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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第182話 魔道具回収ミッション

「マスター。コボルトバトラーがやって来ます」


 ティータの言葉に俺は時計を見る。

 3人で分解と新規モンスターの確認をしていたら、いつの間にか随分と時間が過ぎていたようだ。

 ……結局、徹夜をしちゃったな。


 朝になったから、コボルトバトラーがこっちに来たんだろうが……


「どうやって朝だと気づいたんだ?」


 俺は時計を見るまで全く気づかなかったぞ。


「マスターは少し勘違いしておられるようですが、コボルトだって時間くらいは分かりますよ」


「えっ? でもさっき……」


「マスターだって、始めの山を降りたのは何日前だとか覚えてないでしょう?」


「そりゃあ数えてないし……」


「それと同じです。そういう意味で分からないと言ったのです。1日の概念くらいはコボルトだって分かりますよ」


 なんだ。そうだったのか。


「ですが、具体的に数字で分かっているわけではないですが。1日のルーティン……お腹の空き具合や睡眠時間などで大雑把な時間を把握しているだけです」


 要するに長年の体内時計で何となく分かるってことか。


「まぁ今回に関しては、向こうが落ち着いたからこちらにやって来ただけで、朝なのは偶々だと思います」


 なんだ。

 色々聞いたけど、要するに偶々だったってことか。


 やって来たコボルトバトラーは、心なしか目が腫れている気がする。

 まぁ犬の顔だから、気がするってだけだけど。


「コボルトバトラーが遅くなって申し訳ないと謝罪しております。どうやら仲間の治療が終わった後、死んだ仲間の追悼を行っていたそうです」


 だから目が腫れているのか。

 昨日だけで色々あっただろうから、心身ともに疲れているだろうな。

 俺も徹夜でしんどいし、後で栄養ドリンクでも渡そうかな。


 ちなみにコボルトの死体は全て回収して、分解までしてある。

 だから、死んだコボルトは全員この場に召喚できるんだが……生き返ったわけじゃないし、一緒に暮らせるわけでもない。

 ……教えないほうがいいだろうな。


「それでマスター。コボルト達がポーションのお礼がしたいと。自分達にできることなら、何でも言ってくれと言っております」


「何でもって言っても……どうせドラゴンのところに案内はしてくれないんだろ?」


 俺がそういうと、コボルトバトラーが顔を伏せる。

 同時に頭の耳がしなっているのが少しかわいい。


「ごめんごめん。ちょっと意地悪だったな」


 分かってたことだけど、流石にドラゴンに紹介は難しいようだ。


「えっと、まだこのダンジョン内に、魔道具って残っているか知ってる?」


 俺の質問にコボルトバトラーがティータに答える。


「見つけた物に関しては、全て破壊したそうです。ですが、コボルト達も、隅々まで探したわけではないので、残っている可能性はあると」


 ってことは、ダンジョンを隅々まで調べる必要があるな。


「じゃあ、俺達が協力するから、ダンジョン内の魔道具を全部壊してしまおう」


 俺がそういうと、コボルトバトラーは驚いたように見える。

 ……そんなに驚くようなこと言ったかな?


「失礼ですが、あなた方はダンジョンの住人ではない。それなのに、どうして魔道具破壊の協力まで……あなた方に何の得が?」


 あ~、コボルトからしたら、俺達がコボルトに協力しているように見えるのか。

 そういえば、ダンジョンのことやドラゴンのこと。

 それから異変っぽいことは聞いたけど、俺たちが何でそれを聞いたか……肝心の目的は言ってなかった。

 ってことで、遅ればせながらも、コボルトバトラーに俺達がここに来た目的を説明した。



 ****


「――そういうわけで、俺の目的は地揺れの調査と、山の外に出てきたモンスターの調査に来たんだ」


 俺はコボルトバトラーにここに来た目的を、俺の推測も込みで包み隠さず説明した。

 ってか、説明しながら思ったんだけど、考えたら俺への依頼は異変の調査だ。

 断じて解決じゃない。


 そう考えると……すでに依頼は達成しているんじゃないか?

 サキュバス(仮)が魔素を発生させる魔道具を置いて、ドラゴンに怪我させました。

 ダンジョンにはまだその魔道具が残ってて、マグマゴーレムが守ってます。

 それをケフィアに報告すれば、依頼達成だ。


 まぁ乗りかかった船だし、このままじゃ俺も納得しないので、どうせなら解決までしたいところだ。


 ちなみにこの数日。地揺れは俺も何度も経験した。

 揺れ自体はそこまで酷くないが、確かにこう頻繁に起こると不安になる。

 事実コボルト達もこの地揺れには辟易していたらしい。

 ただそれがドラゴンがケガをしたからだとは思っていなかったようだが。


「だから、地揺れをなくすために、ドラゴンが怪我をしていたら治療したい。それと、モンスターが大量発生している原因の魔道具を破壊したいんだ」


 まぁできれば破壊じゃなくて、良品を手に入れたいが。


「――分かりました。そういう事情でしたら、我々コボルトはあなた方へ全力で協力しましょう。と言っております」


 おおっ、これは頼もしい。

 でも……これさ。俺が最初からちゃんと説明していれば、もっと早く協力できたんじゃね?


「これ、マスターが最初に説明していれば……」

「みなまで言わんでよろしい」

「……失礼しました」


 俺と全く同じことを考えていたようだが……気づいても言っちゃだめだろ。

 それに、俺の代わりにティータが言ってくれてもよかったんだぞ。

 まぁポーションとか積み重ねがあったから信じてもらえた。

 そういうことにしておこう。


 このあと、コボルトバトラーと話し合った結果、魔道具を破壊・回収のために、複数のチームに分けて、一気に回収することにした。

 このダンジョンは俺が思っている以上にデカいようなので、道を知っているコボルトがいたとしても、かなり時間がかかってしまうそうだ。

 コボルトバトラーは道案内役のコボルトを選定するために、戻っていった。

 次にコボルトバトラーがこっちに来るまでに、こちらのチームも決めなくては……その前に、ガロンを叩き起こして、朝飯かな。

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