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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第180話 戦力アップ

 コボルトから壊れた魔道具を貰ったので、俺とガロンは早速その魔道具を調べることにしたのだが……俺はその肝心の魔道具を見る。


 コボルトがどんな武器を使用していたか知らないが、まるで金属バットで叩きまくったように、バキバキのベコベコ。

俺が思っていた以上にコボルトは魔道具を壊していたみたいだ。


 一応、鉄の箱だったことと、外にラッパのような……いわゆる蓄音機みたいな形状だったのではないかと予測はついた。


「どうだ? 何か分かるか?」


 俺はガロンに聞いてみる。

 ガロンは壊れた魔道具を持ち上げ、熱心に観察している。


「そう慌てるな。ちゃんと中を調べてみんことには……」


 ガロンはそう言いながら、箱を開け、の中身を取り出そうとする。

 が、箱が原型をとどめてないので、中々中の物が取り出せないようだ。


 ……そうだ! 今のうちに俺も登録(アナライズ)で鑑定してみよう。

 幸いガロンは魔道具に集中しているから、背後で図鑑を開いても気にしないだろう。

 俺は魔道具に登録(アナライズ)をして図鑑を開いた。


 ――――

 破損品

 ――――


 ……いや、そりゃあそうだけど。

 もう少し気の利いた結果になってもいいじゃないか。

 剣は錆びた剣とか、折れた剣とかで表示されるんだから、せめて壊れた魔道具とかさ。

 それに破損品だから、レシピも表示されない。

 レシピだけでも分かれば対応できた可能性もあるのに。


 と、俺が図鑑にツッコミを入れていたところで、ようやくガロンが中から何かを取り出す。


「ふむ。どうやらこれがこの魔道具の核のようじゃ」


 石の欠片のようだけど……魔石とは少し違う。

 色は黒。欠けているが水晶のようにみえる。


 一応これも登録(アナライズ)してみるか。


 ――――

 創魔結晶の欠片

 ――――


 おっ、今回は破損品じゃなかった。

 創魔結晶……聞いたことないな。

 これもレシピがない。

 欠片だからか、合成できない特別製なのか。


「ふむ。黒い水晶か。思い当たる物はないのぅ」


 ガロンにも心当たりはないようだ。


「俺の鑑定では、創魔結晶の欠片って出たぞ」


「お主!? ……そういえば、鑑定スキルを持っておったんじゃったな。なら儂はいらんではないか!」


「いや、鑑定できたのはその欠片だけ。魔道具は破損していて鑑定できなかった。……ガロンは創魔結晶って知ってる?」


「いや、聞いたこともない」


 名前を聞いても知らない……か。

 鍛冶職人だから鉱石には詳しいはずだが、そのガロンが知らないとなると、本当にレアな水晶なのかもしれない。


「おそらくこの……創魔結晶じゃったか。これが魔素を生み出す元のはずじゃ」


「そういえば魔石は? 魔道具には魔石があるんじゃないのか?」


「魔石はこれじゃな。ふむ……これまた随分と歪な加工がしてあるのぅ」


 ガロンが箱の中から先程とは別の石を取り出す。

 こっちも割れているが、確かに魔石のようだ。


「歪な加工って……どういうこと?」


 魔石は勝手に魔素に還元されないように加工がされている。

 だが、それがどんな加工なのかは俺は知らない。


「普通の加工は、表面をコーティングするだけなんじゃ。それ以上手を加えると、魔石の力を上手く引き出せんからの」


 表面さえ加工してしまえば、魔素に還元されないらしい。


「でもこの魔石は違うと?」


「うむ。流石に完全に割れとるから、詳しくは分からんが、表面だけじゃなく、中まで加工された痕がある。……確かこの魔道具は1ヶ月以上前に置かれたと言っておったな」


「コボルトが詳しい日付を覚えてないから、確定ではないけどな。でもまぁ間違っていないと思う」


「魔素を発生させるような魔道具がずっと稼働し続けているとなると、この魔石では1ヶ月どころか、1週間も保たんじゃろうて。それが今も稼働し続けておるとなると、その辺りが加工の秘密じゃろうな」


 ふむ。

 俺は日頃から、魔道具に使われている魔石は乾電池のようなものと考えていたんだが……この魔石は加工によって、充電式電池になったと考えればいいのか。


「う~む。やはり流石に破損がひどい。せめてもう少しまともな状態であったら……」


 コボルトが残り2つの魔道具を持っているが……多分、残りも似たようなものだろう。


 もしこれが、壊れる前にカードになっていたら直せるんだけど、壊れた状態でカードにしても、直すことはできない。


「もしこの辺りにまだ魔道具が残っているなら、次は破壊せずに確保したいな」


 これはコボルトに聞いてみないと分からない。

 ただ、コボルトも今日のところは治療などで忙しいだろう。

 仕方がないので、魔道具の調査は一旦打ちきり。

 俺は個室を解放(リリース)

 明日に備えて休むことにした。



 ****


 ガロンが寝たのを確認して、俺は個室を出る。


 寝ているとはいえ、ガロンの側で合成はできない。

 俺はラビットAとティータを連れて、個室の裏手へと回る。

 ここならコボルトからも死角になるし、窓もないからガロンも中から確認できない。


 今から明日以降に備えて合成を開始する。

 敵はマグマゴーレムにサキュバス(仮)。

 サキュバス(仮)はもうこのダンジョンにいないようだが、いつ戻ってくるか分からない。

 おそらく今まで倒されていなかったマグマゴーレムが、今日だけで3体破壊された。

 おそらく作成者であるサキュバス(仮)には気づかれているはず。

 だとしたら、様子を見に戻ってきてもおかしくない。


 その時に、現状の戦力で勝てるのだろうか?

 ウチの最高戦力はもちろんラビットA。

 そのラビットAは魔族の子どもで……サキュバス(仮)はきっと大人の魔族だ。

 ラビットAが合成で普通のマジックバニーとは違うとはいっても、かなり厳しい戦いになると予想される。


 だから、戦力の強化をすることにした。

 また勝手に合成してナビ子は怒るだろうか?

 でも、今回は仕方がないだろう。


 今回の目標は魔族。

 敵が魔族なんだったら、こっちも魔族を用意すればいい。

 ゴブリン達はナビ子が持っていってるが、まだキング退治で手に入れた、ノーマルゴブリンの魔石が結構残っている。

 その余っているゴブリンの魔石を使えば、人型モンスターは確保できる。


 そして、幹部の中にも蛇や植物のモンスターはいるんだから、ラミアやアルラウネはできそうだ。

 さらに、ここ数日で手に入れたモンスターの種類はかなり多い。

 が、今回の新規モンスターから選ぶなら、分解からする必要がある。


 う~ん。

 選択肢が多すぎて、どこから手を付けていいか分からない。

 こんなときナビ子がいたら、最適解を出してくれるんだが……いないものは仕方がない。


「ラビットA。誰を合成すればいいと思う?」

「きゅむ~ん」


 ってことで、ラビットAに聞いてみる。


 ラビットAは腕を組んで悩んでいる。

 ちなみにボロボロだった服はすっかり元通り。

 今日はここで休むことにしたから、クールタイム短縮を使用しても問題ないと判断した。

 だから今のラビットAは心身共に元気いっぱいだ。


「きゅっとね……リス!」


 ラビットAが悩んだ末に出した答えは、予想外のモンスターだった。


「リスって……あの3リスか?」

「きゅ!」


 まぁ確かに3リスは最初期からのメンバーだし、この間の合成祭りでは不参加だったから、優先度は高いけど……正直なところ、今は戦力がほしい。

 3リスは収納やサーチなどサポート向けのモンスターで、残念だが戦力としては期待できない。


「あの……実はあのリス達は、ロック鳥の山の時に、合成したいと言っておりました」


 俺が悩んでいる姿を見て、ティータがラビットAのフォローをする。


 なるほど。

 ここに来る前の山で、合成したい相手が見つかってたのか。

 すでに相手が決まっているなら、そこまで時間はかからない。


 でも、あそこで増えた仲間は鳥とコウモリだけだよな。

 ……飛ぶの? リスが?

 一瞬モモンガのような姿が思い浮かんだが……まぁ本人たちが合成したいっていうのなら、止めることはないか。


 俺は3リスを呼び出して、何と合成したいか聞いてみる。

 昔は二択で延々と聞いていたが、今はティータがいるから、通訳してもらえば一発だ。


「……えっ!?」


 そのティータが驚きの声を上げる。

 何だ? 何と合成したいって言ったんだ?


「その……マスター。この子達は、魔水晶と合成したいと……」


 相手ってモンスターじゃなくて魔水晶かよ!?

 確かに魔水晶はあの山で手に入れ……!?

 その瞬間、俺はゲームの知識から、とあるモンスターが頭に浮かんだ。

 まさか、3リスはあれになりたいのか。


「分かった。魔水晶と合成させよう」


 となれば、今すぐにでも合成したい。

 俺は一旦魔水晶を解放する。

 魔水晶はカード1枚しかないから、全員を合成させられない。

 幸い魔水晶自体はそれなりに大きいので、削って欠片を作る。


 ――――

 魔水晶の欠片【素材】レア度:☆☆☆☆


 魔力が込められた不思議な水晶の欠片。

 ――――


 欠片になっても星4なのは変わらずか。

 でも水晶に比べると説明文が少ない。


 ……そういえば、この魔水晶って、周囲の魔素を吸収するんだったな。

 もしかして、役に立たないか?

 いや、1個じゃ焼け石に水か。


「まずは大リコリスからでいいか?」


 3リスとも異論はないようなので、大リコリスをカードに戻して、魔水晶の欠片と合成させる。


 ――――

 カーバンクル

 レア度:☆☆☆☆

 固有スキル:魔の覚醒、魔力操作、魔力反射、浮遊

 個別スキル:魔力吸収、木の実サーチ、収納


 額に宝石を宿した幻獣。

 宝石の種類によって能力が異なる。

 魔水晶を宿したカーバンクルは、魔力を奪う力を継承する。

 ――――


 やっぱりカーバンクルだ!

 見た目は額に魔水晶の欠片を宿した以外は、大リコリスの頃からあまり変化はない。

 魔の覚醒だから、全ての属性の魔法が使える。

 マグマゴーレム対策の氷魔法も使えるってことだ。

 戦力としても申し分ない。


 そして更に気になることがある。

 宝石の種類によって能力が異なるってことは……魔水晶以外の石と合成させたらどうなるんだろう?

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