表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
185/449

第174話 ゴーレムVSコボルト

「……とりあえず、その現場に急ごう」


 少し悩んだ末、俺は現場に行くことにした。


「何でじゃ? 別に急ぐわけでもないのだろ? さっきの広場に戻って、モンスター同士の戦闘が終わるのを待った方が安全ではないか?」


 俺がさっき悩んでいたことをガロンが指摘する。

 もちろんガロンの言う通り、広場に戻って戦闘が終わるのを待った方が安全だ。

 戦闘が終わった後なら、モンスターはその場からいなくなるだろうし、いたとしても、片方としか戦わなくてすむ。


 だが、俺はそれを選ばなかった。


「どうせなら、両方の素材を手に入れたいだろ」


 俺の目的はモンスターと戦うことじゃなく、素材を手に入れること。

 図鑑のことを考えたら、広場に戻るのは論外だ。

 だから、せめて戦闘が見える場所までは近づく。

 そうすれば、戦闘が終わった後に残った方を倒せば両方の素材が手に入る。

 決着が付きそうになかったり、片方が逃げ出そうとすれば、その時に介入して逃げないようにすればいい。

 まぁ本当に危険そうだったら、介入せずに逃がすかもしれないが。

 それはその時の状況次第だな。


「お主……そんな考えじゃ長生きできんぞ」


「ははっ肝に銘じておくよ」


 心配しなくても、俺もひとりだったら確実に行ってない。

 頼りになりすぎる仲間がいるからこそ行けるんだ。


 忠告したガロンもこのまま一緒に行動する。

 どうやらガロンも忠告だけで、ひとりでこの場に留まる気はないらしい。


 そのまま5分ほど歩くと、問題の分岐点へ到着。


 ここで俺とラビットAはスキル妨害と魔法妨害のスキルをパーティ全体へと拡げる。

 これで向こうの察知スキルには見つからない。

 後は……姿を消したり、音が聞こえなくなれば良いのだが、消音も隠密も不可視も全部自分だけ。

 一応触れていれば、対象になるけど……俺たち全員がティータに触れて移動するわけにはいかないもんなぁ。

 ジャミングはその場に留まらなくちゃ駄目だし、静寂はこっちの音が消えるわけじゃない。

 一応、ティータは不可視を使い、羽音が気になるクイーンビーには消音を覚えさせる。


「きっ消えた!?」


「こらガロン。うるさいから叫ぶな」


「うぐっ……すまん。じゃがいきなり目の前から消えると驚くじゃろうが」


「妖精だから姿が見えなくなるスキルが使えるんだよ。大丈夫、俺には見えるから心配するな」


 むしろ俺は見えない状態を知りたいよ。

 準備ができたところで慎重に進んでいく。


 すると、すぐに戦闘音らしき音が聞こえてきた。


「この先にさっきと同じ様な少し広い場所がある。そこで戦っておるんじゃろう」


 なるほど。

 ってことは、広間に出なければ、バレることはなさそうだな。

 ガロンの言う通り、広間が見えてくる。

 俺たちは広間に入らずに通路で待機。

 俺は通路から広間を覗き込む。


「なんだありゃ……」


 溶岩の化け物が3体と、それに立ち向かうコボルトの群れ。


 俺は急いで登録(アナライズ)して図鑑を確認する。

 ガロンのことは気にしない。

 今更、図鑑を見られてもそう大差ないだろう。


 ――――

 マグマゴーレム


 ????×????

 ――――


 マグマゴーレムか。

 ゴーレムには違いないんだ。


 ――――

 コボルト


 犬系モンスター×人型モンスター

 ……

 ――――

 ――――

 ハイコボルト


 コボルト×コボルト

 犬系モンスター×中級人型モンスター

 ……

 ――――


 やっぱりコボルトに間違いないようだ。

 ハイコボルトの方は、コボルトが図鑑登録されたから、コボルトのレシピが表示されている。

 それからハイコボルト以外にも、コボルトナイト、コボルトバトラーにコボルトキーパーにコボルトサーバント?

 ナイトはともかく、残りはよく分からないな。


 しかし……こうやって見ると、マグマゴーレムが圧倒的だな。

 現時点で生き残っているコボルトは10体以上いるが、すでにそれ以上のコボルトの死体が転がっている。

 ここまで劣勢なら、コボルトも逃げ出せばいいのに……


「どうやら、あのコボルト達はマグマゴーレムを先へと通さないようにしているみたいです」


 なるほど。

 この先にコボルトの巣でもあるのかな?

 んで、マグマゴーレムが侵略者か。

 どんだけ劣勢でも、守らなくちゃいけないってことか。


 ただ……ハイコボルトやコボルトナイトの攻撃がマグマゴーレムに直撃しているが、マグマゴーレムがダメージを受けているように見えない。

 まぁ物理攻撃が効く見た目じゃないもんな。

 魔法攻撃が必要だろうが……あの中に魔法が使えるコボルトはいないのか?


「マスター。……あのコボルト達を助けませんか?」


 俺はティータの言葉に一瞬耳を疑った。

 助けるってことは、マグマゴーレムを倒した後にコボルトは倒さないってこと。

 要するに俺はコボルトをカードにすることが出来なくなる。

 しかも、戦闘に介入するってことはそれだけ危険も増すってことだ。


 カードモンスターは俺のことを一番に考えるから、基本的に俺に不利益な提案しない。


 だから、いつものティータなら、ここで戦闘が終わるまで待機すると言うはずだ。

 これがラビットAなら可哀想だからって言いそうだが、ティータだからそれもないだろう。


「理由を聞いてもいいか」


「マグマゴーレムとは意思疎通が図れそうにありませんが、コボルトとは対話が可能です」


「つまりコボルトを助けて情報を得ようってことか」


 その通りだとティータが頷く。


「しかし、それなら倒した後に聞き出せばいいだけじゃないか?」


 カードモンスターにしてしまえば、情報は聞き放題だ。


「それだと今後に響きます。あのコボルトが生きているということが大事なのです」


「どういう意味だ?」


「ここから聞こえたコボルトたちの会話によりますと……あのコボルト達はドラゴンの関係者のようです」


「……本当か?」


「事実かどうかは実際に聞いてみませんと分かりません。ですが、もし本当にドラゴンの関係者なら、コボルトを殺すより、助けた方が交渉しやすいかと」


 確かに。

 それなら、カードが手に入らない以上のメリットがある。


「分かった。マグマゴーレムを倒して、コボルトを助けよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ