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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第161話 チーム分け

「よし! ブルーム山へ向かおう」


「えっ? 洞窟はいいの?」


 俺の答えが予想外だったようで、ナビ子は目を見開いて驚く。


「もちろん、そっちも行くさ。だから……今回は役割分担しようと思う」


「役割分担?」


「要するにチーム分けだな。山探索組と、ダンジョン探索組に分かれよう」


 今までみたいな偵察とかじゃない。

 ガチの探索をするためのチームを作る。


 ここ数日で、ウチの連中が冒険者に見つかることはないということが分かった。

 しかも、ダンジョンなら、さらに冒険者に遭遇することはないだろう。

 なら、出し惜しみする必要はない。


「それで、シュートは山の方に行くんだね」


「ああ。正直、ダンジョンの方は足手まといにしかならないだろうからな」


 気配察知が使えず、足場も不安定だったら、俺がいるだけで行動は制限される。

 なら、山の方が足手まといにはならないだろう。


「んで、チーム分けはどうすんの?」


「その前に、主要なメンバーを呼び出そう」


 ラビットA、ホブA、ティータとメーブ。

 言葉を出せる4人を召喚する。


「俺とナビ子を含めて6人。ここから2つのチームを作ろうと思うんだが……」


 本当は山の探索チームと最初のダンジョンのチーム、新しいダンジョンのチームと3つに分けたいところだが、現状それは難しい。


「じゃあダンジョン探索を引き受けるゴブ」


 ホブAがダンジョンチームに志願した。

 俺もホブAにはダンジョンの方を任せたかったから、ちょうどいい。


 ダンジョン内なら、安心してゴブリンを出せるもんな。


「では、妾もダンジョンの方へ参りましょう」


 これも予定通り。

 夜の女王のメーブなら、ダンジョン内の暗闇も平気のはずだ。


「んじゃあ、ラビットAとティータがアタイ達と一緒に山探索かな?」


「ちょっと違うかな。正確には俺と一緒にだ。ナビ子……お前はホブA側だ」


「えええっ!? なに言ってんのさ!」


 ナビ子が驚く……というより、ちょっと怒っているように見える。

 それに、ナビ子だけではない。

 ラビットAやホブA達も驚いている。


 だが、今回だけは譲れない。

 何故なら、カード化スキルを使えるのが俺とナビ子しかいないから。

 これが、チームを3つに分けられなかった理由だ。


 ダンジョンで倒したモンスターをカードにする。

 疲弊した仲間をカードにして回復させる。

 ダンジョンを探索するのに、カード化スキルは不可欠と言えるだろう。


 もし、ナビ子が俺から離れられないままだったら、チーム分けは考えなかったかもしれない。


「……シュートはアタイが近くにいなくてもいいの?」


 正直、ナビ子が近くにいないと不安で仕方ない。

 だけど……


「俺だっていつまでもナビ子に頼りっきりじゃ情けないもんな」


 いい加減独り立ちしないと。


「それに、俺はナビ子を大事な相棒だと思っているから、安心してコレクションを託せるんだ」


 その言葉にナビ子がハッと息をのむ。

 ナビ子は俺がどれだけカードを大事にしているか知っている。

 そのカードを託すってことが、どれほどの意味を持つのか。


 どれだけ俺が本気なのかが伝わったようだ。


「……本当にいいの?」


 これがナビ子以外の人……たとえアザレアがカード化スキルを使えたとしても、こんな風にカードを託すことは出来なかっただろう。


「……信じているからな」


 一瞬、運営のことが頭をよぎったが、それでも俺はナビ子を信じる。


「分かったよ。じゃあアタイはホブAと一緒に行く」


 こうして俺はナビ子と別々に行動することにした。



 ****


 俺はナビ子と別れて、山の方へ向かう。

 ナビ子の方は、最初に見つけたダンジョンの方へ向かうそうだ。

 そこで、コウモリ達と合流して探索をする。


 ナビ子達の戦力はホブA率いるゴブリン軍団と、メーブ率いるピクシー軍団が中心で、インセクトクイーン率いる蟻と蜘蛛だ。


 俺の方はラビットA率いるウサギ軍団と、ティータ率いるフェアリー軍団。

 それからクイーンビー率いる蜂軍団だ。


「こちらからは向こうの様子が分かりますが、向こうはこちらの様子が分かりませんので、きっと不安でしょうね」


 ティータの言う通り、俺の方はクイーンビーの感覚共有スキルのお陰で、ナビ子達の様子を知ることが出来る。

 だけど、感覚共有は一方通行なので、ナビ子達側からはこちらの様子を知ることが出来ない。


「まぁカード化スキルが使える間は無事ってことだから、大丈夫だろ」


 ナビ子の代理人スキルは俺からカード化スキルを借りているようなものだから、仮に俺が死ぬようなことがあったら、ナビ子はカード化スキルが使えなくなる。

 つまり、ナビ子がカード化を使える間は、俺の無事が保証されているってわけだ。


「それより、ティータとラビットAにはナビ子の分まで頑張ってもらわないといけないから……しっかり頼むよ」

「きゅい!」


 ラビットAは任せとけとばかりに返事する。


「分かりました。わたくしも……いえ、アタイも精一杯頑張らせていただき……頑張るよ!」


 ティータは顔を真っ赤にしながら言う。


「いや、別にナビ子のマネをする必要はないんだが……」


 ティータってこんなキャラだっけ?

 なんだか一気に不安になってきた。

 ……本当に大丈夫かなぁ?

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