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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第178話 異変の正体

 コボルトバトラーが言うには、今回の異変には魔族が関わっているらしい。


「そもそも魔族って何?」


 もちろんゲームや物語などで魔族の存在はよく知っている。

 だが、この世界でとなると、モンスターや亜人、妖精や精霊くらいしか聞いたことがない。

 ……いや、そういえばアラクネの説明文に魔族って書いてあったな。

 だが本当にそれだけだ。

 もしかして、魔王とかもいるのかな?


「簡単に言うと、妖精や、魔獣、昆虫などと同じ、モンスターの一種です。デーモンなど悪魔族が有名でしょうか」


 デーモンか。なんだか契約とかしそうだな。


「他にも半人半魔のモンスターは魔族になりますね。マスターも所持しておりますアラクネがそうです」


 やっぱりアラクネは魔族なんだ。


「他にはラミアやアルラウネ、ハーピーなども魔族になります」


 なるほど。

 確かに上半身が女性で下半身が蛇とか、腕の部分が鳥とか、半分植物とか半人半魔で魔族っぽい。

 ……それにしても、例えが全員女性なのは偶然なのか、意図しているのか。

 いや、俺が知らないだけで、男のラミアとかハーピーもいるかもしれない。


「最後にリーダーも魔族です」


 最後にとんでもない爆弾を投下するティータ。


「はぁ!? ラビットAが魔族!? いや、ラビットAはデーモンっぽくもないし、半人半魔というよりはウサギだし……どちらかと言うと、ドラゴニュートの方が魔族っぽいぞ」


「それはまだ幼いからです。リーダーの本当の種族は魔兎族。大人になれば、兎獣人のような見た目のモンスターになります」


 そういえば、ラビットAの説明文には魔兎族の子どもと書かれてあった。

 魔兎族……確かに魔族っぽい。

 しかしラビットAが兎獣人みたいな大人に……か。

 想像できないな。


「どの魔族にも言えることですが、魔族はモンスターの能力と、人と同じ知恵を持っております。一番弱い魔族でも、星3以上のモンスターと同程度とお考え下さい」


 ようするにめっちゃ強いってことだな。

 まぁラビットAを見れば何となく分かる。


「今回現れた魔族の種族は分からないそうですが、黒いコウモリのような翼で、角の生えた女性型の魔族だったそうです。……その容姿ですと、サキュバスが近いかもしれません」


 サキュバスか……エロいお姉さんってイメージしか思い浮かばない。


「そのサキュバス(仮)は、このダンジョンで何をしたんだ?」


「その前にそのカッコカリとはなんですか?」


「だってまだサキュバスっぽいだけで、サキュバスと決まったわけじゃないんだろ?」


「そうですが……それならばカッコカリなど付けずとも、魔族でいいではありませんか」


「まぁそうなんだけどさ、本当にサキュバスになら会ってみたいなぁと」


 やっぱり男として、サキュバス(エロいお姉さん)には会ってみたいじゃん。

 そして、あわよくばカードモンスターに……。


「マスター……さいてーです」


 俺の考えていることが読まれたのか、ティータにツッコまれる。

 おそらくナビ子の代わりなのだろうが……そのツッコミはちょっと嬉しい。


「んで、話を戻すけど、そのサキュバス(仮)は結構前に現れたって言ってたけど、具体的にはどれくらい前なの?」


「結局呼び方は変えないのですね。しかも、話を戻すと言うわりに、違う質問ですし」


 あれっ? そうだっけ?

 そっか。何したって聞いたんだった。

 でも両方聞くつもりだったから、どっちからでもいいんだけどね。


「魔族が現れたのがいつなのかは分からないそうです。流石にコボルトは時計やカレンダーは持っておりませんから」


 ティータこそ、あくまでも魔族呼びなんだな。

 でも……そりゃあそうか。

 コボルトが人間社会のように、時間に追われながら生活しているとか嫌だ。

 それに、こんな日の当たらないダンジョンにいたら、時間なんてすぐに狂ってしまう。

 現に俺だって、既にダンジョンに入ってどれくらい時間が経ったか分からない。

 流石に1日は経ってないと思うが……半日くらいかな?


「まぁ日付に関してはいいや。結局サキュバス(仮)は何をしたんだ?」


「その魔族はドラゴンに危害を加え、更にダンジョンに魔道具を設置。その魔道具を守るようにマグマゴーレムを置いて去ったそうです」


 ……本当にダンジョンを荒らしまくってるじゃないか。


「ドラゴンに危害って……ドラゴンは大丈夫だったのか?」


「一応生きているようですが、詳しくは教えてくれませんでした」


 流石に現状は教えてくれないか。


「その置いていった魔道具って?」


「それが今回の異変の元凶のようでして。その魔道具は魔素を過剰に発生させるとのことです」

「なんだって!?」


 俺は大声を上げて立ち上がる。

 向こうでラビットAとガロンがビックリしているが……俺は何でもないと身振りで誤魔化す。


 魔素を発生させる魔道具って……間違いなく樹海で起こっていた異変じゃないか。


「それがダンジョンの至るところにだって?」


「はい。ですが、この付近の魔道具は、コボルトによってすでに破壊済みなのだそうです」


 なるほど。

 だからブルーム山やこのダンジョンのモンスターは多くないのか。

 でも、樹海方面の魔道具までは壊されていないから、樹海でモンスターが大量発生していると。


「魔道具はマグマゴーレムが守っていたんだよな? その時はどうしたんだ?」


 まさかさっきのがそれじゃないよな?

 今破壊したってんなら、この辺りにもモンスターが大量発生していておかしくない。


「コボルトではマグマゴーレムは倒せなかったそうですが、ゴーレムですので賢くはないようで……事前に準備した落とし穴などで罠に嵌めて、その隙をついて魔道具を破壊したそうです」


 知恵で勝ったってことか。

 中々賢いじゃないか。


「ですが、罠に嵌めただけで、マグマゴーレムを倒したわけではありません」


「……つまり、罠から抜け出したと?」


「その通りです。罠から抜け出したマグマゴーレムは、守る魔道具が無くなったため、魔道具を壊したコボルトを狙うようになったそうです」


 そして、ついにここまでやって来たということらしい。

 3体だったのは3ヶ所の魔道具を壊したから。

 マグマゴーレム同士が合流したのか、偶々なのかまでは不明なのだそうだ。

 流石に罠の準備もしてなかったので、攻めてきたマグマゴーレムに対して何も出来ずに……って時に、俺達の登場。

 マジで神がかったタイミングだったんだな。


「コボルトバトラーが話してくれたことは以上となります」


「よし、一旦整理してみようか」


 こちらの知っていることと憶測も交えて整理する。


 まず、ケフィアが異変に気づいたのは1ヶ月前。

 なので、サキュバス(仮)が現れたのは、それより前になるだろう。


 異変の内容は平地に山のモンスターが出現することと、地揺れが頻繁に起こること。

 そして、認識していなかったが、樹海にモンスターが大量発生していた。


 樹海の大量発生は、サキュバス(仮)が置いていった魔道具の効果。

 平地に山のモンスターが出現したことと、地揺れに関してはまだ答えが出てない。


 だけど、予想はできる。

 平地と山を繋ぐドラゴン専用の通路。

 そこに魔道具が設置されているんじゃないか?

 ただ、それだともっと平地にモンスターが出現してもいいが、そこまで多くないということは、コボルトに破壊された魔道具がそれだったのかもしれない。

 これに関しては、確認が必要だな。


 そして地揺れ。

 これも答えは出てないが、ケフィアの話を思い出せば予想はつく。


 ドラゴンだ。

 火山エネルギーはドラゴンが取り込んでいた。

 そのドラゴンにサキュバス(仮)が危害を加えた。

 その危害がどの程度か分からないが、怪我をして火山エネルギーを十分に吸収できてないんじゃないか?


 もしくは、魔道具の効果。

 魔道具で魔素が過剰に増えているなら、同じく魔素が関係している火山エネルギーが増えていてもおかしくない。


 つまり、異変を抑えるためには何をすればいいか。


「最優先は魔道具の破壊だな。それから……ドラゴンの治療」


 やることは明確になった。

 だけど……それをするためには、コボルトの協力が不可欠だ。

 さて、どうやって説得すればいいのか。

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