表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
158/449

第147話 ケフィアへの疑惑

「それで……たったひとりでどんな調査をするんだい?」


 ケフィアの質問にどうしようか本気で悩む。

 ねっ。どんな調査をすればいいんだろ。


「まだ話を聞いただけですからね。現場を見ないとなんとも……」


 そう言って誤魔化すことにした。

 実際に山に行かないと分からないと思う。


「そもそも、ひとりで樹海を抜けて山にたどり着けるのかい?」


「それは簡単ですよ」


「ほぅ。凄い自信じゃないか。樹海にも厄介なモンスターはいるんだよ?」


 確かに樹海のモンスターは気になるけど……


「樹海なんて、空を飛んでいけばいいだけじゃないですか」


 別に歩いて樹海を抜けなくても、空を飛んでいけば簡単に樹海を抜けられる。


「言っておくけど、あの子はもう貸し出さないよ」


 ソニックイーグルは貸してくれないようだけど、別に問題ない。


「俺だって飛行モンスターは持っているから大丈夫ですよ」


「あきれた。飛行モンスターを持ってたのに、あの子を借りたのかい?」


「……ソニックイーグルほど速くないし、この場所も知りませんから」


 流石に昨日寄り道して手に入れたとは言えない。


「本当なら、樹海から安全に山へと抜ける道を案内するつもりだったんだけど……必要ないみたいだね」


 どうやら道案内役を用意するつもりだったようだ。


「そういうわけで道案内は大丈夫です。でも……空を飛ぶのは手段のひとつで、基本は樹海を抜ける予定ですよ」


「わざわざ樹海を抜けるのかい!?」


 ケフィアが驚く。


「一応樹海も調査しないと。樹海に異変がないとも限りませんからね」


 まぁそれは建前で、本当は樹海のモンスターに興味があるだけだけど。


「だから、安全な道では意味がないんですよ」


「樹海も奥に入れば危険なモンスターは山ほどいる。ひとりでは危険だよ!」


「俺はサマナーですからね。ひとりじゃないですよ」


「……この支援ギルドでは、最低限の経費は出すけど、サマナーの消費した分までは補償できないよ」


 サマナーが金が掛かるのはどこでも共通か。


「心配しなくても、魔石代とか請求しませんよ。それに、仮に請求するなら、ウチのギルマスにします」


 俺がそう言うと、ケフィアが豪快に笑った。


「はははっ。そりゃあいい。あの男にたっぷり請求するといい」


「……ウチのギルマスとケフィアさんってどういう関係なんですか?」


 少なくとも、ただの同僚って感じではなさそうだ。

 そもそも、ライラネートが大都市って言っても、あの街には他にも支援ギルドがあるんだから、西の地区にだけ相談ってのは、よっぽど親しくないとできないと思う。


「ん? 気になるかい?」


「まぁ多少は……」


 別にどうしても聞きたいってわけじゃないけど……恋人とか言われたらどうしよう。


「あの男とアタシは昔パーティーを組んでたのさ」


「パーティーって冒険者の?」


「他に何があるんだい?」


 ケフィアが少しだけ目を細める。

 これ……恋人とか聞いたらぶん殴られそうだな。


「いえ。ウチのギルマスってオッサンじゃないですか。ケフィアさんのような若い人と同じパーティーとは思わなくて……」


「そうかいそうかい」


 ケフィアは満足そうに頷く。

 やはり女性相手に若いって単語はどこの世界でも、種族が違っても効果覿面だな。


「あっ、経費の請求はしませんが、もし樹海の地図があれば頂けませんか? ついでにブルーム山の地図も」


 基本はナビ子頼りになるから、なくても困らないが、参考にはなるはずだ。


「樹海にしろ、ブルーム山にしろ、完璧な地図はない。それでもいいかい?」


「もちろんそれで問題ありません」


「じゃあ準備するよ」


 流石に今すぐは無理らしい。

 どのみち出発は明日の予定なので問題はない。

 その後、ケフィアにもう少し詳しい話を聞いて、ギルドを後にした。



 ****


 今日の宿はケフィアが用意してくれた。

 冒険者御用達の安宿じゃなくて、風呂トイレ付き、一泊金貨1枚のかなり豪華な宿だ。

 一応この宿代も経費で賄うらしいから、俺が払う必要はないとのこと。

 サマナーの経費を払わないと言ってたから、ケチなのかとも思ったが、そうではないみたいだ。

 単純にサマナーが金食い虫なだけのようだ。


「ふぅ」


 俺はベッドに腰を下ろして一息つく。

 同じようにナビ子もベッドに横になる。


「そういえば、今日は大人しかったな」


 いつもは自己紹介くらいは自分でするのに、今日は終始黙ってた。


「う~んとね。あの人がちょっと怖かったの」


「あの人って……ケフィア?」


 そんなに怖い人だったかな?


「うん。多分だけど、あの人アタイが妖精――生物じゃないこと気づいてたと思う」


「ええっ!?」


 俺は思わず立ち上がる。


「そんな様子は全然なかったけど?」


 ナビ子が妖精じゃないって気づいたんなら、普通その場で言わないか?


「アタイも確証があるわけじゃないけど……シュートが自己紹介した時に、一瞬だけあの人がアタイを見たけど、まるで道具を見るような冷たい目だったんだよ」


 俺にはそんな目を向けなかったが……


「スキルで見破られたのかな?」


 流石にケフィアには登録(アナライズ)出来ていない。

 触る機会なんて全く無かったもんな。

 しかし……握手くらいはしておくべきだったかもしれない。


「とりあえず、あの人と会話をする時はアタイは身を隠すことにするよ」


「ああ。その方がいいかもな」


 どのみちこの街にいる間しか顔を合わさない。

 明日からは調査でこの街を離れるし、少しだけ身を隠せばいいだけのことだ。


 ただ……俺の頭にアズリアの顔がよぎった。

 もしかして、ケフィアも偵察機を見つけて日本の存在を知っている?

 だからナビ子が妖精じゃないと気づいたとか。


 そうだとすると、少し話を聞いてみたい気もする。

 ……まぁ危険すぎて、こっちからは絶対に話せないけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤>完璧な完璧な地図はない。 正>完璧な地図はない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ