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第2話 ゲームの中?

 うん、ハッキリと思い出した。

 運営からのメッセージに『はい』を押したら気を失って……気がついたらこの見知らぬ部屋だった。


「どういうことだ?」


 思い出しても意味が分からない。

 原因は間違いなく、あの運営からのメールだろう。

 やはり怪しいものだったのか?

 『はい』を押しただけで意識がなくなる……なにか変な電波が出ていたのかもしれない。


 気を失った俺を運営がここまで連れてきた……何のために?

 俺の頭の中に誘拐の文字が浮かんだ。

 あれだけ課金するんだからお金を持っていると……ないな。

 あんなボロアパートに住んでいたんだ。

 金を持っているとは思うはずがない。


 そういえば運営のメッセージには次のステージと書いてあった。

 じゃあここが次のステージの場所なのか?

 てっきり俺は追加ダウンロードとかそんな風に思っていたんだが……こんなところに連れてくる理由。


 ――もしかしてデスゲームとか!?


 もしかしてここは無人島みたいな場所で、これからここで殺し合いをさせられたりして?

 最近はゲームでも流行ってるからリアルでも……流石にないよな?


 ……ここでずっと考えていても仕方がない。

 俺はひとまずこの部屋を調べることにした。


 改めて部屋を見渡す。

 調べるも何も、部屋にはついさっきまで俺が寝ていたベッド、それからタンスと机しかなかった。

 部屋の扉はひとつ、それから窓もある。

 どちらも内側に鍵が付いているので、中から開けられる。

 窓に格子もないので、扉でも窓でもどちらからでも脱出できそうだ。


 ――別に閉じ込められている訳ではない……と。


 俺はそこまで考えてからベッドから立ち上がる。


「ん?」


 何だ?

 何か分からないが、物凄く違和感がある。

 下を見る……着ている服が違う。

 意識を失う前は部屋着……ジャージだったが、今はシャツ一枚。

 ズボンも変わっている。

 いや、それ以上の違和感……日焼けした健康的な肌、無駄な肉がなくそれなりに鍛えられた体。

 不健康な色白に、少し腹が出始めていた自分の体とは大違いだ。


 ……って!? 身体が違う!?


「かっかがみ……鏡!!」


 だが部屋の中には鏡らしきものはない。

 俺は鏡を探すべく、タンスの引き出しを開けて……


「ひぃっ!?」


 思わず息を飲んだ。

 タンスの引き出しにあったのは……


「なっ何で銃があるんだよっ!?」


 黒く片手で扱える一般的な拳銃がそこにあった。

 まさか本当にデスゲームでもさせるつもりなのか?

 俺は恐る恐る拳銃を手に取ってみる……重い。


「……本物だ」


 本物なんて触ったことはないが、エアガンのような偽物でないことは分かる。


「ヤバいヤバいヤバい」


 とんでもないところに来てしまった。

 拳銃はあるわ、自分の身体とは違うわ……


「そうだっ! 鏡」


 鏡を探しにタンスを開けたんだった。

 他の引き出しにあるか……しかし、もし他の引き出しに拳銃以上の危険なものがあったら……と考えると、これ以上開ける勇気を持てなかった。


 じゃあどうする?

 扉を開いて外に出る……何も分からずに外に出るほうが怖い。

 下手したら部屋の外に誰かが待ち構えていて、いきなり拳銃でズドン……何てこともあるかもしれない。

 まぁさっきから部屋で騒いでいるから、外に誰かいたら既に襲撃されている可能性が高い。

 それがないってことは安全だと思うが……


 ――とにかく扉は後回しだ。


「そうだ。窓だ!!」


 鏡ではないが、窓ガラスなら反射して身体が映るはず。

 俺はタンスから離れ、ゆっくりと窓へ向かう。

 あまり近づきすぎると危険だ。

 まだここがデスゲームの可能性が残っている。

 窓の外からズドン……だからそっと……近づきすぎないように移動する。


 そして窓に映った顔は……


「誰だよっ!?」


 分かっていたことだが叫ばずにはいられなかった。

 窓ガラスに映ったのは……案の定、俺の顔ではなかった。


 同じなのは黒髪だけ。

 顔は全くの別人。

 元の顔に比べると、かなりイケメン度は上がっている。

 見た目は高校生……15、6といったところか?

 少なくとも30手前のおっさんではない。


「この顔……やっぱりアレかなぁ」


 最初は驚いて気づかなかったが、よくよく凝視してみると、この顔を俺は知っていた。

 もちろん高校時代の俺ではない。

 この顔は俺が直前まで遊んでいた『グローリークエスト』で俺がキャラメイクした主人公にそっくりなんだ。

 そこから導き出せる結論。


「ここは……ゲームの中なのか?」


 どうやら俺は誘拐されたわけではなく、ゲームの中に入れられたようだ。

 ゲームの中か……って、ここがゲームの中だろうと現実だろうと、考えてみれば現状は何も変わっていない。


 どうしてここにいるのか?

 何をすればいいのか?

 全く分かっていない。


 そもそも俺がいるのは本当に『グローリークエスト』の中なのか?

 この身体は確かにあのキャラだが……少なくともあのゲームに拳銃は存在しなかった。

 それはコンプしたから間違いない。


 もしかしたら次回のアップデートで実装予定だったのか?

 ……ここが次のステージってことはその可能性もあり得るな。

 もちろんデスゲームの可能性も残されている。


 とにかくもっと情報が欲しい。

 俺は部屋の調査を再開した。

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