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カード化スキルで図鑑コンプリートの旅  作者: あすか
第4章 片翼のドラゴン
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第145話 ブルームの街

「案外すんなり街の中に入れたね!」


「やっぱり中堅冒険者って凄いんだな」


 元々冒険者は街に入るための審査も入市税も必要ない。

 でも、今回は珍しい妖精を連れて、しかもデカいコンテナを抱えている。

 普通に考えたら、門でしつこく取り調べを受けてもおかしくない。


 だけど、俺が冒険者カードを提示したら、驚くほどあっさりと中に入れた。

 ただこれが初心者冒険者だったりしたら、話は変わっただろう。


 実際に門番も、最初は胡散臭そうな顔をしていたが、俺のレベルを見て態度が一変した。


 コンテナも輸送依頼としか言ってないのに、中身改めすらなかった。

 これが商人の荷物なら、関税とかあるから中身改めがあったはずだ。


 これ……俺としては楽でよかったけど、防犯面としてどうよ?

 まぁ依頼品だから、勝手に中を開けたら駄目だから、中身改めとか言われたら困ったけど。


「もしかしたら、ライラネートから輸送が来ることは伝わっていたかもしれないね」


 なるほど。その可能性はあるな。

 じゃないと、流石に中身の確認もなしに入れるのおかしい。


「それに……そのコンテナは目立つから、悪さは出来ないしね」


 うん。現時点で非常に目立っている。

 幸いギルドの場所は門番から聞いた。

 俺はこの大荷物を処理するために、ギルドへと急ぐことにした。



 ****


「では少々お待ちください」


 無事にギルドで納品を終わらせると、ギルマスを呼んでくるから待ってろと応接室に通された。


 う~ん。この応接室なら、ライラネートの方が立派だな。

 まぁライラネートは帝国4大都市のひとつで、この街は辺境の一都市だから、比べる方がおかしいが。

 でも、規模こそ違うものの、支援ギルドとしては何も変わらないようだ。



 しばらく待つと、応接室の扉が開かれた。


「待たせたね」


 そこに現れたのは……褐色の肌をしたエルフの女性だった。

 もしかして、ダークエルフか?


「ん? どうしたんだい?」


「いえ……女性がやって来るとは思わなかったので……」


「女性が……ついでにダークエルフがギルドマスターをやっちゃおかしいかい?」


 そう言いながら、ギルマスが睨みを効かす。

 おそらく今までに何度も言われ続けたことなんだろう。

 俺は慌てて言い訳する。


「そうじゃなくて……ウチのギルマスとのギャップに驚いただけです。ウチのギルマスは無駄に厳ついですからね。良かったらウチのギルマスと代わりません?」


 俺がそう言うと、ギルマスが意表を突かれたように目を丸くする。

 どうやら思っていた切り返しと違ったようだ。

 そして堪えきれなくなったのか、吹き出した。


「ふっははは。たっ、確かにあの男は厳つい。しかし、いきなり口説かれるとは思わなかったよ」


 いや、別に口説いたわけじゃ……まぁ悪い印象は持たれなかったようなので、それでいいか。


「アタシはケフィア。このブルームの街のギルマスをやってるよ」


 ケフィアか……見た目は20代後半っぽいけど、エルフは長寿だし、仕草や口調から考えると、かなり年上かもしれない。


「俺はシュート。こっちはナビ子。普段はライラネートを拠点に活動をしています」


「聞いてるよ。凄腕のサマナーなんだってね」


 そういえばギルマスが腕利きのサマナーで調査のスペシャリストって説明したって言ってたな。


「凄腕かどうかはともかく、サマナーなのは間違いないですね」


「あの子に乗って何事もなくここまでたどり着いたんだろ? 十分凄腕じゃないか」


 ん? 今の言葉……少し引っかからないか?


「あの……それってソニックイーグルのことですよね? 何事もなくってどういうことでしょうか?」


「あの子は気に入らない人間は平気で振り落とそうとするからね。アンタは気に入られたってことだろうよ」


 ……俺が聞いた話とぜんぜん違うんだが?

 気に入られたのは、きっとティータのお陰だろう。

 マジで危なかったな。


「本当はあの子の主人も一緒に行くはずだったんだけどね。あの男が『ウチのサマナーは凄腕だから、必要ない』って言ってね」


 あのギルマス……帰ったらタダじゃおかねぇ。


「そういえばソニックイーグルの主人は? ここにいるって聞いてたんですけど」


「ああ。あの子が戻ってきたって聞いたら、急いで戻っていったよ」


 さっき受付でソニックイーグルは巣に戻った旨を報告し、証拠の羽根を見せたから、それを聞いたようだ。


「あの子が羽根まで渡すなんて、よっぽど気に入られたんだねぇ。サマナーじゃなくて、テイマーの方が性に合ってるんじゃないかい?」


「どうでしょうね。まぁ俺はサマナーで満足しているんで」


 別にどの職業でも補正があるわけじゃないんだから、何だっていいんだけどさ。

 ケフィアもこれ以上薦める気はないようだ。


「それから物資の確認をさせてもらったけど、まさかあんなにたくさん送ってくれるなんてね。非常に助かるよ」


「……お礼はウチのギルマスに言ってください。俺はただ運んだだけですから。それに、本当の依頼は別にありますよね?」


「ブルーム山の調査だね。危険だけど……本当にやってくれるのかい?」


「まぁそれが依頼ですから。詳しい依頼内容を聞かせてくれます?」


 俺はブルーム山について詳しい話を聞くことになった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 所々に出ていた「シュートさいてー」の出番が 最近ないことに少し寂しさを感じます。 そんな場面がまたあることを期待してます。
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