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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第159話 ケフィアの手紙

「おかえり! ちゃんと返事をもらってきた?」

「クルッポー!」


 俺達がダンジョンの入口から戻ってしばらくすると、ウイングダブが戻ってきた。

 数時間で街と樹海を往復できるんだから、大したもんだ。

 俺はウイングダブの足に結ばれていた手紙を拡げて読み始める。


「何て書いてあんの?」


「……前半は殆どがお小言だな」


 出発するときに無視して行ったことを根に持ってたみたいだ。


 それから、ウイングダブを伝言役として差し向けるのなら、事前に話しておけと書かれてある。

 ケフィアの部屋の窓をつついているウイングダブを見て、かなり驚いたようだ。


 まぁ無害とはいえ、知らないモンスターが窓から呼び掛けていたら驚くだろうな。


 そんな小言を適度に読み飛ばし、半分が過ぎた辺りでようやく本題に入った。


 どうやら、モンスターの種類が増えているわけではないそうだ。

 地図に載せていたモンスターは、よく見かけるモンスターや、要注意モンスター。

 それから、素材など獲物として価値のあるモンスターだそうだ。


「でも、載ってなかったモンスターも普通にいるっぽいな」


 ブルームの名前が付くモンスターなどは、いて当然ってことで書いていない。

 また、小動物系などの危険度が低いモンスターも、あえて書く必要がない。


 あと、あまり見かけないレアなモンスターも書かないそうだ。


「レアなモンスターは書けばいいのにな」


「書いちゃうと、シュートみたいに見つかるまで帰らないとか、無茶して奥の方まで探しちゃう冒険者がいるからじゃない?」


 書くことによって、デメリットの方があるってことか。


 ともかく、俺がケフィアに教えたモンスターで、ケフィアが知らなかったモンスターはフォレストドラゴンだけだったみたいだ。


「……フォレストドラゴンに関しての詳細を求むってさ」


 ドラゴンの大きさや種類、樹海のどの辺りにいたのか、巣はどんな感じなのか、いたのは1体だけなのか。

 どんな些細なことでも全て教えろと書いてあった。

 ……俺だって知りたいよ。

 これ、帰ったら絶対に話すまで逃げられないだろうな。

 教えたのは失敗だったか。


 俺はドラゴンの部分を飛ばして先を読む。


 フォレストドラゴン以外は樹海に生息しているモンスターだから、いてもおかしくないそうだ。

 が、普段見つからないようなレアなモンスターがたった1日で、大量に見つかるっていうのは明らかに異常なのだそうだ。


 これに関して、最近森に入った冒険者に聞き取り調査したそうだ。

 今は日中なので、あまり冒険者はいなかったそうだが、聞き取りできた範囲では、全員が入口付近でいつもより多くのモンスターに遭遇したそうだ。

 だが、それに関してギルドに報告した冒険者はいなかった。


 理由としては、珍しいモンスターではなかったし、たまたま入口付近にいてラッキーだとしか思わなかったからだそうだ。


 そもそも冒険者が樹海に行くのは、冒険のためではなく、モンスターを狩って、お金を稼ぐため。

 魔石や素材など、自分達のノルマを達成したら、街へと戻る。

 だから、モンスターがいてもラッキーぐらいにしか思わなかったらしい。


「何て言うか……危機管理がなってないよな」


 ラッキーで済ますとか、何考えてるんだ?


「でもさ、元々樹海にいたモンスターが入口付近にいただけだったら、別に不思議に思わないんじゃ? これが普段樹海にいない、ゴブリンの群れだったり、オークの群れだったら、絶対に報告してたと思うよ」


「それでも、ノルマを達成できるくらいなんだろ?」


「あのね。シュートみたいに無尽蔵に持てるわけじゃないんだから、ノルマだってたかが知れてるよ」


 確かに収納系スキルが無いと、持てる荷物に限りがあるだろうけどさ。


「それでも、森に入って気配察知とかしたら、モンスターの多さに驚くんじゃないか?」


 流石に樹海に入るなら、察知系スキルを持つ冒険者がグループに1人はいるはずだ。

 ナビ子だってめちゃくちゃモンスターがいるって興奮してたし、モンスターが異常に多いって気づくはずだ。


「シュートはアタイの基準で考えてるかもだけど、アタイは優秀だから数キロ先まで確認できるけど、普通の冒険者のだったら、数百メートル先が限界じゃないかな」


 ……確かにナビ子基準で考えていた。

 数キロと数百じゃ、察知に大きな差がある。

 それだと、モンスターの多さに気づかないかもしれないな。


「だから、奥に入らない限り、異変だとは思わないかもね」


「それでもさ、樹海の外――山のモンスターが平地までやって来てるんだから、樹海の入口でモンスターにあったら、平地に出ようとしていたのかもとか関連付けない?」


「それは調査しているアタイ達視点の話だよ。現にあの人だって、最初は樹海を抜けて山の調査をしてくれって言ってたじゃない」


 確かに樹海を安全に抜けて山に行くルートを教えるって言ってたもんな。


「そもそもシュートだって、いっぱいモンスターが出たって満足して、異変って考えなかったじゃない」


 ……それを言われると弱いな。

 でも……そっか。確かに異変とは考えないかもしれない。

 これ以上、ナビ子に論破されないように、俺は続きを読む。


「え~っと。樹海も異変が起きているようだから、引き続き調査を頼むって……これだけかよ!?」


 手紙はこれで終わりだった。

 結局、魔素に関しての心当たりとか、樹海の怪しそうな場所とかは何も書かれてなかった。


「書いてないってことは、知らないってことだよ。それに、怪しい場所は見つけたしね」


 うう……やっぱりあのダンジョンを探索するしかないのか。

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