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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第162話 山小屋

 俺はナビ子と別れ、ラビットAとティータとともに、ブルーム山に向けて出発。


 現在地は樹海の中心部。

 山まではそれなりの距離がある。


 このまま歩いて山まで行くのか、それとも空から行くのか。

 空から行った場合、降りる場所は何処にするのか。


 悩んだ末、結局空から行くことにした。

 降りる場所は……その時考えればいいだろう。



 ****


 俺はロック鳥に乗って。空から地上を眺める。

 うん、ソニックイーグルには悪いけど、以前のように怖くはない。

 やはり自前のモンスターだからか。


「単純に慣れの問題かと」


 ……まぁ確かにソニックイーグルに乗った時も最後の方は平気だったし、ティータの言うとおりなんだろうけどさ。

 それだけじゃないと思いたいじゃないか。


 俺は地上を眺める。

 ……火山って、樹海のように木々が生い茂っているわけではないから、上空から見れば、見晴らしがいいかと思ったが、そうではなかった。


 デカい岩がそこら中にあって、死角が多い。

 さらに温泉なのか至るところで煙が発生している。

 ワイルドホーク達が何も見つけられなくても仕方がない。


 ……火口はどうなっているんだろうか?

 流石にこのまま行くのは危険か?


「マスター。異変とは関係ないので、報告しませんでしたが、1ヶ所気になる場所があるのですが……」


 ふむ。

 異変とは関係ないけど、気になる場所がある?

 じゃあまずはそこに行ってみるか。



 ****


「――うん。確かに異変とはなんの関係もないな」


「だから言ったではありませんか」


 ティータの言う通り、異変とは関係ない。

 だけど、確かに気になる。


「なぁ……あれなんだと思う?」


「何って、どうみても小屋でしょう」


 うん。俺にも小屋に見える。

 問題は何でこんなところに小屋があるのかってことだ。


「……誰か住んでるのか?」


 こんな辺鄙な場所に?


「冒険者が休憩所として利用している、無人の小屋かもしれません」


 その線は殆どないな。

 何故なら、目の前の小屋はちゃんと整備されている。

 ケフィアの話なら、この山には冒険者も殆ど来ないってことだから、冒険者がたまに利用するだけなら、モンスターに壊されたり……もっと荒れ果てても良い気がする。


 ……要するに、誰かが住んでいるってことだ。


「もしくは山の管理人という線はないでしょうか?」


 その線もないだろう。

 それだと、ケフィアが教えてくれているはずだ。

 というか、調査依頼をその人物にするはずだ。


 だからケフィアの知らない人物か……モンスターが建てたってことはないよね?


「では……マスターの祖父のような世捨て人かもしれませんね」


 あ~その可能性はあるな。

 というか、俺のじいさんって……設定だって知っているくせに。


「……入ってみます?」


「ちなみに気配察知の結果は?」


「……生命反応はありません」


 ティータが自信なさげに答える。

 ナビ子の代わりとして覚えさせたのだが、まだレベルも低く、慣れてないので自信がないようだ。


 まぁ居ても居なくても、どっちにしろ確認はしたいところだ。


 というわけで、小屋に近づいてみることにした。


「マスター。念の為、リーダーを出してはどうでしょうか?」


 おっとそうだった。

 ロック鳥に乗っている間はラビットAをカードに戻しているんだった。

 俺はラビットAを召喚する。


「きゅいっ!」


 相変わらず無駄に元気だ。


「ラビットAも何かあればすぐに知らせてくれよ」

「きゅきゅ!」


 ラビットAは危険察知のスキルを持っている。

 気配は分からなくても、危なかったら知らせてくれるはずだ。


 扉をノックしてみる。


「すいませーん。誰かいませんかー?」


 ……大声で呼びかけても返事はない。

 ドアノブを回してみる。

 ……鍵はかかってない。

 まぁこんなところで鍵を掛けても意味はないだろうしな。


「入りますよー」


 誰も聞いてないのは分かっていても、思わず口に出してしまう。


 俺は扉を少し開け、中を覗き込む。


「――なるほどな」


 中を見て、なんとなく察した。


「きゅわ~」

「これは……鍛冶場でしょうか?」


 同じく覗き込んだラビットAとティータ。

 ラビットAは目を輝かせ、ティータは冷静に分析する。


 小屋の中にあるのは炉に工具に鉱物。

 壁には武器が並んでいる。

 ティータの言う通り、鍛冶場で間違いないだろう。


 興味を覚えた俺は、無人の鍛冶場へ入る。

 その後について入るラビットAとティータ。


「ラビットA。無闇矢鱈に触るなよ」

「きゅいっ!」


 返事は良いが……おいおい、早速目の前の武器に触ろうとしているぞ。


「ティータ。ちゃんと見といてくれ」


「畏まりました。リーダー……触ると今日のニンジン抜きですよ」

「きゅぴぇっ!?」


 ……ティータに任せれば問題ないかな。

 俺は鍛冶場に集中する。

 まず気になるのは、鉱石。

 鉄ではなさそうだ。


 登録(アナライズ)して図鑑を確認する。

 そこには炎魔石と書かれていた。

 ……レシピはなしと。


 合成では作れないってことか。

 ……少しくらいいいよね?


 俺は炎魔石を手にとって、変化(チェンジ)する。


 ――――

 炎魔石【素材】レア度:☆☆☆


 炎の魔力が宿った鉱石。

 火山など、特定の場所でしか見つからない。

 ――――


 ふむ、星3か。

 以前アズリアが言ってたけど、魔武器を作るのには特殊な魔法石が必要って言ってた。

 量産型魔剣なら火の魔法石と鉄鉱石って言ってたけど……火じゃなくて、炎だから、量産型魔剣よりも強力な魔剣が作れそうだ。


 俺は魔剣を作る時は魔法で作ってたけど……これで合成したら、より強力な武器が作れるかな?


「きゅート! さわっちゃ、めっ!」


 俺がカードにしているのを発見してラビットAが咎める。

 自分には触るなと言って、俺が触ってるから文句を言いたいんだろうな。


「マスター。盗みはよくないですよ」


 ティータまで……。


「別に盗んでいるわけじゃない。ちょっと図鑑に登録だけしようと思っただけだ」


 実際、このカードだってすぐに解除(リセット)するつもりだ。

 ただ、登録(アナライズ)だけだったら、説明文が表示されないから、一旦カード化する必要があった。


「せっかくだから……ここにあるの。全部図鑑に登録していいかな?」


「きゅート……」

「マスター……」


 2人とも否定はしなかったが、冷ややかな目で俺を見つめた。

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