでいけば、数日で着くんじゃない?」


 確かにナビ子の言う通りだ。

 他国なら、この間のブルームよりも遠そうだけど、それでも誤差は数日だろう。


 だけど……他国かぁ。

 空飛んでいったら不法入国になりそうだし、手続きとか面倒そうだな。


「だからさ。アタイとルースだけで行ってくるよ」


 なるほど。

 ナビ子たちだけなら面倒な手続きもない。


「えっ!? ボクも行くの?」

「当たり前じゃない。じゃないと誰が道案内するのさ!」

「う~ん。でも……」


 ルースがサナの方を見る。

 俺とナビ子と違って、出会ったばかりのルースとサナは離れるのは嫌だろう。


「ルース君。シュート君もいるし、アザレアさんとアズリアさんもいるから、私は大丈夫だよ」

「……サナがそういうなら」


 サナに言われてルースが渋々納得する。


「じゃあ決まりだね! ねぇシュート。護衛としてメーブ貸して」


「……まぁいいけど」


 この間の件で、ナビ子はメーブを気に入っていた。

 当然2人じゃ不安だから、護衛を付けるつもりだったし、メーブがいいって言うなら俺としても異論はない。

 それに他にも護衛を付けた方が良いだろうな。

 空を飛べて、戦力になりそうで、且つ小さくて目立たない。

 うん、ビーナイトとシャドービーだな。


「鳥系はどうする? ワイルドファルコンを使うか?」


 ホーク系とイーグル系はナビ子たちには少し大きい。

 ファルコン系が一番手頃だろう。


「ううん。ダブリンとつぐみんを使うよ」


 ウイングダブとセンダンツグミか。

 その2匹は俺のじゃなく、ナビ子専用だからな。

 サイズ的にもナビ子とルースならちょうどいいか。


「ナビ子がそれでいいならいいけど……じゃあメーブ用のワイルドファルコンだけ用意するよ」


 メーブは前回もワイルドファルコンに乗ってたから問題ないだろ。


「あのねシュート。ひとつだけワガママ言ってもいいかな?」


「ん? なんだ?」


「あのね。ダブリンとつぐみんを進化させてあげたいの」


 ああ。合成用のカードが欲しいってことか。

 まぁ俺も進化先は気になるし、これからのことを考えると、進化させても問題ないと思う。


「複数枚所持のカードならいいぞ。だけど……幹部は駄目だからな」


「うん! ありがとシュート」


 ナビ子が笑顔で俺に抱きつく。

 よっぽど嬉しかったんだろうな。


 今回の合成は全部ナビ子に任せることにしたので、俺はモンスター図鑑と魔法図鑑を拡げる。

 ナビ子はウイングダブとセンダンツグミを召喚して、一緒に悩み始めた。

 時間がかかりそうなので、俺たちはそっとナビ子から離れて、結果を楽しみに待つことにした。



 ****


「シュートおおお!! できたよー!」


 リビングでお茶を楽しんでいると、ナビ子が飛び込んできた。

 ……1時間位かかったんじゃないか?


「ふふ~ん。きっとすっごく驚くからね」


 なんだか自信たっぷりの様子。

 いったいどんな結果になったんだろう?


 俺は早速図鑑を開けて確かめてみる。


 ――――

 カラドリウス

 レア度:☆☆☆

 固有スキル:光の覚醒、聖変換、浄化、邪気配察知

 個別スキル:妖精使い、風の素質


 バード系中級モンスター。

 癒やしの力を持つ霊鳥。

 病魔や呪いなどを吸収して聖なる力へと変質させる。

 治療目的でカラドリウスを捕まえようとするのは止めたほうがいい。

 自らに危害を加えるものは、癒やしではなく呪いが降り注ぐであろう。

 ――――


 ――――

 スイートツグミ

 レア度:☆☆☆

 固有スキル:羽ばたき、擬音、蜜集め、誘惑、マヒ攻撃

 個別スキル:収納(小)、木の実サーチ、高速移動、風の覚醒


 バード系中級モンスター。

 花の蜜を好んで食べるが、昆虫や木の実なども食べる。

 高速に羽ばたくことで、まるでキラーホーネットの羽音のような音を出し、外敵から狙われにくい。

 ――――


 う~ん。どっちもツッコミどころ満載だな。


「とりあえず、どういった合成をしたらこうなったんだ?」


「えっと、ダブリンの方は、ハトって平和ってイメージでしょ。だから、光属性の魔法を使えたらいいかな~って。そしたらこうなっちゃった」


 見た目は前のまま真っ白……いや、首周りと足の付け根だけ黒い。

 姿はウイングダブの頃よりも若干スリムになっているが、全体的には変わっていない。


「つぐみんの方はね、この庭じゃセンダンの実がないから、可哀想だと思って、花の蜜を吸えるように、ハニービーと合成したの」


 センダンツグミの方はつぐみって名前はそのままなのに、姿は結構変わっている。

 ハチと合成したからかな……ハチドリ?

 クチバシも鋭くなっているし、少し大きめのハチドリだな。


 にしても、花の蜜を食べさせたかったからって……俺にはその発想は絶対に出なかったな。


「どうよ! アタイのダブリンとつぐみんは!」


「ああ。いいんじゃないか?」


 名前はそのままダブリンとつぐみんなんだな。

 どちらも星3だし、魔法も使えるから多少の戦力にはなりそうだ。


 これにメーブやビーナイトがいれば、余程のことがない限り危険はないだろう。


「んじゃあ、ちょちょっと行ってくるね」

「サナ。ちょっとだけ我慢しててね」


 そう言うと、ナビ子とルースはカラドリウスとスイートツグミに乗って、旅立っていった。


「ルース君……大丈夫でしょうか?」


 サナが心配そうに呟く。


「ナビ子が付いているから心配ないさ。それより戻ってきた時にシッカリやってたってところを見せないとな」


「……はい!」


 ナビ子達が戻ってくるまで数日ある。

 それまでに、少しでもこの世界に慣れないとな。

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