第149話 樹海探索
樹海に入る準備として、必要な仲間を召喚する。
今回召喚するのはインセクトクイーンとラビットA、それからティータだ。
「クイーンは昆虫系モンスターを。ティータは植物系モンスターが出てきたら相手をしてくれ」
「お任せください」
インセクトクイーンは話せないが、表情を見ればやる気に満ち溢れているのが分かる。
「きゅっ! きゅきゅ!」
一人名前を呼ばれなかったラビットAが自己主張する。
「お前は俺の護衛だ」
「きゅい!」
俺の言葉にラビットAがビシッと敬礼する。
「他の子は出さないの?」
「他は状況次第かな」
この辺りは冒険者も来るらしいから、先日の山のように放し飼いはできない。
特にゴブリン達を出したら、冒険者に狩られる……いや、返り討ちにするだろうけど、少なくても樹海では出せない。
「クイーンにティータにラビットA……ハーレムパーティーね」
「ハーレムってんなら、ラビットAの代わりにアラクネやミストを出すよ」
「きゅむ~」
ラビットAが唸るが、残念ながら俺に幼女趣味はない。
まぁかわいいのは否定しないけどね。
ハーレムと言われれば、違うと言わざるを得ない。
「やっぱりミストやアラクネをそんな目で見てたんだ。シュートさいてー」
ったく。お前が言い出したんだろうが。
でも……樹海の中だから、アラクネは後で召喚するかもしれないな。
「さてと。護衛はこれでいいとして、次は調査用のモンスターだな」
一応依頼の調査も進めないと。
俺はデザートトードとブラッドワーム、ハードワームを召還する。
この3匹の仕事は地中の探索だ。
もしかしたら、本当にグランドワームのような大型のモンスターがいるかもしれない。
地中移動のスキルを持っている3匹に、気配察知のスキルを覚えさせ、地中にモンスターがいないか探らせる。
「グラちゃんも召喚すればいいのに」
「それだと地響きの判断が出来なくなるだろ」
グランドワームを召喚したら、地響きが今回の原因か、俺のグランドワームのせいか分からなくなる。
なので、可哀想だが今回はお留守番だ。
「何か見つけたら、報告を頼む。何も見つからなくても、一旦3日後には帰ってくるように」
樹海とブルーム山の地中を3匹で調べるのだから、途方もなく大変だろう。
毎日報告に帰っていたら、時間がいくらあっても足りないだろうから、ひとまず3日で区切ることにした。
「あと、もし倒せそうなモンスターがいたら、倒しても構わんが、魔石だけは回収するように」
モンスターといえどもワームとカエル。
素材の持ち帰りは至難の技だろうが、魔石だけはなんとしても手に入れたい。
まぁコイツらにとっても探索メンバーが増えるのだから、気合いで持ち帰ってもらいたい。
3匹は早速地中へと潜る。
これでひとまず地中の調査は問題ない。
次は地上の調査だな。
俺はシャドービーとワイルドホークを全員召喚する。
「シャドービーはこの樹海を自由に調査してくれ。ワイルドホーク達は一足先に、上空からブルーム山の調査を頼む。何か怪しいものを見つけたら報告すること。活躍したら、優先的に進化や古参……でもないから、幹部でいいや。幹部に取り立てるからそのつもりで」
うん。いつまでも古参や新参じゃあわけ分からなくなるもんな。
これからは古参じゃなくて幹部って呼ぶことにしよう、
俺の言葉にワイルドホーク達が一斉に飛び立つ。
幹部になりたいのかどうかは分からないが、少なくともワイルドホークの中での序列がかかっているから、全員やる気のようだ。
「なんでワイルドホークだけなの? ワイルドイーグルやワイルドファルコンは?」
「全種族いっぺんに出したら大騒ぎになるだろ。だから種族別に順番に召喚しようと思うんだ」
ワイルドホークが帰ってきたら、次はワイルドファルコン、そしてその後にワイルドイーグルってな順番だ。
ロック鳥やナイトホークは既に星2なので、別の役割を用意する予定だ。
「さて、俺達は樹海のモンスター狩りだ」
「きゅきゅ!」
もちろん目標は樹海のモンスターを全種族制覇。
デザートトード達の帰還までに終わるかなぁ?
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「ふふっ。ふははっ。ふはははは!」
なんだこれ。笑いが止まらない。
「あ~あ。シュートが壊れちゃった」
「きゅぅぅ。きゅート、へん!」
「マスター……お気を確かに」
3人が失礼なことを言っている気がするが、今の俺は気分が凄くいいからな。
全く気にしない。
俺の目の前には色んな種類の魔石カードがある。
樹海に入ってから、俺達に襲いかかってきたモンスターの魔石だ。
見たことのない昆虫型モンスターや動物型モンスター、植物型モンスターが襲いかかってきたが、インセクトクイーンとティータ、それからラビットAの敵ではなかった。
俺は3人が倒していくモンスターの死体をカードにして分解していくだけ。
図鑑に新規のカードが増えていくのが楽しくて仕方がなかった。
襲撃が一段落したから休憩することにしたんだが……図鑑を眺め始めたら止まらなくなった。
もう他のことなんかどうでもいい。
今はコレクションの整理をしなくては。
「こうなったシュートは、周りが見えてないからね。もうどうにもならないよ。仕方がないから、これからはアタイが指揮するよ。いいよねっ! シュート!」
「ああ、任せる」
俺はナビ子の方を見ずに答える。
ナビ子がなんか言ってたから任せると言ったけど……何だったんだろ?
まぁ後回しでいいか。




